2025年05月31日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数: 123
「白書からキーワ-ドを拾いあげる。」
今回は、必須問題を中心に専門部門の白書から、技術トレンドやトピックス・キーワ-ドを拾いあげ、見識の高さをアピ-ルする記述方法について、以下に紹介したいと思います。
1. 白書は参考書
技術士試験は各技術専門部門の白書に対する認識と理解が、極めて重要であると言われています。毎年、技術士試験の直前時期に、各部門の白書が発刊されます。白書には各部門におけるこれまでの歴史的変遷や経緯、現状、直面する課題、今後の予測、現在展開中の政策・施策等が記載されています。文学的な著書としては期待が少ないですが、技術士第二次試験の必須問題の準備テキストとして「マスト・アイテム」とも言うべきものです。試験に必ず出る問題の参考書として捉え、是非、受験者諸氏にはネット等で目を通して、準備していただきたいと思います。
2.テキストとして重要な理由
白書が受験テキストとして重要な理由は、明確な目的意識をもって読むことで、備えておくべき情報を確認でき、各部門の現状分析に基づく諸情報の把握に役立つからです。白書については以下の点に着目し、整理・活用することをお勧めします。
•国の方針、施策、最近、改定・制定された法律等の内容
•施策の理解とそれに対する自分の意見及び自身言葉によるアウトプット表現
•重要課題や展開施策の状況分析
・トレンド・キーワードの抽出と取組み事例の参照
・解答文として使える文章作成や図表の整理
3.技術者見識アピ-ル
現状に対する認識や克服すべき課題を記述する際は、正確な事実情報に立脚していることが肝要です。例えば、建設白書から人口減少、高齢化の進展状況を引用するとした場合、以下のような箇所に着目して下さい。 白書文例)~将来推計人口では、2070年には、我が国の人口が9,000万人を 割り込むと推計されている。また、高齢化も進行し、65歳以上の人口割合を示す高齢化率は、2020 年の28.6%から、2070年には38.7%へ上昇すると推計されている。 上記は、下線部箇所のように分析根拠に基づく予測が具体に示されており、より説得力があるものと考えます。但し、実際の解答記述では、数値は時間経過により変化するので、細かな数値よりむしろ概数的表現(約何割、約〇%程度)の方が良く、現状に基づいて、それをしっかり認識していることを示すことが重要です。白書は分析・根拠に基づくトレンド、トピックス、技術的キーワ-ドにより、技術者見識をアピ-ルできる重要な引き出しであると、私は考えます。
4.白書から見つけたキーワ-ド紹介
現在、私が添削指導中の方への参考資料とするため、昨年度の建設白書から私が目にとまった想定課題・解決策のトレンド・キーワ-ドを以下にご紹介、列挙します。受験者諸氏の準備解答文の作成に参考になれば幸いです。
1) 担い手確保:ダイバ-シティ&インクル-ジョン、キャリア形成サポ-トプログラム、ハロ-トレ-ニング、建設ロボテクスの積極導入、外国人材の労働環境整備と処遇改善、ものづくりマイスタ-による若手人材の育成
2) 新技術の開発・活用 :建機の自動化、人体装着「ロボットアーム」の活用、超強度、高耐久性等新素材の開発、建設サイトにおけるオートメ-ション化、トップランナ-技術の活用、開発技術の社会実装化
3) 新交通システムの推進 :公共交通の「リ・デザイン」、地域資源のマルチタスク化、次世代モビリティによる物流システム社会実現、ビックデータ活用による交通安全対策、先進安全自動車(ASV)の普及
4) インフラ・メンテナンスマネジメント戦略 :地域インフラ群再生戦略、インフラデータのプラットフォーム構築、レーザ-技術を活用したインフラ点検、インフラメンテナンス管理の高度化
5) 防災型強靭化国土形成 :AI・デジタル活用による災害予測、グリ-ンインフラの社会的実装、流域治水防災の加速・推進、ICT活用による施設管理、防災インフラの多重性・代替性確保 6) 地球環境保全 ・2050年カーボンニュ-トラルの実現、水素電池普及の加速、全地球統合測地観測(GGOS)の活用、気象データアナリストの育成、樹木対応型緑化システム活用
白書には、たくさんのキーワ-ドや解決策に対する論文作成上のヒントが記載されています。自分なりの整理方法で、これを活用して自分の意見としての表現の工夫に挑んでみて下さい。
5.解答文への反映の仕方
上記以外にも学会誌や専門雑誌等の特集記事にも目を通しておくことをお勧めします。気になった「トレンド・キーワード」を想定設問毎に整理、メモし、準備解答文へ反映することを意識して下さい。但し、キーワ-ドが目立ちすぎると違和感や題意からの逸脱につながりかねないことにも留意し、さりげなくシンプルに箇条書き等を活用し、採点者へアピ-ルして下さい。 (以上)