2025年11月15日 作成 / 執筆:アニ-講師

「あの人のようになりたい:リーダ-シップとマネジメント」
筆記試験を通過された方々は、これから口頭試験本番まで、極めて中身が濃い期間を過ごすことになることを理解し、今後の試練に挑んでいただきたいと思います。 今回は、技術士口頭試験でその資質として確認される「リーダ-シップとマネジメント」の口頭試験対策にご紹介したいと思います。
1. 自己組織、役割の再整理
まず、自分が所属する組織の体制と自身の職位と役割について改めて再整理して下さい。自分が組織から与えられている使命について認識を新たにして下さい。口頭試験では単に知識や経験を説明するだけではなく、「技術者として、チームやプロジェクトをどのように牽引し、問題解決に導いたか?」を示す必要があります。 ここで重要な点は組織の大小ではありません。特に若手の方々は、経験があまり長くありませんから、この部分に戸惑われる点かと思います。どんなチームや組織で、どのような業務を行っているか、自分はその中でどんな役割を担っているか、技術士にふさわしいした業務の以下を明確にしておく必要があります。
・存在した問題と課題
・自身の役割
・自身の行動
・得られた成果と評価
2. リ-ダ-シップとマネジメントとの違い
口頭試験に際し、改めてリーダ-シップとマネジメントとの違いについて、整理しておくことも重要です。
1) リーダ-シップとは
リーダ-シップとは、チームや組織目標に向け、人を動かす力を指します。すなわち、チームや組織に影響力を与え、新しい取り組みに挑戦するけん引役を担う人とも言えるでしょう。
2) マネジメントとは
一方、マネジメントは組織資源(人、物、金、時間)を管理し、目標を達成するための管理能力です。プロジェクト遂行に必要な工程、品質、コスト、安全等を適切に管理するプロジェクト運営能力がある人、とも言えるでしょう。
3.あなたが目指すリーダ-の姿
まず、あなたの周囲の誰かをイメ-ジして見て下さい。あなたはどのような人がリーダ-にふさわしいと思いますか?また、あなたが目指すリーダ-の姿や、あの人のようになりたいと思う人はいますか?例えば、以下のような人がそのイメ-ジとして考えられる人と思います。
1)明確なビジョン
チームに「なぜそれを目指すのか」を理解させる。明確な目標や方向性を提示する。短期的な課題だけでなく、長期的視点で物事を捉え、計画的実施する。
2)コミュニケーション能力
メンバーの意見を丁寧に聞き、相手の立場を理解し、信頼関係を築きながら、自分の考えを分かりやすく伝え、チームへ方向性を示す。
3)責任感と決断力
難しい状況でも逃げずに決断を下し、結果に対して責任をもつ。絶えず改善策を考えながら行動する。
4) 柔軟性と適応力
状況変化に対し、柔軟に対応でき、従来の手法や固定観念にとらわれず、新しいアイデアや方法を、積極的にチームワークに取り入れる。
5) 動機づける力
組織やメンバ-の強み、弱みを理解し、冷静にそれを活かすように働きかける。メンバ-に対しては、「声かけ」「励まし」「支援」により、動機付けを継続する。
6) 率先炊飯
自ら率先して努力する姿勢が、周囲の信頼と尊敬を生む。言動に一貫性があり、公平・誠実に行動する。
7) 反省を活かす
チーム内に建設的なフィードバックを与える。他人からの意見や批判を冷静に受け止め、新たな改善志向に基づき、組織に新しい風土を醸造して行く。
4.想定設問事例
想定質問事例を以下に示します。抽象的でなく、具体的行動とその成果、実績や改善効果を示すと、より説得力があるものと思います。
・リーダ-シップを発揮できた業務を紹介して下さい。
⇒通常業務でのあなたの立場を説明し、総括あるいは担当セクションの責任者として主導的に業務を遂行していることを説明して下さい。
・組織、人材関係者の中で、苦労したことはありますか。それはどう克服しましたか。
⇒主体的に行動し、関係者間をいかに調整するかを念頭にチームの方向性示すようにしています。
・あなたがリーダ-として、最も意識している点は何ですか。
⇒信頼と協力、組織牽引力と考えます。
・これから、リーダ-としてどのように取り組んで行くつもりですか。
⇒部下から、憧れるような人材をめざしたいと思います。
・リーム力を向上するためのリーダ-の役割は何ですか。
⇒自ら難しい事柄に積極的に取り組み課題解決や改善志向を組織をつくることです。
・リーダ-シップについて、普段、工夫や留意している点はありますか。
⇒チームメンバ-との雑談、意見交換や共に楽しく働く職場環境づくりに留意しています。 皆さんが普段、リーダ-としてチームを成功に導くために頑張っていることを伝えることができれば問題ないと思います。
次回は、リスクマネジメントについて紹介したいと思います。(以上)