2017年08月25日 作成 / 執筆:【ニュース担当】関口雄太講師 / 閲覧数: 1,556
学習の基本は「暗記」と「暗唱」の組み合わせですが、それぞれにかける勉強時間のバランスはとれていますか?暗記とは学習して脳に情報をインプットすること、暗唱とは覚えた情報を何らかの形でアウトプットすることを指します。もう少し技術士試験に照準を合わせて具体的に言うと、前者は教科書や参考書を開くことであり、後者は問題集を解くことです。この両軸によって私たち人間の脳は学習しているという意見に異論はないでしょう。
では、学習に欠かせないインプットとアウトプットのバランスはどの程度に保つと効果的なのでしょうか。どちらも大切であるし、わざわざバランスを考えなくても勉強の成果を上げることはできます。ですが、最適だと思われる時間の割り振りをすることで、短い学習時間をより充実したものに変えることができます。教育の現場でこのバランスについて研究した学者がいました。それが教育心理学の博士として歴史に名前を残したアーサー・ゲイツ(1890-1972)です。彼の名前は広く知られてはいませんし、日本語の書籍ではベネディクト・キャリー著『脳が認める勉強法』で紹介されるエピソードの一部として紹介されている程度ですが、重要な実験を行った研究者です。
ゲイツ博士はある学校のクラスを対象に暗唱の実験を行いました。文学作品に出てくる一説を暗記して、暗唱するというシンプルな実験です。その結果、学習効果を最大限に引き出すバランスが明らかになりました。全体の30%から40%を学習(インプット)の時間として使い、残りの時間を暗唱(アウトプット)の練習に使うことが最も適切だと発表しています。
ただし、ゲイツ博士の発見は学校の生徒を対象にした実験によるものです。高学年の生徒を対象にした実験ほど、インプットの時間は短い方が効果的だという結果になりましたが、成人の脳がまったく同じ学習バランスが最適とは証明されていません。また、個人差も当然あるでしょう。ですので、あくまでもインプットの学習時間が3割から4割を目安にして、自分に最適な学習時間を見つけていくとよいでしょう。
技術士システムでは過去の問題が用意されているので、インプットしたあとはストップウォッチや時計で時間を計りながらきちんと暗記できているかアウトプットの学習も行いましょう。インプットとアウトプットの両軸を鍛えることで、学習効果はアップします。