2025年06月07日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数: 117
「多面的とは、ひと、もの、かね&技術」
必須問題等において、「技術者としての立場で多面的な観点から解決策を述べよ。」という設問があります。今回はこの多面的な観点についてどのように捉え、組み立て、解答記述すれば良いか、私の私見について以下に紹介したいと思います。
1. 多面的な観点とは?
多面的な観点とは、一つの視点や要因だけでなく、さまざまな角度、立場、分野から問題を捉えて、総合的に考えることを意味します。
2. どのような観点なのか?
例えばあることに対する解決策に言及するとした場合、その方策は一つだけに限定されるものではなく、複眼による総合的であることが必要です。これを構想するにあたってはシンプルに捉え、次の点から考えてみてはどうでしょうか? 何かを実現しようとする時は必ず、いわゆる「人・物・金・技術等」に代表される資源が必要です。したがって、「多面的」の設問に対しては、必要な資源である「ひと・もの・かね・技術」と紐付けて、考えてみると構想しやすくと考えます。
3. 多面的な観点、思考の利点とは?
多面的な観点による思考の利点は、以下が挙げられると思います。
・多様な利害関係者の視点を網羅できること。 ・一方的でなく、偏りがなくバランスが図られた提案ができること。
・1つの策の限定や依存がなく、リスク分散につながること。
・総合的な見解であることから読み手の納得感を得やすいこと。
4.資源として捉えた記述(案)
必要とされる多面性を各資源について記述するとした場合、以下を参考にイメ-ジ、論述してみてはいかがでしょうか。
1) 人的資源:ひと 解決策遂行に必要な人材や集団像、人材の確保・育成、人材教育方法、組織構成
2) 設備資源:もの 必要インフラや社会的制度、最新設備やシステム、リテラシ-
3) 財源:かね 中長期的投資財源、捻出及び配分方法、投資優先順位、コスト経済性、効率性
4) 技術資源:やり方 期待新技術と効果、現行システムの改善性、信頼性、性能、省人化、導入・普及
5) 社会・環境資源:まわり 関連法令の整備、コンセンサスの獲得、顧客影響、省力化、省資源、SDGs
5.施策展開とリスクは表裏一体
現在、展開中あるいは今後推進が予想される施策等については、リスクが必ず潜在しています。例えば、以下がその例として考えられます。
① 「人材は確保できたとしても、技術習得に長期間を必要とする。」
② 「集中した設備投資が必要であるが、初期投資負担が多きすぎて実現が難しい。」
③ 「新技術は開発したが、需要促進の社会的仕組みが不十分である。」
など、施策展開とリスクとは、表裏の関係にあることを認識することが肝要です。 「解決実行に対し、改めて新たに生じるリスクと対策」の設問に対しては、リスクは新たに生じるのではなく、元来、潜在しているものなのです。 言い換えると潜在リスク(課題)をどう解決していくかという言及が求められていることを意味しており、解消できない課題やリスク項目は必ずあるもので、それについてどの資源を配分していくかを考えるとイメ-ジしやすいと思います。
6.技術研究・開発はかくし玉
上記で示したようにどの極端に言えばリスクが伴わないものはありません。例えば、技術開発等の「トップランナ-方式」に代表されるように、「これで完結!」ということは無いに近いと思います。絶えず新しい革新的技術開発は社会的ニーズとして存在しています。
したがって、リスクや新たな対応策等を記述する場合は、日進月歩で要求される「技術研究・開発の側面」からアプロ-チする記述方法が、イメ-ジしやすく、どの分野・項目においても「的外れの解答になることはない」と考えます。 技術研究・開発については、終点はないのでどんな観点からもその必要性を訴えることは「正論」であると思います。
万一、本番でキーワ-ドが思い浮かばない時は、潜めておいた技術研究・開発(:「かくし玉」)を多面性表現のテクニックとして活用する方法をお勧めします。 (以上)