「技術士は、社会の変化を技術の目で読み解く」

2026年10月10日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数: 27

「技術士は、社会の変化を技術の目で読み解く」

1.ニュースを読む大切さ 

 ニュースを読むことは、社会で起きている出来事を知り、しっかりとした自分の考えを持つために大切だと思います。ニュースにより、政治や経済、環境、災害、海外で起きていることなど、日常生活だけでは知ることのできない諸情報を得ることができます。今回は、技術士はニュ-スをどのように読んで、社会変化を技術の目で読み解くべきかについて、ご紹介したいと思います。

 2.トレンドニュ-スは、口頭試験で試される

 11月発表予定の技術士二次試験(口頭試験)において、「最近の時事問題」「国内外の技術的トピックス」等に関する試問により、技術士として見識を有している技術者かどうかを問われる可能性があります。日頃から、トレンドニュ-ス等は常にチェックし、自分なりの考えを整理しておく必要があります。 ニュースを読む時は、情報をそのまま信じるのではなく、複数の情報間の比較や、事実と意見を区別し、情報に流されず、自分で考える判断力が備わっていなければなりません。

 3.社会変化への関心  

 ニュースを読むことは、単に知識の蓄積ではなく、広い視点で社会や国際情勢について考え、日頃からニュースに触れ、世の中で起きている社会変化へ関心を持つことが肝要です。このため、以下の観点でニュ-スを読むことをお勧めします。

 1) 「何が起きた?」

  まず、何が起きたか?起きた事象、事実を確認します。インプット情報として、いつ、どこで、誰が、何を、どうしたのか(5W1H)を確認します。

2)「原因を洞察」

 次に発生した原因等を把握します。技術、設備、システム、人的要素等、何が原因なのか、それとも計画、施工、維持管理、運用など、どこに問題があったかのかを自分なりにその原因を洞察します。

 3) 「社会への影響程度は」

 この事象は安全、保健衛生、環境、経済、地域社会への影響の範囲や程度はどれぐらいであったか、関連する利害関係者は誰か、その影響度の大小を把握します。

4)技術者倫理の視点  

 ここで重要なポイントは対象事象を技術者倫理の観点から、以下について検証してみることです。

・公衆の安全を最優先で、考えられていたか。

・リスクは想定されていたか、その対策は講じられていたか。

・情報公開の方法、時期は、適切だったか。

 ・事象やその原因について専門的技術として、説明責任が果たされているか。

・これまでの経緯として、中立、公正を遵守できていたか。

 5) 自分の専門分野へ繋げる

 この事象は今後の「再発防止策」を含め、技術者としてどう対応すべきか考え、技術的対策だけでなく、制度、組織、教育、管理など、「自分の専門分野ならどう考えるべきか」、例えば以下の各専門分野の側面において、考えを整理しておくことが重要です。

・建設部門:「国土保全、インフラ構造、地盤、施工、維持管理、環境保全、地域創成」

・電気電子部門:「設備、制御、信頼性」

・情報部門:「セキュリティ、データ、システム」

・環境部門:「環境影響・規制・持続可能性」

 4.技術士第二次試験の視点

  ニュースは、以下の問を自分に投げかけ、技術士第二次試験の視点で読みましょう。

 ①問題は何か → ②原因は何か → ③課題は何か → ④対策は何か → ⑤技術士として何をすべきか?

 例えば近年、頻発化傾向にある「大規模水害」のニュースなら、単に「豪雨により大洪水になった。」で終わらせず、気候変動 → 降雨の激甚化 → 河川・排水施設の能力不足 → ハード対策のソフト対策必要性 → 社会システムとしての防災と減災→ 技術者倫理と自分の役割という思考プロセスで掘り下げ、整理しておきましょう。

 5.読解のトレーニング  

 忙しい日常のなかで、短時間でニュ-スを読解するためのトレ-ニング方法を以下に紹介いたします。

  1)関心のある分野を選択

 対象とするニュ-スや新聞記事は、自分の専門分野だけに限定しないで、自分が関心のある分野に着目し、さっと読み、短時間で選択します。

  2)「事実」を3行で整理

  ニュースは、まず自分の言葉で簡潔に説明できるように、例えば、建設部門の老朽インフラ問題なら、以下のように、整理しましょう。

 ・現状:高度成長期に整備された我が国のインフラが膨大量で、老朽化が進んでいる。

 ・問題:維持管理を担う技術者不足が、深刻化している。

  ・課題:限定予算、人員で効率的な維持管理が社会的ニーズである。

  3)「課題」を3つ抽出

  ニュースを見て、何が課題なのか技術士試験の設問をイメ-ジし、以下3項目を抽出します。

 ・整備ストックされた老朽インフラへの対応

 ・維持管理技術者の不足に対する経験や技術の継承

 ・維持管理費負担の増大と必要財源捻出の施策 ここで重要なのは、「問題」と「課題」を明確に区別しておくことです

 ・問題:あるべき姿と現実とのギャップです。

 ・課題:それを解決するための方針や方向性です。

  4)解決策は「多面的に表現!」

 技術士解答文では、1つの視点だけではなく、そのニュースに関し、次の多面的視点から考察してみましょう。

 ・技術:技術的にどのように解決するか?、新しい施策等はあるか、それを展開できるか?

 ・組織、制度:制度や仕組みをどのように改善すれば、解決できるか?

 ・社会:国民生活、地域経済、間連企業への影響は考慮されているか?

  5)解答文をイメ-ジ

  実際の解答文をイメ-ジし、以下のように自分のノートやキーワ-ド集に以下のように書き留めておきましょう。

「点検・診断データをデジタル化、施設の重要度や劣化状況に応じた予防保全を進める。技術者不足対応として、点検の省力化、自動化を図り、技術継承の仕組みを社会システムとして構築する。」 

 6)フォーマット作成

 情報整理方法としてはスマホのメモ帳などを利用、事前にフォーマットを作っておくと便利です。

 【今日のニューステーマ】:「○○○」

①何が起きた? ②原因? ④重要課題は? ⑤多面的解決策は? ⑥技術士としてどう解決する?

7)効果を上げる

 平日は毎日1つだけニュースを整理します。さらに週末に1週間分を見直します。それぞれ共通する社会的課題は何かを考えます。

個々のニュースが「社会のつながり」として見えてきます。これは技術士としての資質や見識を高めることに繋がり、極めて有効な学習方法と考えます。

 次回は、技術士試験必須の「トレ-ド・オフ」に焦点をあて解説してみたいと思います。(以上)

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