Ⅱ 総合監理 約に立ったISO

2025年10月04日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数: 31

「Ⅱ 総合監理、役に立ったISO」  

 私の記憶では平成13年度から、新しい技術部門として「総合技術監理部門」が創設されたと思います。今回は「総合技術監理部門」の私の受験体験及び口頭試験の準備ポイントについて、ご紹介したいと思います。

 1.唯一のテキスト:青本

 科学技術が複雑化する現代社会において、1つの専門技術だけに限られた技術力だけでは直面する諸課題を解決することは困難です。一方、プロジェクト遂行に際しては課題解決を行うに際して様々な問題、事故、環境負荷等のリスク発生が想定されます。これらへの対応は、個別の専門技術的に対する業務管理だけではなく、安全かつ公正、的確にプロジェクトを遂行する総合的なマネジメントが求められています。このため技術士の新たな分野として「総合技術監理部門」が創設されたと私は、認識しております。 私は建設部門合格後、独自に環境マネジメントシステム(ISO関係)の審査員の勉強を進めていたこともあり、受験を試みました。初年度の試験でしたので情報は少なく、参考テキストは唯一、当時良く言われた「青本」でした。一見して日常的に馴染みにくい項目が多かったように思います。

 2.私の学習方法

 どんな問題が出題されるのかは、受験者は誰もが不安であったと思います。但し、受験者の多数はすでに技術士を取得した方々が受験する試験です。試験問題の内容や難易性に関し、ネット上では楽観視する意見も、少なからずありました。  私は自慢にはなりませんが、「合格まで、苦節10年選手」ですので、とても楽観的な受験など考えられませんでした。青本の管理項目の内容を何回も読み、とにかく関連情報を調べました。受験に際し、総合技術監理部門に対する私なりの捉え方を以下のように整理してみました。  

・監理、すなわちマネジメントに特化した部門であること。  

・業務遂行において日常的管理項目(人、物、金、安全、環境、リスク倫理等)をいかに適切かつ適正にバランス化すること。  

・各監理項目間の折り合いを調整し、総合的に最大限の効果を発揮すること。  

・そのためISO等のマネジメントシステムの活用やその考え方が重要であること。

・業務遂行に対して技術者は公正、誠実な倫理感に立脚すること。 

3.施工管理や安全管理を例にイメ-ジ  

 過去問題の前例がないので、複雑で輻輳する制約条件をいかに解決していくかを構想し、自身で課題想定した解答文を幾つか作成しました。私は専門分野が施工計画でしたので、これまで経験した施工管理面での課題と対策が事前の準備としてはイメ-ジがしやすく、総合技術監理で求められる項目を自分自身の過去の経験と照らし合わせ、以下のような内容構成の事前解答文を準備しました。

 1) 安全管理 :厳寒積雪気象下の道路規制に伴う凍結路面等交通事故、労働災害リスク対策

 2) 人的資源、情報管理 :複数工程間の夜間工事工程調整、人材配置、関連工種間の情報共有化対策

3) 品質管理、原価管理 :厳寒気象下、寒中コンクリ-トの養生温度管理の品質管理とコスト管理対策

 4) 沿道対策及び環境管理 :市街地工事における住民コンセンサス獲得のための沿道及び生活環境対策

 4.役にたったISOの知識  

 私は施工計画分野を取得後、当時IS0について個人的に勉強していました。そのこともあり総合監理部門は全てではありませんが「プロジェクトマネジメントシステム」の視点で、考えてみるとわかり易いことに気づきました。  通常業務を行うに際しては、必ずやリスクは存在します。そのリスクを事前に把握、抽出、評価、対策立案、実施移行、FB(フィ-ドバック)するPDCAによるスパイラルアップのマネジメントスタイルが必要であることを、自分自身の総合技術監理部門の理解や考え方において、役立てることができました。

5.口頭試験と転職の決意

 口頭試験会場には予定時間より前より、早く着きました。会場から口頭試験終了後の受験者が会場から出てこられましたが、その表情からは、皆さん、あまり晴れやかさを感じることはできませんでした。  記憶は薄れていますが、「何故、総監は必要か?」、「リスクをどのように評価しているか?」、「その対策事例は?」など、口頭試験は概ね事前に予想したQ&Aの通りであり、以外に淡々と進行し、難問や回答に苦慮することはなかったと思います。  お蔭様で、2つ目の技術士合格を手に入れることができました。当時私は43歳でしたが、思い切って当時の会社の退職を決意、その後、新たな世界へ挑むことになりました。

 6.総合監理部門の口頭試験準備ポイント

 総合監理部門の口頭試験の準備ポイントを私なりに以下に整理します。受験者諸氏にお役に立てば幸いです。

 1)業務経歴・経験論文

・業務内容:業務の背景 → 自分の役割 → 問題点 → 解決策 → 成果の流れで簡潔説明

・苦心点、工夫点:技術的課題+マネジメント面の課題の両方から説明と、工夫した点

・技術力、判断力:自身が経験した困難な事案業務の技術力、判断力の発揮事例

 ・総監5項目:総合技術監理の視点(安全・品質・コスト・工程・情報)の説明

 2)マネジメント能力

・若手指導:実践しているOJT、技術伝承、教育計画の立案、方針や方法の具体例 ・リーダ-シップ:自身が考えるリーダ-像、チームマネジメントの具体例

3)最近の技術動向

・注目される新技術分野:ICT活用、カーボンニュートラル、BIM/CIM、AIの活用など時事トピックや先進事例

・環境課題等:SDGsや環境配慮、社会的責任・持続可能性の視点に基づき、今後取り組むべき事項に対する自分の意見

4)コミュニケ-ション力

・説明:相手にわかり易く、簡潔な説明と柔軟な対応力

・合意形成:利害関係者との合意形成の方法、留意点及び事例

・工夫:コミュニケ-ション上の工夫点

5)技術士倫理

・不正:不正を発見した場合を想定し、技術者倫理

・社会的責任・内部通報体制・報告義務などを含めた説明

・コンプライアンス:対応すべき留意点、手順(発見、対応、証拠、報告、管理体制)と措置

・技術士倫理要綱:自分の言葉で内容を概説できること。  

 次回は、私の「建設環境」分野の口頭試験体験記とその受験ポイントについてご紹介したいと思います。(以上)

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