2018年07月30日 作成 / 執筆:タートル講師 / 閲覧数: 779
平成30年度技術士第二次試験の試験問題が公表されました。
建設部門の河川、砂防及び海岸・海洋科目の試験問題について、出題の解説や記述すべき方向性を述べます。
以下はⅡ-1-4に関する記述です。
Ⅱ-1-4は海岸・海洋に関する問題で、人工リーフについて問う内容です。
人工リーフについては、「人工リーフの設計の手引き(改訂版)」(以下、『手引き』とします)の一部改訂が
平成29年6月に行われていますので、その内容を踏まえた記述となっていることが必要です。
問われているのは以下の3点です。
①人工リーフの設置の目的を2つ
②離岸堤と比較した場合の特徴を1つ
③波浪の作用に対して人工リーフの構造上の安全性を確保するための「設計」及び「点検」の際の留意点をそれぞれ1つ
まず①についてです。
人工リーフの設置の目的は、防災目的と海岸利用や環境改善に大別されます。
防災目的としては、
・うちあげ高、越波量、あるいは飛沫量を減少させる
・沿岸漂砂量を減少させる
・人工リーフの岸側に砂を堆砂させて汀線を前進させる
・人工リーフの岸側の砂が沖向きに流出するのを防止する
ことが挙げられます。
海岸利用や環境改善に関しては、
・静穏な海域をつくり利用を促進する
・人工リーフによる岸向き流れの発生を利用して水質の改善を図る
・人工磯と同様に魚礁効果を発揮させる
ことが挙げられます。
これらのうち、2つが記述できていれば題意を満たした内容となります。
次に②についてです。
離岸堤は、『海岸背後にある人命、資産を高潮及び波浪から防護すること若しくは海岸侵食の防止、軽減及び海浜
の安定化を図ること又はその両方を目的とし、汀線の沖側に設置される天端高が海面よりも高い海岸保全施設』です。
人工リーフは、『海岸背後にある人命、資産を高潮及び波浪から防護すること若しくは海岸侵食の防止、軽減及び海浜
の安定化を図ること又はその両方を目的とし、汀線の沖側に設置される天端高が海面よりも低い海岸保全施設』です。
ここでは「離岸堤と比較した場合の特徴」が求められていますから、天端高が海面よりも高いのが離岸堤で、低いのが
人工リーフという記述が必要です。
最後に③についてです。
設計時の留意点については、『手引き』の改訂内容を踏まえるのであれば、被覆工の被覆材質量の算定方法を取り上げて、
国総研のマニュアルに従って実施する等の内容が考えられます。
点検に関しては、今回の『手引き』改訂で新たに加わった章です。点検の時期、点検の視点、点検方法、被災後の原因調査
と結果の反映、標識灯被災への対応の工夫、の5節がありますので、この中から1つについて留意点を述べていれば題意を
満たした内容となります。
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