2026年08月15日 作成 / 執筆:アニ-講師

「技術士に求められる表現力、説明力」
お盆休暇中の皆さん、いかがお過ごしでしょうか。家庭サ-ビスや夏期休暇中でおくつろぎの中と推察いたします。 私はこれまで、「表現力、説明力」能力に秀でた方と、出来ればお会いしたいと思ってきました。また、是非ともそのような方から強い刺激やそこに至った情熱を感じ取りたいとも思ってきました。
何故ならそれは、自分にとって憧れる能力であるからです。 今回は「表現力、説明力」について私が考える鍛錬の方法をご紹介したいと思います。気楽に読んでいただければと思います。
1. 説明力の要素
技術士に限らず、業務では専門的な内容を、相手や目的に応じて正確かつ論理的に分かりやすく伝える能力が求められます。単に文章が上手というだけではなく、技術的な判断や、他者が自分の提案を理解、納得、行動へ移行できるための説明力が求められます。具体的には、説明力として以下のような要素が必要であると思います。
1) 論理性 ・結論を明確に示す。
・根拠やデータを示し説明する。
・因果関係を整理して伝える。
2) 簡潔で分かりやすい
・専門用語は、必要により場面や相手に応じ使い分ける。
・一文は短く、完結させる。
・主語、述語を明確にする。
3) 相手に応じた表現力
・専門技術者には、専門的に説明する。
・行政や経営者には社会的、経済的な観点でわかり易く表現する。
・一般の方々には、専門知識がなくても理解できるようわかり易さに配慮する。
4) 課題解決の提案力
・現状課題を分析、整理する。
・複数の解決策を比較、評価、解説を加える。
・理由を示し、説得力をある提案を行う。
5) 倫理性と客観性の維持
・事実と意見を区別する。
・公平であり、偏った表現は避ける。
・技術者倫理や公益を意識し表現する。
技術士に必要な説明力とは何より、相手に応じて分かりやすく伝え、課題解決につなげる能力です。これは技術士試験だけに限らず、社会人の日常の実務においての素養としても欠かせない能力と考えます。
2.合意形成に不可欠
説明力は、関係者との合意形成やプロジェクト推進には欠かせないコミュニュケ-ション能力の一つです。異なる立場や利害関係者間の合意形成を円滑にし、プロジェクトを着実に推進するためには、欠かせない能力です。また、技術的リスクや社会、経済、環境への影響も含めた客観的説明では関係者間の信頼関係の構築や合意に基づく意思決定には不可欠です。
3.説明力を鍛える
説明力は、一朝一夕では身につきません。意識して自分で訓練することが大切です。説明力を鍛える方法としては、以下が効果的と考えます。
① 日頃から結論から話す習慣を付ける。その後には何故(理由)を示す。
② 対象相手(技術者、管理者、一般の方等)の目線に合わせ、説明方法を変化させる。
③ 優れた文章を参考に、音読、口頭説明練習を行い、時々第三者から評価を受ける。
4.技術士試験の準備
技術士試験の準備として、毎日15~30分程度、以下を意識的に練習する。
① 気になる新聞記事や技術ニュースを1つ選択、読解する。
② 「何が課題か」「原因は何か」「解決策は何か」「期待される効果は何か」をそれぞれ1~2文でまとめ、整理してみる。
③ 「もっと短く、もっと分かりやすくを追求する。」
これらの反復により、技術士に求められる論理性、簡潔性、説得力が身につきます。私の経験では新聞の社説や論説記事は、身近な活用ツールと思います。 説明力は、自分の知識示す能力ではなく、相手の理解と納得を得て相手の行動につなげるための能力です。その視点を意識して日々練習することが、日常業務や技術士試験に役立つことになると思います。
5.豊かな表現力
私の経験やこれまで出会った人で、表現力が豊かなだと思う人は以下の特徴があると思います。
1) 語彙量が豊富
同じ意味でも使用する場面に応じて、多くの語彙があり、その中から適切な言葉を選び表現することができる。豊富な語彙や知識量の蓄積があり、それをうまく活用し、豊かな表現力としてアウトプットしています。
2) 背景等の具体的描写
例えば、その場面の状況や背景、現実の姿をある種の感情も含めて、細かく詳細に表現でき、聞き手はそれを容易にイメ-ジすることができます。
3) リズムがある言葉
長い文章と短い文章を使い分け、プロミネンス(強調したい部分は際立て発音)を活用、言葉にリズム感があり、文章全体が躍動しているような感じをさせます。
4) 自分の考えを言語化
自分の意志や意見を根拠と理由により、的確に言語化できる。結果として、相手が理解しやすく状況となり、伝達されている。
6.説明力と表現力がある人の共通点
説明力と表現力の能力が備わった人は、次のような共通点があると思います。
・普段からいろいろな事象を、よく観察している。
・聞き上手である。相手からの情報や意見を引き出すことを自然にできる。
・普段から書籍や新聞記事などから、多くの表現方法や描写手法に触れている。
・自分の考えを、的確に言葉にするための訓練を意識的に行っている。
・常に相手の目線と立場を考慮した、コミュニケ-ションを意識している。
・「話すこと」を目的としておらず、「伝えること」を目的としている。
・相手の発言に的確に反応し、次の質問をどう切り出すかを常に考えている。
7.表現力、説明力の向上方法
表現力、説明力は、直ちにその能力が向上する訳ではありません。普段から以下を意識しその能力を向上することが重要です。
・読書を習慣とし、自分自身における「表現」を意識する。
・ニュースや本の内容を「30秒で要約する。」訓練を行う。
・他者を良く観察し、「なぜ、分かりやすいのか」を分析する。
TV等メディアの司会者やコメンテイ-タ-等、気になる人の表情、声、伝える言葉や会話における間などを、良く観察してみるのも参考になると思います。 日常からこれを意識向上することは、技術士第二次試験に必ず役立ちます。また、前向きな自己研鑽は、業務においても力強い武装能力になると思います。
次回は、自己研鑽すなわち「技術士にとっての学び」についてご紹介したいと思います。(以上)