R8年度 技術士試験:「建設業における外国人労働者活用課題」私的解説

2026年09月19日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数: 40

R8年度 技術士試験:「建設業における外国人労働者活用課題」私的解説  

 私は個人的に、外国人の方に日本語を教える日本語教師の仕事に従事しております。私は長年、建設業に身を置く経験から、我が国の少子高齢化、担い手不足の深刻さは、国力自体の衰退に繋がることに対する懸念を強く抱いております。  

 令和8年度技術士試験(建設部門-施工計画-選択科目Ⅲ-1)では外国人労働者問題が出題されました。この出題は一部の業界や企業、地域の問題にとどまらず、我が国としての担い手確保の緊喫な対応が迫られていることを改めて実感しました。今回は、この問題について私的解説してみたいと思います。(以下、設問を抜粋して記載。)

 設問:建設業において外国人労働者を活用するに当たり,多面的な観点から,外国人労働者 特有の技術課題を3つ抽出し,観点を明記したうえで,それぞれの技術課題を示せ。

 1.外国人労働者技術課題

 我が国の建設業は、以下のように就業者数の減少と高齢化が同時進行しています。 (細部までは不要ですが、現状の具体的数値データを示すと課題認識として効果的です。)

・建設業就業者は1997年の685万人から2023年には483万人まで減少

・2024年には55歳以上が36.7%を占めるのに対し、29歳以下は11.7%

・2026年7月の建設技能労働者は全国8職種平均で1.2%不足

 建設業における外国人労働者の活用は、単なる「人手不足対策」ではなく、安全・技能継承・定着・生産性を同時に実現する人材戦略として考える必要があります。来年2027年4月から施行される外国人「育成就労制度」の施行も見据え、以下が今後の課題と考えます。

 1) 言語、安全、技術、品質管理教育

 外国人労働者に対しては日本語能力や建設現場特有の難解な専門用語により、指示誤認・事故・施工品質低下のリスクが想定されています。このため「やさしい日本語」+「多言語教材」+「写真・動画・ピクトグラムによる安全教育」、「技能別OJT等」、「現場の技術及び品質管理教育」が必要であることの認識が重要です。

 2) 定着、キャリア形成

  これまでの外国人労働者制度改定に見られるように、外国人労働者に対しては「単純労働力」としての位置付けでは技能向上や将来像が明確になりません。離職・転職につながる可能性があり、我が国が必要とする労働力の定着にはつながりません。 このため個々の技能レベルを向上、日本の建設業界と同様に資格取得を奨励、施工管理などのキャリアマップを提示、昇給基準を明確化、評価制度等を日本人と共通化、就業定着とキャリア形成を図ることが求められています。

 3) 受け入れと共生のための社会管理システム構築

 中小企業では労務管理、生活支援、相談対応を自社だけで行うことは経営的にも難しい状況です。このため登録支援機関・業界団体等との連携、相談窓口の一本化、定期面談、労働条件の多言語説明、現場管理者への異文化研修等、外国人労働者の受け入れと、共生のための社会管理システムの構築が課題です。

 2.重要課題と解決策

(1)最も重要な課題

 最も重要な課題として、私は「日本語&安全&現場技術教育」の両立を抽出します。その理由は、円滑なコミュニケ-ションがなければ、建設部門の使命である工事の目的物を安全に、所定品質を満足し、国民や発注者へ提供することが困難であるからです。その解決策として以下の推進が重要と考えます。 

(2)解決策  

1)現場の日本語教育

  建設現場では、一的な日本語が話せても、「墨出し」「段取り」「養生」「足場」「立入禁止」など、建設分野特有の専門用語や、危険注意や警告指示を正確に理解することが重要です。実は外国人の方々にとって、これは極めてハードルが高いです。私の日本語指導の経験からも、強く実感しています。 テキスト等のみではなく、現場状況を正確に把握、理解し、それを次の行動に移すためには、相応の場面経験と蓄積が必要だからなのです。 外国人労働者への安全衛生教育は「内容を理解できる方法」が必要です。外国語教材や視覚的な危険表示の活用、日本語教育だけに頼らない視覚(写真、動画、イラスト等)教材を活用します。また、やさしい日本語による「多重伝達」の教育システムの構築と、これの定着のための実践教育継続が重要なのです。

 2)技術者育成

 私は今後、建設技能、日本語能力、就労環境の向上を継続的に行う企業に対する適正評価が重要であると考えます。これの社会システムとして定着するため以下の施策展開が不可欠です。 ・基本技能を習得、経験を踏また必要資格の取得 ・技能研鑽による熟練技能者としての経験の蓄積 ・資格や経験への相応対価(賃金、手当、福祉支援等)制度の定着 ・職長等リ-ダ-として現場管理人材としてのキャリアアッププランの策定

3)定着の仕組み構築

 外国人労働者の定着については「受入れ管理」に対する社会的な仕組みの強化と、これを実現するための以下の環境整備の充実が求められます。

 ・在留資格、制度への対応

 ・労働時間、賃金管理、生活相談

・日本語+安全+現場技術+マネジメント等の指導

3.新たに想定すべきリスクと解決策  

1)新たなリスク

 外国人材の受入れにより、従来とは違う以下の新たなリスク発生が想定されます。

 ① 一方的教育による不理解が起因する安全教育を実施したつもりによるリスク

 ② 外国人労働者の別扱いによる個々の不満、日本人との分断

③ 離職、転職等人材流出のリスク

 2)解決策  

 これらリスクに対し、予めこれを考慮した以下の解決が肝要です。

 ① 多言語動画教材や定期的な再教育による「理解、行動率」の管理

 ② 日本人・外国人共通のキャリアプロセスや技能評価制度の導入

 ③ 公正評価、資格取得や生活支援等総合的な職場環境整備

 国土交通省が進める建設キャリアアップシステム(CCUS)と連動させ、個々の技能の見える化とキャリア形成を結びつけた社会全体としての展開が切望されています。我が国は、外国人労働者に対する新たな局面を迎えており、人材定着のためには「日本で是非、働きたい。」「日本でスキルアップしたい。」とする海外の人材の願望を叶え、他国と競争できる対応が求められています。  次回は令和8年度技術士試験(建設部門-施工計画-選択科目Ⅲ-2)に出題された「猛暑対策」について私的解説をしてみたいと思います。(以上)

2026年 発注者支援業務 求人 新建設コンサルタント株式会社 採用情報
広告 nc-c.jp
【急募】国土交通省の発注者支援業務・CM業務を行う技術者を募集しております。
正社員(2026年100名)、550万円~、土日祝祭日は休日となります。