「技術士に必要な読解力」

2026年08月08日 作成 / 執筆:アニ-講師

「技術士に必要な読解力」

 まもなく、お盆休暇です。皆さんそれぞれ予定を立てられていることと思います。皆さんは休暇中に読んでみたい、気になる書籍はありますでしょうか。

技術士は、業務やその役割として多数の資料を読むことが求められます。重要なことは、読んだ情報をいかに理解し、それを有効活用する力が必要です。最近は生成AI等を活用することで、書類や議事録の要約版を簡単に作成できるようになりました。但し、資料を読んで、理解する能力を備え、活用できる「読解力」がなければ本来の意味がありません。今回はこの読解力についてご紹介したいと思います。 

1.設問意図の把握

 読解力は、単に文章を読む力ではなく、技術的、社会的な背景を正しく理解し、本質を見抜き、適切な判断につなげる力です。特に技術士試験には欠くことのできない能力の一つです。 試験問題では、何を問われているか?その意図を正確に把握することが前提です。「課題」を聞かれているのに「対策」ばかり書いていては、合格は期待できません。「○○の観点から記述せよ。」等の設問は、○○の観点を確実に示し、その上で課題を示すことを意図しているのです。

 2. 条件を見落とさない

 技術士試験では、問題文に条件が設定されています。これらの条件(限定予算、人材不足、維持管理、防災・減災害、低炭素社会等)は見落とさないで、見出し文や記述内容において確実にこの条件に応じた論述が必要です。

 3. 要約力

 技術士は、情報を整理し、理解する能力とそれを要約する力が求められます。重要事項は何か、不要な部分はどれか、その根拠となるデータ、評価・分析において前提条件、評価結果、考察等を的確かつ簡潔に、まとめあげる力が必要です。

 4. 行間を読む力

 技術士試験では問題文の内容すべてが、記述されているわけではありません。例えば「インフラ老朽化が進む地域で……」とあれば、「何を想定しているのか?」対象としている事象のバックグラウンドを想定し、論じることが肝要です。すなわち記述されていない行間に存在する見えない課題を、読み取り、拾い上げる力と、これに対する洞察力が求められているのです。

 5. 多面的視点

 問題や課題、解決策の抽出には多面的視点から、物事を捉えることが必要です。技術士は技術だけではなく、一つの文章を読んで、「技術的には可能だが、社会的にはこのような課題やリスクが残る。その上でどう対応して行くべきか。」というように多面的視点から、思考することが必要です。すなわち、常にリスクやトレ-ドオフの関係に着目した視点を持ち、その先に、どうすることが最善であるかまでを見通す力が求められています。

6. 根拠の提示力

 技術士は解決の方向性を自ら判断し、それを考察、結論付け、解決する力が重要です。そのためには、結論を導くプロセス思考とそれを裏付ける根拠を提示する能力が備わっていなければなりません。

 7.読解力の本質

 技術士試験では、出題意図の把握、応用、判断、つまり「読むこと」自体が目的ではなく、読んだ内容を分析し、技術者として適切な判断と提案につなげる力がこそが、求められる読解力と考えます。

 8.読解力を養う方法  

 読解力は短期間に身に付くものではありません。これを養うためには一定の努力が必要ですあり、以下を実践、コツコツ進め、そのスキルを身に付けましょう。

 ① 問題文を分析することを習慣にする。

 ② 文章の一段落ごとに要約文を考える。

 ③ 「なぜ?」「どうして?」の自問を繰り返す。

④多様かつ多数の技術資料を読み、整理する。

 読解力を養うには日頃から、例えば、国土交通省などの白書や技術資料、専門分野協会誌の技術論文等、実務に近い文章に触れることが重要です。これらは、技術士試験で求められる論理的文章に慣れることに対しても重要であり、有効な参考書と考えます。

 9.説明する。  

 読んだ資料を理解した上で他の人へ説明することもまた、読解力の向上に重要な要素です。どの部分がキーポイントであり、それがどのような展開、発展につながるかをわかり易く説明すると、より説得力へつながるものと考えます。

 10.技術士試験へのトレーニング

 毎日20~30分程度で良いです。次のようなことを意識し取り組むと、技術士試験に対し、効果的トレ-ニングとなると思います。

 ① 技術記事や行政資料を1日、1件読む。

 ② 記載内容を200字程度で要約する(5分)。

 ③ 「筆者が最も伝えたいこと」を一文で書く。

④「技術士ならどう対応するか」を考える。 毎日、短時間でこの習慣を続けることで、「読む力」と「考える力」、そして「書く力」が一体となって鍛えられます。毎日のトレ-ニングが鍛錬された能力へと変身して行きます。

 11.読解力の高い人

 読解力の高い人とは、文章の内容や筆者の意図を正確に理解し、必要に応じて考えを深められる人、例えば以下のような特徴を有する人を言うのだと考えます。

 ① 何が一番伝えたいことなのかを理解できる。

 ② 知らない語彙があっても、前後の文脈から意味を推測できる。

 ③ 筆者が伝えたいことを、推測して考えられる。

 ④ 事実と意見を区別し、原因と結果の関係を理解できる。

 ⑤ 批判的に読むことができる

12.読解力向上のポイント  

 読解力向上のポイントは、「考えながら読むこと」であり、特に、わからないことや、新しいキーワ-ド等は自分で調べることが大切です。その能力向上するポイントは以下と考えます。

① 語彙量を増やす。

② 幅広いジャンルの著書、資料を読む。

 ③ リズム感ある音読を繰り返す。

  次回は、ビジネスマンとして誰しもが求められる相手にわかり易く、どのように表現(表現力)、説明(説明力)する能力を身に付けるかについて、ご紹介したいと思います。(以上)

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