2026年02月07日 作成 / 執筆:アニ-講師

「技術士にふさわしい業務の棚卸し」
さあ、2月になりました。今月の試験準備に対する目標スケジュ-ルは、自身の技術士にふさわしいと思う業務を掘り起こし、
業務経歴書作成の準備に取り掛かかることです。 重要なことは自分が描く「技術士観」すなわち、「技術士とは」どうある
べきかについて、イメ-ジの確立が必要です。
今回は、これまで皆さんが経験した「代表的業務」を一度棚卸し、それを掘り下げ、願書業務経歴欄に記入する基礎情報とす
ることの重要性について、ご紹介したいと思います。
1.「棚卸の目的」の明確化
経験業務の棚卸しの目的は、「技術士としての能力を説明できるか?」を明確にすることにあると考えます。
具体的には自分の経歴について以下をまず、整理しましょう。
・専門分野や経験業務の履歴
・過去、日常の専門教育、履修CPD
・自分の強み、弱み分野の再整理
・過去の第二次試験受験の履歴(業務経歴票・体験記述)
2. 自分史の整理
技術士試験の業務経歴表の記述に際しては、実際業務において技術的に判断した事項、すなわち何故、自分はそう判断したか
を掘り下げ、以下の自己履歴を再整理しましょう。
・過去の業務において顕在、発生した課題、問題点
・クライアントからの要求性能、制約条件
・リスク、コスト、安全性に関する課題
・解決に対する複数案の比較検討と技術的評価
・対応策実施の成果とクライアントからの評価
3. 問題解決における思考プロセス整理
業務の棚卸しでは案件ごとに、以下の各プロセスの思考経過を整理しましょう。
1) 背景・課題
技術的課題、制約条件(条件、コスト、工期、法的遵守事項など)の有無と内容
2) 自分の役割
業務責任者か、担当分野責任者かなど責任範囲の明確化
3) 検討内容・工夫点
検討時における解決策及びその代替案の比較、分析・評価、採用における技術的根拠
4) 成果・効果
課題対策実施による品質向上、コスト削減の程度、トラブル防止等の成果
4. コンピテンシ-の抽出
業務の棚卸しでは、技術士として必須能力である「コンピテンシ-」と結び付けて、この業務で、どんな能力を発揮できたかに着目、
文章化することが必要です。それぞれのコンピテンシ-事項について、論理的かつ、スト-リー性を考慮し、以下の観点に基づく
アピ-ル記述が不可欠です。
制限ある業務内容欄に下記のようなキーワ-ドで、「技術士にふさわしい業務」であったことを例えば、以下のような強調方法はいかがでしょう。
・専門技術力を発揮した○○検討業務
・課題に対する作業プロセスを○○分析に基づき、解決方法を提案
・マネジメント(工程・品質・安全・コスト)により、パフォ-マンスを最適化
・専門技術の複合プロジェクトにおいて、リーダ-シップを発揮、目標成果を達成
・3D動画のコミュニケーションツールの活用よる合意形成(調整、説明、説得)
・技術者倫理、法令遵守に基づき、複数解決方策の検討と最善案の抽出
5.結果のフィ-ドバックと新たなリスク
実施対策は必ずしも100%成果が挙げられたとは限らないと考えます。例えば、以下のように新たなリスク事象の発生が想定されます。これに
対する改善の必要性や、残された課題、展望について言及することも重要な視点であり、以下に関する結果のフィ-ドバックの視点を忘れては
なりません。
・想定外の問題、追加、対応措置の発生
・結果として見出された改善点と今後課題への対応
・組織として情報共有、標準化、経験知、情報知への波及と展開
6.専門分野の再認識
業務経歴は専門技術や対応内容がバラバラに見えないよう、共通する技術テーマ、日常の従事技術、得意分野、独自性を改めて振り返りましょ
う。「自分は〇〇分野の技術士である。」と明確に言えるように、専門分野についても再位置づけを行って下さい。
7.多様な業務を選定
願書作成を意識し自分が主体的な役割を果たした業務を選別、技術的に説明しやすい業務を及び2~3件業務について選択します。「質が高く、
技術的に深く詳しく説明できる。」と思う業務を時系列に従い、整理しましょう。この際、取り組んだ業務については、それぞれ技術的特徴が
あり、課題解決手法が異なる内容を選択し、多様な業務経験を示すことが有効です。
8.「技術士目線」による記述文
記述文については、専門家でなくとも誰が読んでも分かる表現、根拠、数値基準をわかり易く明示することが求められます。但し、話し言葉では
なく「文語体記述文」での表現が必要です。また、「技術士目線」であることを常に意識した文章として下さい。但し、難解な文章ではなく、「平
易な表現で複雑なことをわかり易く伝えること」を意識して下さい。
9.棚卸の効果
棚卸しは、今後改善すべき点や、手順が非効率的な部分を改めて発見できます。また、今後の業務をより効率的にする改善策を立てやすくなり、
技術士試験の準備は、日常業務への相乗効果として発揮されると考えます。次回は、この業務の棚卸しの結果により、コンピテンシ-を戦略的に
願書に示す記述方法についてご紹介いたします。(以上)