「骨子メモから、合格する技術士試験解答文」

2026年06月13日 作成 / 執筆:アニ-講師

「骨子メモから、合格する技術士試験解答文」

 これまで本コラムでは、解答文に有効と思う記述ポイントについてご紹介してきました。今回はその総括的とも言うべき、骨子メモから、わかり易い合格答案の記述方法について、私の元職場の元新聞記者の方の経験談を踏まえ、ご紹介したいと思います。

 1.元スポ-ツ新聞記者  

 この方は、某スポ-ツ紙の元記者の方でした。縁あって同じ職場となり、若手技術者に対する文章記述方法等の指導を、ご支援をいただきました。  記者としてのスタ-トはプロ野球の新聞記事となる場面を現場から、本社へ伝達する役割だったそうです。今から約50数年前当時は特に、ファーム等の試合はTV中継等がないので、試合現場の先輩記者から渡される伝達メモから、現地の電話から本社キャップへ情報伝達する方法が主流だったそうです。

 2.メモの繋ぎ合せ  

 先輩から言い渡される断片的な試合の場面をメモし、瞬時につなぎ合わせ、即座に文章を構成、それを本社へ伝えることが新人の役割だったそうです。報道という他社よりも速いスピ-ドが求められる勝負の世界ですから、新人が通る道と言え、ハードルが高い状況であったと推測されます。まさに骨子メモから技術士試験解答文に繋げる能力が求められることが容易に想像できます。

 3.わかり易いことの重要性

 1)3秒で印象付ける

  試験官は、解答文をじっくりとは読んではくれません。見た目の数秒間で評価が決まると言っても過言ではないと思います。人の第一印象と同様に、解答文は見た目で判断されます。パットみて読みたくなるような意図的な記述が必要です。 さらに最初の1文で結論を言い切り、試験官へインパクトを与え、「何の話か」を瞬時に伝えることが重要です。3秒で論旨を伝えることを意識する必要があります。特に、導入文は解答文の全体像を印象付ける要素であり、重要な役割を果たします。

 2)「型」に押し込む

 技術士試験はじっくり考えながら書く記述時間はありません。このため、タイムマネジメントの点から、その「型」に押し込んで、時間配分の効率化を図り「結論→課題→原因→対策→効果」に落とし込むことが必要です。 この順に構成するだけで、記述文は論理的になり、試験官から安定した一定の評価が得ることができます。

 3)シンプル文を徹底

 記述文は情報が多ければ多いほど、理解が困難となる可能性があります。「一文一意」を基本とし、「~は〜である。」「〜であるため、〜とである。」など、シンプル文で簡単に読むことができ、読み手の負担軽減に配慮しましょう。とにかく、試験官がスラスラと読めることを第一優先と考えて下さい。

 4.メモから解答文へ  

 想定課題を仮に設定した場合の記述例として、骨子メモからわかり易い解答文へ繋げる方法を以下に紹介します。参考になれば幸いです。

 ●想定課題例:「激甚化・頻発化する自然災害に対し、防災・減災の観点から技術者としての課題と解決策を述べよ。」を設定します。以下のように骨子メモから解答文へと肉付けし、解答文へと繋げていきましょう。

 5.解答文の構成メモ  

1)背景  

◆メモ:自然災害/ハード&ソフト/総合/防災対策

⇒激甚化する自然災害に対しては、従来の設定基準を超過することに備え、ハード・ソフトを組み合わせた総合的な防災・減災対策の強化が重要である。

 2)課題(複数案)

◆メモ:インフラ耐災害/避難伝達/防災意識

⇒その主な技術的課題として、以下が挙げられる。

①既存インフラの耐災害性能が不足している。(既存性能の観点)

②災害情報の伝達が遅れ、避難行動に結びつかない。(情報伝達の観点)

 ③地域住民の防災意識に、個人差がある。(住民意識の観点)

 3)要因

 ◆メモ:想定外/情報共有/防災教育

これらの課題は近年の気象環境の変化に伴う想定外豪雨の頻発や、これによる外力増大に対する既設インフラの剛性及び耐震性の不足、情報共有体制の未整備、防災意識の希薄性がその要因として考えられる。

 4)対策案と有効性

◆メモ:強靭化/弱部/制約/被害最小化/防災情報/避難/社会システム/地域防災力/防災意識/地域コア活動/広域連携

上記課題の解決策として以下の施策を展開する。

 ① 河川堤防の強化等インフラ強靭化と戦略的メンテナンスマネジメント

・災害時の弱部が整備強化されることで、住民生活の安心感が向上する。

・限定財源や人材制約のもと、着実かつ効率的メンテナンスを継続できる。

 ② ICT等情報コミュニティ-ツールの活用と被害最小化社会システムの実装

 ・災害情報のAI等先端技術活用により、平時からの情報共有が可能となる。

・災害予測から避難へ繋げ、社会システムとして国民生活の安全度を向上できる。

 ③ 防災訓練や地域の防災教育の継続による地域防災力の強化

・訓練や教育により防災に関する平時からの危機意識が醸造される。

・地域のコア活動を水平展開することで、広域連携の促進と防災力強化に繋がる。

 6.「キーワ-ドカード」の準備  

 事前に準備するキーワ-ドカード:「ハード&ソフト防災対策」としての例として以下に示します。

数多くのキーワ-ドカードを作成、準備、頭の中の引き出しとして活用下さい。

作成したキーワ-ドは、諸設問への対応と応用が可能です。是非、準備して下さい。 

 ◆ 「ソフト&ハード防災対策」キーワ-ドカード◆

  本課題に対しては、ハード・ソフトを組み合わせた防災・減災対策が重要である。

  主な課題は、構造物の性能不足、情報伝達の遅れ、住民意識の不足である。

 これは、外力増大への対応不足や情報基盤の未整備に起因する。

  したがって、構造対策、ICT活用、教育強化を推進する。

 これにより、被害軽減と迅速な避難が可能、社会の防災力強化となる。

7.技術士らしさの重要視点  

 解答文を、試験官に技術士としてふさわしいと思わせるには、それを感じさせることが重要であり、以下のポイントを重視、記述表現に工夫、技術士らしさをアピ-ル下さい。

・安全、安心の最優先:国民生活の安全、安心や「人命」の最優先を入れる。

・避難行動:予測、情報発信から「避難行動」へつながる社会構築について訴求する。

・事前対策:「備え:事前対策」と「機動:発災時対応」を分けて論述する。

先端技術:先端技術の活用後の効果と残るリスク課題と対策を言及する。

 今回は骨子メモから、わかり易い論述へ繋げることについて紹介しました。次回は試験本番で役立つ、「解答文字マスを埋めるテクニック」について、ご紹介します。(以上)

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