「技術士の学びとは、楽しむこと」

2026年08月22日 作成 / 執筆:アニ-講師

「技術士の学びとは、楽しむこと」

  技術士にとって学びとは、単に知識を増やすことではなく、技術によるサービスをクライアントや社会へ提供し、国民生活へ還元するために必要な備えではないかと、私は考えています。 今回は「技術士にとっての学び」について私の私見を、ご紹介したいと思います。

1.技術士に求められる素養

 技術士は技術の進歩や社会変化への柔軟な対応が求められ、そのために旺盛な学びに対する意欲と、以下の素養(日常的に行われていること)が必要とされます。

 1)専門性の維持、向上(新技術や改定法令の把握、新分野研究、高い専門能力、デジタル技術対応力)

 2) 社会的課題への対応(環境、防災、老朽インフラ、人口減少など複雑な社会課題への対応)

 3) 高い倫理観(リスク管理やコンプライアンス、社会から信頼される判断力、高い倫理観と規範)

 4) 経験の知識化 (実務経験知のフィ-ドバック 、論文等発表、後進の指導、専門技術の深化)

5) 継続研鑽(CPD)の実践 (継続的専門能力開発を通じた生涯にわたる能力向上)

 2.幅広い分野の重要性

 学びとは単に「知識を得ること」のみを行うのではなく、「自らの成長を継続する自発行動」と私は位置付けています。専門分野の限らず、社会変化に柔軟に対応するには、むしろそれ以外の広範分野の学びが必要であると思います。

 3.学びの機会

 技術士の学びは、「知識、情報の蓄積」だけでなく、「得られた経験知を総合力として実務に活かすこと」のための蓄積素材であるとも思います。研修や講習会への参加、学会活動、論文の執筆、資格取得、業務経験の振り返り評価などは、重要な「学びの機会」です。自ら学びの機会を増加することが重要であり、それには「受け身」だけでなく、積極的自主行動による結果のアウトプット発信や人的交流機会の増大が肝要です。

 4.人的ネットワークの拡大

 人的交流は私の人生経験からも極めて重要な事項であると思います。自分の専門知識や経験知だけでは、おのずと限界があります。特に企業や組織、プロジェクト活動においては、多様な分野の専門家の関与が不可欠です。目的意識を共有する多数の協力者、支援者の存在が鍵となります。このため、自分のまわりに頼りになる人的ネットワ-クの構築との拡大に努めることが肝要です。 お互いの信頼関係の構築し、良好な関係を継続するため異業種交流会等への積極的に参加、社内外の専門分野の方との継続交流を大切にしましょう。

 5.実践機会、アウトプットの増大

 自主行動により、自らがやってみたいことが出てきます。これに対しては積極的に取り組んでみて下さい。自らが主体的に関与することで周囲へ働きかけ、幅広い分野の関係者との交流機会を増大することになります。自己研鑽の成果は、可能な限りアウトプットを心掛け、周囲の関係者へ情報伝達下さい。

 6.専門性の深化

 実務能力の向上や技術研鑽のためには専門分野だけでなく、これらを支えるマネジメントやデジタル・AI技術やリスク外の各種マネジメント技術など、周辺及び関連技術分野について自身で新たな目標を設定し、専門性をさらに深化させましょう。

 7.モチベーションの維持  

 学びや自己研鑽にはいろいろな手法があると思います。これらに対するモチベ-ション維持の方法として、以下のような取り組みはいかがでしょうか。

 1) 目的の明確化

  資格試験や専門分野への取り組み、キャリヤ形成等への準備に対し、「何のために学ぶのか」の目的を、明確にすることが、モチベ-ション継続の後押しになると思います。 

2)小さな目標設定

毎日15分、専門書を読む、週1本、技術記事を読む、月1回、技術セミナーに参加する等、達成可能な小さな目標を設定、これを達成することで自信に繋げましょう。

 3)仕事と学びを結び付ける

例えば、「なぜこの設計方法なのか?」「この事故を防ぐにはどうすればよいか?」業務上で発生した疑問や問題は、「自己研鑽のテーマ」にします。自分で調べ考えることで、「仕事から離れたもの」ではなく、実務解決能力へと変化します。

 4)学んだことはアウトプット

 学んだことは記録、都度振り返りを行い、外部へアウトプットを心がけましょう。講習会や研修会等の情報知識は組織内で共有下さい。そのための準備作業は必ず、自分の蓄積技術力となります。

 5)継続する仕組み

 読んだ本、参加した講習、身についた知識、実務で活用したこと、解決できた問題を記録・保存しましょう。この仕組み循環は、「技術者として成長するための学び」のスパイラルアップ活動に繋がるものと考えます。 特に技術士を目指している方々にとっては「モチベーションを向上する方法」より、「モチベーションが低くても続けられる仕組み」に工夫することが重要です。

 8.技術士の学びの姿勢

 技術士の学びとは、「学ぶ(Input)、実践する(Practice)、発信する(Output)、振り返る(Reflection)」というサイクルを継続、学びの機会を自ら実践する姿勢こそが、最も重要と考えます。

 9.技の研鑽は、楽しむこと  

 技術とは、別の言い方をすれば「技:わざ」として表現できるものと思います。技は、人それぞれに特有なものであり、知識量の多さやIQの高さだけでは決して解決できません。それを身に付けるには相応の鍛錬の積み重ねによる努力の軌跡がその根源であることも事実だと思います。

  但し、技を有する人達の共通点は、それを努力して成し得た結果だけでなくその一方で、これを「楽しむ」ある種の「探求心」であるかもしれません。技を身に付けることは安易で簡単なものではないことは十分承知しています。但し、視点を変えてみると、「自然に楽しんでやっている人」、これが「一流と言われる卓越した技を有する人達」ではないかと、私は勝手に結論付けています。また、自分もそうありたいものと日々願っています。

 年齢はいくつからでも「学び」は始められます。できれば年齢が若い年代から始めることが望ましいです。何故なら意識した学びの継続は、その後の人生において、その人の能力や成果に圧倒的な差が生じることになるからです。 次回は若手技術者がこの学びを日常の業務に活かす仕事術についてご紹介したいと思います。(以上)

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