2026年02月28日 作成 / 執筆:アニ-講師

「技術士試験の波及効果と展望は」
最近の記述及び口頭試験内容の傾向として、課題解決によって得られた業務成果や、その後の波及効果が求められる場合があります。何故なら、技術者としての実力、影響力、再現性を有しているか否かを、試験官が判断する重要ポイントであるからです。 今回はこれの準備しておくべき、基本的な考え方及び記述方法とその例文について、以下にご紹介したいと思います。
1. 業務成果の表現方法
1)着目点
業務成果について試験官が着目している点は、以下と思います。
・課題に対して何を改善し、どんな目標を達成したか。
・どんな技術的工夫があり、その判断は成果となって現れているか。
・数値として定量的、客観性が明確になっているか。
2)表現キーポイント
表現のキ-ポイントとしては、以下を盛り込むことが重要と考えます。
・目標、改善数値・指標を入れる(%、期間、件数、コスト等)
・「~に貢献した」「~を実現した」「~に寄与できた」など、結果重視の表現とする。
・自身の責任、役割を明確にし、自らが判断、提案した事実を強調する。
3)記述例文
本業務では、老朽化した○○施設に対し、劣化要因を分析、LCC削減効果のある複数想定案を評価、最適な補修工法を選定、○○に工夫し、コスト縮減による施工計画を立案した。その結果、補修後の耐用年数を約20年の長寿命化、維持管理コストを従来比の約2割程度削減する成果を得た。
2. 波及効果の表現方法
1)着目点
波及効果について試験官が着目している点は以下と思います。
・成果が自身の業務範囲を超え、その後どのように活用されたか。
・組織、他事業、関連業界へのどのように展開されているか。
・技術士としての影響力や視野の広さを発揮できたか。
2)波及効果の内容と方向性
波及効果を示す際の内容及び方向性を示す記述では、以下を考慮すると良いと考えます。
・アウトプット:組織の技術マニュアルや基準、標準化、経験知の水平展開
・関連事業:参考事例としての情報知活用
・人的資源:人材育成、技術伝承、ナレッジマネジメント
・社会性、公共性:作業効率の改善、コスト縮減、安全性の向上、環境負荷の低減
・経営:高品質化、信頼度、組織提案力や顧客満足度の向上
3)記述例文
本業務で提案、実施した補修設計手法は、社内技術資料として整理、取り纏め、同種構造物の設計マニュアルとして活用・展開されている。結果として、類似案件における設計期間の短縮、発注者からの業務評価の向上が図られ、組織全体の技術力向上に寄与できた。
4)「業務成果+波及効果」の一体化記述例
本業務では、○○の課題に対し、現地調査結果を基に劣化進行モデルを構築し、最適な補修時期と補修工法を提案した。その結果、構造物の安全性、耐久性の改善を図り、機能持続による延命化を図り、従来手法に比較し約20%程度のライフサイクルコストを削減できた。 本業務成果を社内の標準的設計例として取りまとめ、他の維持管理業務へ適用、関連部署等へ水平展開を図った。新規の情報は定期的に更新作業を行い、現在も継続活用されている。同種構造物の点検、補修計画の効率化、高度化に対し、波及効果を発揮できたと考えている。
3. 将来展望に対する記述例
業務成果に対する将来展望の設問に対しては、以下の点を参考に記述下さい。
1)不適な記述例文
①抽象的:今後も社会に貢献していきたい。
⇒何を?どうやって?が具体的に示されていない。
②願望のみ:将来的には業界をけん引する役割を担いたい。
⇒意気込みだけでは技術士試験では評価されにくい。
③成果との連携:AIやDXを積極的に活用していきたい。
⇒業務成果とのつながりが分かりにくく、連携の方法を示す必要がある。
2)記述例文
本業務により、○○構造物の設計の合理化と品質向上が図られ、施工性及び維持管理性を向上、試算したLCCを約1割程度、低減できた。 今後はインフラの老朽化進展や技術者不足が緊喫課題であり、より効率的かつ信頼性の高い設計・維持管理手法が求められる。本成果を活用し、設計手法の標準化、高度化を図るとともに、関係技術者へ情報共有し活用を促進、安全性が高く、持続可能な社会基盤整備に貢献していきたい。
4.あなたの意見を求められた場合の記述例
「技術者としてのあなたの意見を述べよ。」が設問として予想されます。その場合は以下の記述方法はいかがでしょうか。
・「本成果を基礎資料として、今後は○○の高度化、標準化を促進し、△△の課題解決に向け、技術者として日常業務を通じて、公益の確保に貢献して行きたいと考えている。 ・社会的要請を踏まえ、本業務成果の情報共有による活用と一層の技術進展を図ることで、□□の実現に向け、社会貢献に寄与したいと考えている。
次回は、堅苦しさから解放される「技術士試験に大切な自分空間」について、ご紹介したいと思います。(以上)