2018年07月23日 作成 / 執筆:タートル講師 / 閲覧数: 1,072
平成30年度技術士第二次試験の試験問題が公表されました。
建設部門の河川、砂防及び海岸・海洋科目の試験問題について、出題の解説や記述すべき方向性を述べます。
以下はⅢ-2に関する記述です。
Ⅲ-2はソフト対策に関する問題でした。
ハザードマップの作成等に関するソフト対策については、過年度までにも出題されていましたが、今回の問題文は
「災害に強い地域」、つまり「まちづくり」に関連するソフト対策が問われています。
都市及び地方計画科目の問題文と言っても過言ではない内容ですので、戸惑った方も多かったのではないでしょうか。
地域全体の「大きな仕組みづくり」の観点で記述ができたかどうかがポイントとなります。
問われているのは以下の3点です。
①災害に強い地域にするためのまちづくりに関して、具体的なソフト対策の例を2つ説明
②災害に強い地域にするためのソフト対策推進上の課題を2つ説明
③2つの課題に対して、それぞれ改善方策を提案
3つのうち、②と③は関連していますが、①に関しては単独の問いと考えて良さそうです。
まず①についてです。
現在取り組まれている、まちづくりレベルでのソフト対策の事例を挙げる必要があります。また、「河川、
砂防及び海岸・海洋の分野において」という問題文ですから、専門分野における具体的な事例が必要です。
例えば、津波災害を避けるための高台移転等が挙げられます。
次に②についてです。
「災害に強い地域にするためのソフト対策推進」が問われています。問題文の前書きに「住まい方を含め
たまちづくりにおける工夫」、「地域コミュニティー強化」という記述があるので、このあたりの視点で
の課題提示をするのが望ましいです。
例えば「土砂災害の危険性が高い限界集落のあり方(移転をいかに進めるか)」のようなテーマが考えら
れます。
最後に③についてです。
②で挙げた2つの課題それぞれについて、改善方策を述べます。「解決策」ではなく「改善方策」となって
いますので、②では短期間では解決が困難な大きな課題を挙げることが要求されていると感じます。
「住まい方」や「地域コミュニティー」が課題ということであれば、テクニカルな改善方策というよりも、
仕組みづくり、合意形成、法整備といった、まさに都市及び地方計画的な視点の方策が必要であると考えます。
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