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「技術士試験で試される課題解決能力」

2026年02月21日 作成 / 執筆:アニ-講師

「技術士試験で試される課題解決能力」  

2月も後半になりました。技術士試験の準備を本格化させていきましょう。 技術士試験における「課題解決能力」は、技術士の資質として最も重要であり、その能力が試されます。 また、技術士試験の記述及び口述試験でも、コンピテンシ-の1つである課題解決能力について、その資質としての妥当性、主体性、独自性、調整力、表現力が求められます。 今回はこれまでの私の受験者添削指導から気が付いた課題解決能力を示す記述方法や、業務プロセスにおける効果的な表現について、ご紹介したいと思います。

1. 課題の明確化

1)問題の本質を把握

 最初に行うべきは、与えられた課題の本質や背景を整理、理解することです。まず、課題文を良く読んで、が求められているのか、設問文のセンテンスをあえ区切り、その題意を明確にします。特に「社会・情勢背景」、「現状課題」、「制約条件」、「要求性能」、「実施解決方法の内容」、「成果」など題意の要求条件を見落とさないようことに注意しましょう。

 2) 背景理解

 設問で求められる課題、例えば、専門的技術問題だけではなく最近の社会的、国際的、経済的、地球環境的影響も考慮し課題を捉える背景理解が肝要です。

 2. 課題を細分化

1)複雑課題は細分化

 複雑で多層的な課題は、細分化することでシンプルに具体的な解決を導き出しましょう。この際、例えば課題内容を多面的要素や側面(事象、原因、不足技術、資源やツール、管理手法、環境要件等)で整理すると、よりシンプルに課題を表現できます。

2) 関連するサブ課題を特定

本題の課題に関連したサブ課題(例えばコスト、スケジュール、維持管理、各種リソース、規制や制約条件など)を洗い出し、本題に対しどのように複合的に関連しているかを考え、本題課題と並行するサブ的課題対応も併せて考慮下さい。

 3. 解決策の提案

 1)複数の選択肢

解決策は一つに絞らず、複眼視点によりいくつかの候補を挙げ、その特徴、予想される効果等を考慮、選択肢の幅を広げ、最適かつ妥当な解決策を選択しましょう。 

2)具体的なプロセスで解決策を提示

 各選択肢についてその実現方法やプロセスを具体的に示します。例えば技術面であれば、どの技術を選び、どの場面やプロセスでどう進めるか、その適用技術の利点や課題も含め、具体的な解決策を提示して下さい。

 4. 解決策の評価

 1)メリットとデメリットの抽出

提案する解決策ついて、メリットとデメリットを相互に抽出しましょう。特にコスト、時間、リスク、安全性、環境影響などは総合評価に基づき、その最適性を根拠付けましょう。

 2) リスクと不確実性の評価

 解決策の実施の際は、これに伴うリスク(技術的、経済的、社会的なリスク)や不確実性が存在します。必ず、この点に対しても事前対策を想定しておくことが重要です。

3) 選定理由の論拠立て

 最適解を選んだ理由は、論理的に説明できるよう、何故その解決策が最適と判断したのかについて、選定理由を論拠立て下さい。

6. 試験官が興味を抱く表現方法の例

1)興味を抱かせる

 例えば、課題解決の記述・表現方法例として、例えば、以下示す記述例はどうでしょう。試験官が口頭試験で質問してみたくなるような興味を抱かせる表現に工夫下さい。

2)記述例

 ・現状課題を○○により把握、改善目標を明確化、根本原因を分析、改善策を検討、優先順位設定による段階的試行により解決した。

 ・収集データの分析結果から現状課題を特定し、対策案について利害関係者との調整、協議を重ね、解決に導いた。

・問題であった作業プロセスを分解、分析、これの再検討を行い優先度の高い課題から短期及び中長期長期計画を立案、これを実践移行した。

・複雑な課題は構造フレ-ムごとに要素分解、本質的な改善点を抽出、組織工程の全体調整を図り、設定した目標を達成した。

・業務プロセスの非効率化課題に対し、現状分析、原因を抽出した。課題の要因は作業工程間の情報共有不足がボトルネックであることを特定した。改善案として作業工程間の情報共有ルールの再設計を提案、結果として従来作業時間の○%削減する成果を得た。

 7.留意点

1)論理的な構成

課題解決のプロセスは論理的構成に基づき、一貫したストーリーを描き、面接官が理解しやすいように、わかり易く順序立てて、論理的な構成にしましょう。

2) 具体的な根拠とデータ

 解決策を提案する際は、根拠となるデータや事例を的確に示すことが重要です。本年度から本格施行されるコンピテンシ-の改定項目である「数値データや情報活用」の評価項目に着目する必要があります。情報分析に基づく数値目標の設定、達成成果パフォ-マンスの定量評価は、より説得力があるものと考えます。 次回は業務成果だけにとどまらず、その後の波及効果の記述方法についてご紹介したいと思います。(以上)

「技術士試験に大切な自分空間」

2026年03月07日 作成 / 執筆:アニ-講師

「技術士試験に大切な自分空間」

技術士試験等の話題はいつもつい肩に力が入ってしまいがちなので、今回は少し趣を変え、ゆったりとリラックスして皆さんに読んでいただく内容で書いてみようと思います。

 1. 学ぶ楽しさの芽生え

はるか昔の話題です。私が小学4年生の頃だったでしょうか?学校の宿題だったと思います。自宅で毎日、100字の漢字を書くことの日課であった時期がありました。ある日、私の父がどちらの方から譲り受けたと思われる「ちゃぶ台」のような、小さな細長いテーブルを家にもってきてくれ、その上で漢字を毎日書いていました。 以来、「100字帳」と呼ばれるノートに漢字を書く毎日であったと記憶しています。部屋の片隅でひっそりと、小さなテーブルがある静かな空間は、さほどの苦痛でもなく、私にとって、何となく自分だけの空間がある居心地の良さを感じ、書くこと、学ぶことの楽しさを芽生えさせてくれたような気がします。

 2. 自分の空間

私は学生時代、土木工学科の学生でしたので、最初は古い製図台を机替わりにしていました。その後、今はもう世の中にないと思いますが、机面の角度が自由調整でき、定規が上下左右に簡単な力で移動可能な本格的なメカニック的な製図台へと変わりました。 実はこの製図台は社会人になり、時には学習用に、特にはオリジナルバーカウンタ-として、私のことを精神的な面も含めて、支えてくれたと思います。 その後は、金属製パイプを脚とする自作の机を長い間愛用しました。思い起こせば、私には自分だけの空間が常に継続して存在していたことに、今更ながら気付きました。 私の父に、技術士合格を電話で報告した時、「お前は、あの100字帳がきっかけだったかな?」と幼き時の私の姿を思い起こし、父がポツリとつぶやいたことを思い出します。自分だけの一人の空間の存在は、色々な意味でとても大切な存在であり、現在でもこの環境を維持できていることは、自分の人生においてとても、大切なことであること認識しています。

 3.自分空間の意義

自分の机やその空間があることは、単なる「物理的な場所」以上の意味があり、心理的、思考的、実用的な面で以下のような意義があると考えます。

1)自分だけの思考拠点

人は周囲の環境の影響を強く受けます。同じ本を読むにしても、図書館、カフェ、リビング、自分の机では、集中の質が違いますし、机と空間は「思考するための基地」になります。自分の机は「ここでは考える。」「ここで何かを創る。」というスイッチを入れる場所になり、この空間は思考を条件付けるトリガ-となります。

 2) 心理的な安心領域

自分の空間は「自己コントロールできる領域」で、安心できる空間でです。それ以外の場所や空間、外の世界は予測以外のことが多く、ましてや他の人や外の社会を自分でコントロ-ルすることは困難と言えましょう。 自分の机の上とまわりの空間は、自分で何を置くか、どう並べるか、どんな雰囲気にするかは全て自由であり、そこには「小さな主権」が存在しています。そのことは心理的安定を生み、自分の領域を持つことは安心感を抱くことに繋がります。

 3) 自己形成の場になる

 机におく本、ノート、パソコン、道具は、単なる物ではなく「今の自分の関心や課題」を可視化したものです。その人の思考や価値観を自分の机を媒体として、「現在の自分地図」 として表現する自己形成の場とも言えるでしょう。

 4) 継続のための装置

何かを継続するには、日常的に定まった場所:「定点」が必要です。地点が毎回変わると、習慣性を維持することが難しくなってきます。同じ机、同じ空間は、努力を蓄積する装置と機能し、「昨日の自分」と「今日の自分」をつなぎ、継続する重要な装置となります。

5)他者との距離を調整する機能

自分の空間を持つことは、換言すれば他者との境界線を持つことでもあります。完全に孤立するわけではなく、常に他人から侵略されない適度な距離、健全な関係性を維持してくれる領域空間となります。

 6) 創造性をはぐくむ

 自分だけの空間は、ふっと湧いたアイデアを保存しておくことができ、未完成な状態を許容し、中途半端でも誰からも咎めらない唯一の空間かも知れません。自分が思考・瞑想できる「余白、余裕」のある数少ない場所であり、創造力を掻き立てる空間でもあります。

 4.自分空間を工夫して創る

 とは言え、誰でも皆が自分の空間を作ることは諸般の事情により容易なことではありません。でも、以下のような工夫により自分空間を確保することができます。

 1)目的を定める:この場所で何をするか決める。

 2)自分領域を作る:ラグやパーテ-ション、机を壁方向に向けパーテ-ション機能として利用、周囲と境界線を引く。  

 3)厳選したものを置く:毎日使うものを厳選しておき、シンプルに余白を広く確保する。

 4)スイッチ:自分空間に入った瞬間、照明等でモード切替できる仕組みをあえて作る。

 5)小さく始める:小さな机などを活用し、空間はサイズよりむしろ「意識的に線引きできる空間」を創造する。

  6)安心空間:自分の性格や心情にマッチした集中できる空間、創造的になれる空間、安心できる空間を自分の色で創ってみてはどうでしょう。

 5.自分が楽しむ場所  

 例えば書斎は英語で「STUDY ROOM」と言うらしいです。直訳すれば学習する部屋です。しかし、自分空間は学習ばかりではなく、自分が楽しいことができる貴重な場所です。私はこの空間が大のお気に入りです。好きな音楽を聴き、お酒のグラスを片手に、いろんなことを空想しています。自分空間は学びを楽しみに変えてくれる拠点であると考えます。(以上)

「技術士試験キーワ-ドノートはマストアイテム」

2026年03月14日 作成 / 執筆:アニ-講師

「技術士試験キーワ-ドノートはマストアイテム」  

 技術士試験の準備は多量の情報を頭の中にインプットすることが必要です。しかし、誰もがハイスペックな記憶装置をもっている訳ではありません。記憶は時間経過とともに必ず、薄れてしまいます。記憶にはインパクトと関連付けが重要です。 このため、インプット情報は重要キーワ-ドを相互に関連付けて整理し、試験本番でその情報をつなぎ合わせ、脳内の長期記憶を呼び起こすシステムとして機能することが合格の鍵となります。

 今回は技術士試験において、マストアイテムとも言うべき、キーワ-ドノートの作成について私の経験から、以下にご紹介したいと思います。

 1.何故、キーワードが重要か

技術士の筆記試験ではⅠ~Ⅲ課題において、以下のような設問が想定されます。

 ・社会的背景、現状、切望される課題

・展開施策の内容と期待効果

・新たな想定課題、リスク対策等

・工法概要や特徴 ・対策工採用上、管理上の留意点

・必要な関係者への配慮

 調整事項 記述試験の採点は、設問に合致したキーワードを適切に盛り込めているかが重要な評価ポイントです。従って、キーワードを論述文の骨格として、点であるインプット情報(キーワ-ド)を相互に関連付け、線としてつなげ、さらにそれらを複合的な面として形成することが重要です。 多くのキ-ワ-ドを整理、インプットすることにより、試験本番で「頭が真っ白になる」「書くべき事柄が出てこない」「全く手が出ない問題」への不安が解消されます。是非、キーワ-ドノートの作成に取り組んでみて下さい。

 2.キーワ-ドの抽出

 キーワ-ド学習では以下のように準備して行きましょう。

 ① キ-ワ-ド学習用ノートを準備

② 課題Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、それぞれ過去10年程度の問題を整理、出題範囲、技術体系を把握

 ③ 過去問題で問われている内容、頻出用語を整理

④ 国の施策・白書・法令の用語の整理 例:DX、カーボンニュートラル、レジリエンス、BCP、ライフサイクルコスト(LCC) リスクマネジメント、PDCA、EBPM など、トレンドに着目

 ⑤ 自分の専門分野キーワード、実務に不可欠な用語の再整理

3.キーワード説明をコンパクトに記述

 キ-ワ-ドはその1語を3~5行で説明できるようにするにコンパクトに短い文で記述します。 各キーワードについて、定義、特徴、背景・目的、現状、課題、メリット&デメリット、対策、将来動向などを体系的に整理し、記述試験で活用できるレベルまで整理、理解することが必要です。例えば「リダンダシ-」をキーワ-ド例にとし、以下のような整理の仕方はどうでしょう。

(1)定義

リダンダンシーとは 「冗長性」を意味し、予備や代替がある状態である。これは、災害発生時に社会的な機能不全を防ぐための「備え」として重要な概念である。

(2)概要

 リダンダンシーは、インフラ整備や保全の観点では、「予めの備え」として、幹線道路の2重化や災害時の代替道路の確保など、安全性や信頼性を高める概念や方法である。 (3)目的

 1)機能維持: 自然災害や機器故障などによる一部の障害が発生しても、全体の機能が停止しないようにする。

 2)安全性向上: 予備のシステムや経路を用意することで、人命や社会の安全を守る。

  3) 事業継続: 予期せぬ事態に備え、事業活動を継続できるようにあらかじめ準備する。

(4)具体的な活用事例

 1)交通インフラ

・多重化: 道路や鉄道網を多重化し、一部が寸断されても迂回路を確保する。 

・事例: 新潟県中越地震では、関越自動車道が通行止めになった際、磐越自動車道や上信越自動車道が迂回路として機能した。

 2)構造物設計

・部材の多重化: 橋梁の主要部材が破壊されても、他の部材が荷重を負担できるように設計する。

 ・事例: 主桁が3本より少ない橋梁はリダンダンシーがないと判断される場合がある。

(5)利点と課題

  1)利点: 安全性や信頼性が向上し、障害発生時の影響を最小限に抑制する。

  2)課題: 予備のために多額の予算と投資が必要となる可能性がある。

 4.定型にあてはめる

 キ-ワ-ドの活用は「定型」にあてはめることが重要です。たとえば以下のように問題Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの設問テーマに対し以下のように定型にしておくと、インプット情報が整理され、呼び起こしが容易となります。この型で複数テーマ分をストックしておくと、試験本番で非常に有効です。また、想定外の設問に対しても余裕を持った対応が可能となります。 

① 想定テーマ

 ② 課題(背景・問題点)

 ③ 技術者としての立場・役割

 ④ 解決策(技術内容・工夫)

 ⑤ リスク・制約・留意点

⑥ 倫理・安全・環境・社会への配慮

 ⑦ 効果・今後の展望

 5.教科書として反復

 キーワ-ドノートの作成ではできる限り自分流の表現で、書き出して行くことが大切です。自分流は暗記ではなく、自然体で思い起こすことが可能になるからです。 作成したキーワ-ドノートは自分のオリジナル教科書です。移動時間を有効利用し眺める、声に出す、書くことを反復して下さい。 また、問題Ⅰ~Ⅲの記述問題の作成準備では、試験問題を読み「使う単語」を決めて、論文構成を考えてから書く訓練を行うことにより、キーワ-ドノートがさらに有効なツールとなります。 次回は、まもなく出願の時期となりますが、技術士試験の願書の書き方についてご紹介したいと思います。(以上)

「技術士解答文は骨子法で書く」

2026年04月11日 作成 / 執筆:アニ-講師

「技術士解答文は骨子法で書く」

 骨子法(こっしほう)とは、技術士試験の解答文やレポ-ト、ビジネス文書等を論理的記述の1手法です。記述する前に「骨子(アウトライン)」を作り、その骨子に沿って本文を書く方法であり、論述構成に極めて有効です。今回はこの方法をご紹介し、準備解答文の作成の参考にいただければと思います。

1. 骨子法とは

 骨子とは、準備する答案の設計図(骨組み)です。いきなり本文を書かず、事前に構想してから書き出す脳内整理カード(メモ)と言っても良いかもしれません。その手順は以下の通りです。 

・設問の題意要求項目を確認する。

・何を書く必要があるかについて、論点整理を行う。

・項目毎に「見出し+要点」による骨子を作る。  

・骨子に肉付けをしながら、本文を記述する。

2. 設問の基本パターン

 技術士試験の課題Ⅱ、Ⅲの設問は以下のとおりです。設問内容は異なりますが、ほぼ、基本パタ-ンは同様です。

 ①現状・背景

②課題抽出

 ③課題の解決策

 ④リスクとその留意点

 ⑤技術者倫理及び社会の持続性

 3.骨子法の作成例  

 例えば、「今後のインフラメンテナンス対応」を設問想定した場合の、骨子法の作成例を以下に示します。 

1) 背景と現状

 ・我が国の経済、社会情勢

・ストックインフラの増加、老朽化と進展

・頻発する自然災害、巨大地震の切迫

・強靭な国土基盤形成、戦略的メンテナンス切望

2) 課題⇒解決策⇒リスク⇒対応策

 骨子は課題⇒解決策⇒リスク⇒対応策が横方向に一列に繋がるよう表により、骨子とその記述すべき事項を順に例えば、以下のようにメモする方法をお勧めします。記述する項目とその内容を整理することができます。 

・点検技術者不足⇒ICT技術活用による省力化⇒投資負担増大⇒補助優遇制度導入

・維持管理費用の増大⇒アセットマネジメント⇒予算確保と平準化⇒効果の可視化

・膨大量インフラ情報の管理⇒データベース整備⇒技術者教育不足⇒リテラシ-向上

4. 骨子作成の時間配分

 技術士試験では記述に要する時間配分と管理が重要です。書き出す前の構想が合格に至る全てであり、短時間でそれを組み立てることが極めて重要です。骨子の構成の出来は評価点に直結することを意識し、短時間で骨子作成訓練が必要です。

 5. 骨子法活用のメリット  

 骨子法を活用するメリットを以下に整理します。

 1) 論理展開の一貫性確保

 予め構想した骨子により構成された文章を記述するので、論理展開の一貫性を確保できます。試験官は見やすさと素早く理解するための「論理構成」を重視しており、これに的確に応えることができます。

 2) 記述内容決定の頭出し

 解答文に何を書くかは、記述内容が全てです。記述内容の選択に迷いや不透明な部分があれば、それは貴重な時間の浪費と記述内容の曖昧さにつながります。骨子を構想、キーワ-ドの頭出しを行うことで、迷うことがない記述作業に専念できます。

 3) 記述速度が速くなる

 600字の解答用紙を記述するには約1枚、約20分程度の時間が必要です。(皆さん是非、実際に書いてみて、事前に時間的感覚を体得下さい。)このため、考えながら記述していては、制限時間のタイムオーバ-が予想されます。 従って、「迷わず記述するガイド」として骨子メモが必須であり、この存在は書き続けることができる安心感や、本番試験の精神的な支えとなります。

 4)書き忘れがない

 骨子を準備することで、書くべき事項は決定されており、書き忘れや漏れがありません。特に倫理やリスクなどは、技術的側面を支える考慮すべき重要事項でもあり、これらの記述ミスを防止でき、記述内容の充実と確保に繋がります。

 6.キーワ-ドノートによる訓練成果

  技術士解答文は「文章力試験ではなく、論理構成の試験」と言っても良いでしょう。骨子法はそのためのテクニックと考えます。以前、ご紹介したキーワ-ドノートを作成することは、言わばこの「骨子」を構想するトレ-ニングなのです。たくさんのキーワ-ドノートを作る訓練により、想定した多数のキーワ-ドを、骨子法により短時間で論理構成することができる成果となるのです。

 7.イメ-ジトレ-ニング  

 骨子を素早く構成するには、日常的にこれに対する思考訓練の継続が肝要です。通勤、散歩、休憩等のすきま時間を活用し、あるキーワ-ドを自ら設定し、「○○現状」⇒「○○課題」⇒「○○対策」⇒「○○リスク」⇒「○○」対策の一連プロセスを常にこれが構想できるようトレ-ニングを積み重ねて下さい。

 これの実践は試験本番で必ず、強力な味方になります。記述すべき項目が仮に思い浮かばない場合であっても、数個のキーワ-ドを長期記憶から引き出し、これをつなぎ合わせることで「小見出し+説明内容2~3行の文章」を書き連ねることが可能です。

 また、的はずれでなければ、字数が埋まらない場合の回避テクニックとして減点を防ぐことができる有効な手段と考えます。 これらは、準備解答文のアウトプットの量の裏付けであり、記述練習量の多さによるものと考えます。どうか皆さん、骨子作成訓練を積み重ね、論述文章作成を体得下さい。

 次回は技術士試験解答文に最も重要な「ロジカルライティング」についてご紹介したいと思います。(以上)

「説得力ある技術士解答文」

2026年04月25日 作成 / 執筆:アニ-講師

「説得力ある技術士解答文」  

 まもなく、ゴールデンウイークを迎えます。皆さん、受験準備は進んでいますでしょうか。ゴールデンウイークは余暇や家族サービス等に大切な期間です。その一方で、技術士試験学習の貴重な時間でもあります。是非、充実した時間となるよう計画的に取り組んで下さい。  

 技術士解答文は、説得力の有無で評価が大きく変わります。今回は、説得力ある技術士解答文の記述について、ご紹介したいと思います。

1. 説得力ある技術見識

 技術士試験で評価される「説得力ある技術見識」とは、単なる知識の羅列ではなく、専門技術者として課題等を適切に判断できる力が、解答文に表現されていることです。従って採点者に対し、「この人は業務で実際に意思決定できる。」技術見識をアピ-ルすることであり、以下にこの表現方法を示します。

 1)技術見識の要素

 説得力のある技術文章には、必ず次の3つの要素が入っていることが重要です。これがないと単なるに「説明」になってしまい、説得力に繋がらないので留意しましょう。

 ① 根拠(何故、そう言えるか)

② 比較(他の選択肢との違いは何か)

 ③ 判断(だとしたら、何を選択するか)

 2)技術見識が強い表現

  ある判断を示す末尾表現として、○○が重要である。○○が必要である。と言った表現を使用しますが、説得力という面では一般的であり、あまり評価されないと思います。 一方、技術見識を表現するには、以下のように選択肢を抽出、比較、理由を示し結論付けることが有効です。 例):○○は□□の面で重要な視点である。なぜなら△△のリスクが生じる恐れが想定されるからである。対策としてはAとBが考えられ、コスト、施工性、工期制約を考慮するとAが、総合的に有利と判断され、これを発注者へ提案、採用された。

 3)プロジェクト(現場)感を表現

 技術見識を強調するには現実、つまりプロジェクト(現場)感が大切です。記述すべき観点はコスト、工期 、安全性、維持管理性、環境影響等をより、現実的に伝えることだと考えます。例えば、

低評価例:「○○については、維持管理を考慮する必要がある。」

 ・高評価例:「維持管理段階では人的資源の不足が想定されるため、省人化が可能な遠隔監視システムの導入が有効である。」 将来の運用まで視準していることは、高評価につながります。

4)抽象→具体→効果の三段構成

説得力を強調するには以下の三段構成が良いと考えます。

 ① 抽象的に方針、方向性を示す。

 ② それの具体的な技術や方法、手段を示す。

③ 結果として、どんな効果があるかを示す

例)

 ①今後、インフラの効率的管理が切望されこれを、継続実施する。(抽象、方向性)

②そのため、デジタルセンサ-による常時監視システムを導入する。(具体的方法)

③これにより異常の早期検知が可能となり、突発的な事故を防止できる。(効果)

 5)リスクを見通す

 採用案は必ずしも100%成功、目標達成までこぎつけるとは限りません。但し、そのことを予め意識し、「問題発生の可能性に対し予め、どう備えておくか」までを考えておくことが重要であり、技術士としての意識の表れとなります。

 例): ○○に対し、デジタルセンサ-導入により効率化が可能であると判断された。一方で初期コスト増大や通信障害のリスクがあるため、設備の段階的導入やバックアップ回線の確保について検討、計画へ組み入れた。

 2.見識の評価を下げない留意点

説得力強調では以下に留意し、見識評価を下げないよう留意下さい。

・抽象論だけで、記述表現が「重要である」「必要である」連続、頻出する。

・正確な技術名称が記述されていない。

・対策が比較検討せず、単独案だけに限定されている。

・デメリトも考慮し判断されていない。

 3.説得力の訓練方法  

説得力ある記述文では、以下を考慮した訓練を継続下さい。

 ① 骨子を短時間で作成する。

 ② 課題内容を整理、どこに着眼したかを示す。

 ③ 解決策:A、B、C案はどこに特徴の違いがあるかを示す。

 ④ 選定案の判断理由、決定した根拠は何かを明確にする。 プロセス思考の展開を意識し、解答文作成で実践的に訓練して下さい。また、設問を想定し、どう実際に記述するかを日頃からイメ-ジしたり、メモすることを習慣化下さい。

 4.最終チェック

 記述後は必ず以下をチェックし、ミスや漏れがないことを確認下さい。

 ・適切な判断になっているか?

・総合的な比較により、最適化となっているか?

・採用技術と内容は、具体的で、効果が示されているか?

 ・リスクは考慮されているか?

 5.最重要ポイント

 説得力ある技術見識とは「選択肢を示し、理由付きで決断する力」であると考えます。また、試験官の描く疑問を先回りして、それを「ズバリ明確に示すこと!」ことです。すなわち、試験官が「なるほど…」とした納得感を与える文章を創ることと考えます。これを考慮し、準備解答文の作成に取り組んで下さい。  

次回は、技術見識の高さの一端を示す「トレンド・キーワ-ド」を自分の意見として記述する方法について、ご紹介したいと思います。(以上)

「洗練性を示す技術士解答文とは」

2026年05月23日 作成 / 執筆:アニ-講師

「洗練性を示す技術士解答文とは」

 技術士試験で「技術的に洗練された論述」と評価されるためには、単に専門用語を並べるだけでは十分ではありません。論理の一貫性、具体性、再現性、客観性が伝わる表現が重要です。今回は、洗練性を示す解答文記述についてご紹介します。

 1.何故の明確化

 人間の思考として、「何故、そうなるか」を説明されると、より理解が深まります。 例:「荷重増加に伴い応力集中が生じ、部材の疲労寿命が低下する。」のように、何故に対する因果関係の明確化は、洗練性の高い表現の基本です。 

2.定量的、客観的根拠

  次に、具体的、定量的指標や数値により、その客観性を強調することは、洗練性を引き立てます。感覚だけではなく、根拠で示すことが説得力に繋がります。 例:「本提案対策を実施した結果、従前の処理工程時間を約30%短縮、予定原価を5%削減し目標利益を確保できた。」

 3.明確な比較、評価

 複数案の比較による明確な評価は、結果として洗練性の要素となります。その理由は、最適案を総合的観点から導き出し、それを証明するからです。 例:「本工法は従来工法と比較し、○○工程を省略でき、安全性能を向上、施工期間を○○日間短縮、施工の全体最適化を図ることができると判断された。」などの表現は、その典型的例と思います。 4.技術的根拠

 洗練性の高い記述は端的に、その原理と理由を説明することで、より説得力アップに繋がります。 例:「熱伝導率の高い○○材料を用いることで、効率的放熱が可能となり、これまでの問題点を解決できることを証明できた。」

 5.現実課題の提示

 現実的技術者視点や課題を示すことは、事実や真正性を裏付けることになります。 例:「この方法は~の点で有利である。一方で、~の課題があり、新たに~のリスクが想定された。この対策コスト増の懸念対策として、~を段階的に導入、初期投資を抑制、計画の着実な遂行を成し遂げた。」

 6.構造化による論理展開

 構造化された記述文の流れは「洗練性」と明らかに直結します。以下の構成例のように構造化された論理展開は洗練性の「型」とになります。

 1) 課題の明確化

2) 原因分析

 3) 解決策の提示

 4) 効果・検証

5) 残る今後の課題展望と対応

7.技術士らしい締めの表現 

 技術士試験の解答文では「技術士らしさ」の締めの表現が重要です。特に、結論部分では以下の表現で締めくくると、洗練性をさらに強調できます。

・「~の結果から、本手法は○○の効果を発揮でき、対策として有利であると判断された。」

・「~の分析及び検証から、○○が有効対策であることを証明できた。

・「~対策の相乗効果として○○を発揮し、その有用性を立証できた。」

8.洗練性強調の訓練 

 技術士試験の記述は、「構成力+技術キーワード+記述タイムマネジメント」が必須です。そのためには以下の要素を、総合力として鍛える記述訓練が不可欠です。

 

・技術キーワ-ドの早期想起と組合せ

・思考スピ-ドの高速化

・これまでの努力と知識蓄積による迷わない自信

・減点されない「型」による高速記述

・作文ではない定型技術報告文  

・キーワード即答訓練

9.参考文例

 「CO₂削減に資する建設活動のあり方」を例として、記述項目の内容についてキーフレ-ズを箇条書き表現例を以下に列挙しますので、参照下さい。

 (1)背景と課題

  建設業界におけるCO₂削減は、単なる技術的な問題にとどまらず、社会全体の持続可能性を支えるための克服すべき技術課題である。設計から施工、運用、解体に至るまで、全ての建設プロセスで低炭素化を実現する取り組みが切望されている。今後の建設活動のあり方と具体的施策を以下に列挙する。

( 2)建設活動のあり方

 1)低炭素設計の推進

 ・設計段階における低炭素化

 ・建物やインフラの設計時のエネルギー効率の高い断熱性建材の選定

 ・自然採光や風通しを最大限に活かす省エネルギー型建築構造の採用

  ・再生可能エネルギー利用による消費の最適化

 ・設計段階での「ライフサイクルアセスメント(LCA)」の実施

  2)グリーン建材の活用

 ・セメントや鉄鋼などの代替材料や環境負荷低減資材の選択

  ・再生材やバイオマス由来の材料、CO₂吸収性素材の積極採用

  3)建設プロセスの効率化

 ・施工段階におけるプロジェクト全体の効率化追求

 ・建設機械、設備等エネルギー効率の良い最新技術機械の導入

 ・輸送を含む精密な資材調達計画や現場のCO₂削減マネジメント

 4)運用段階での省エネ化

 ・リアルタイム監視によるスマートビルディング技術の導入

 ・地域エネルギーの効率的管理

 ・制御と循環化の促進

 ・ヒートポンプ、地熱利用等廃熱エネルギーの再利用

 5)解体と再利用の促進

 ・解体リサイクル等再資源化の促進 

 ・分別解体の徹底と、資材の回収率の向上

 ・解体後遊休地等の再生可能エネルギー供給の拠点化利用  

 (3)上記の促進方策   

 ・低炭素建設活動に向けた法規制の整備

 ・省エネ認定等インセンティブ制度の導入

 ・革新的技術開発への支援策の充実

  ・企業と業界及びサプライチェーン全体の連携・強化

  ・環境意識教育と消費者への啓発活動の推進 ・国際的技術コラボレーションの促進  

 次回は、技術士記述試験合格に絶対必要な能力、「スピ-ド記述の訓練」についてご紹介したいと思います。(以上)

技術士試験に合格する速攻骨子の作成

2026年06月06日 作成 / 執筆:アニ-講師

「技術士試験に合格する速攻骨子の作成」  

 技術士試験当日まで約1ケ月と少しになりました。皆さん、試験準備の方はいかがでしょうか。前回は解答文を速く記述する訓練方法についてご紹介しましたが、今回はそれを試験本番で素早くシナリオ化する速攻骨子の作成方法について、ご紹介したいと思います。

 1.題意の把握  

 骨子作成では、設問に対する題意を確実に読み取り、的確に捉えることが重要です。設問を読んで、思いついたキーワ-ドはただちにメモして下さい。メモする用紙は、配布された問題用紙の空白欄を利用して下さい。この作業も本番で再現できるよう、事前に訓練しておきましょう。設問文は、以下に留意して読みましょう。  

・題意は何か。どんな背景記述が必要か。

 ・解答として、何を訴求できるか。

・主要な記述メッセ-ジは何か。  

・題意の解答として、的確な技術トレンドキーワ-ドは何か。

・準備した頭の中のテンプレ-トはどれとどれか、組み合わせと順番は。

 2.メモの構成  

1)構成アウトラインの作成

論述項目のフロ-を矢印か表で示し、項目構成をメモしましょう。視覚化することで、抜けや重複を発見しやすくなり、記述すべき事項が明確となりので、以下のようにメモを作成下さい。

 例:導入部(題意背景) → 課題 →重要課題として取り上げた理由 → 複数解決策 →  新たなリスク→その対応策→(コンピテンシ-:技術者倫理視点、社会持続性視点)

 2) 主要ポイントは箇条書き

各項目で何を記述するかは、順序や配列を考慮し、素早くメモしましょう。本文の主要項目となるポイントをメモで示すと時間的制約にも有効となります。

3. 骨子構成の訓練法  

1)速攻骨子  

 約5分間で素早く構成アウトラインを作成する訓練方法を以下に示します。時間制限で頭の中の「取捨選択力」と「論理整理力」が鍛えられます。試験本番に備えたトレ-ニングの一つの手法であり、繰り返すことで骨子の構成力と速さを鍛えることができます。

 ① タイマーを5分に設定。

 ② 「導入→課題→解決策→新たなリスク→対応策」の順、最低1行ずつ書く。

 ③ 頭の中を構造整理、知識記憶から速攻文字化。

 ④ 5分経過後内容を見直し、論理性をチェック。

 ⑤ 想定課題を変え、これを繰り返す。

2)模写法 

この方法は模範論文や過去問題解答例を模写し、そのモデル例を自身の解答文の形とする練習方法です。実際の設問課題として思考することが重要であり、既存モデル例文の型を以下のようにくり返し模写、自分の記述方法へとアレンジ下さい。 

① 参考文を選び、章、節、箇条書きの構成だけを写す。

 ② 自分の答案文のテーマに置き換え、書き直す。

③ 「論述構造のパターン」を体得する。(背景、原因、課題、解決策、リスク、対応)

 3) カード視覚化法

これはカードやテンプレ-ト等の視覚ツールを活用し構成を行う方法である。いわゆる頭の中の引き出しです。但し、相当数の準備課題に対応する必要性から、それぞれのカードを思い起こし整理し、完璧を目指さず「頭の中の引き出しファイルの構造化」以下のように活用下さい。

 ① 主要ポイントを頭の中で1枚のカードに描き整理、記憶する。

 ② 設問に合わせ、カード内項目の相互の出し入れにより、最適構成を作る。

 ③ 視覚化、イメ-ジトレ-ニングにより、構成作業を高速化する。  

4)Q&A法   

これは、想定課題を自らに問いかけ、これに対する解答を口から骨子内容を以下のように発生する練習方法です。

 ① 「何を解決するのか?」「その理由は?」「どんな効果があるか?」「残る課題は?」等の自問自答による反復練習を行う。

 ② 章ごとの見出しを、技術トレンドキーワ-ド表現する訓練を行う。

 ③ 設問「Q」を解答「A」へ骨子として落とし込み、論述の筋道を明確とする。

 4.能力向上の訓練ポイント   

速攻骨子の作成術を自分のものとするための以下のトレ-ニングを継続下さい。

① 毎日1課題、5分間アウトライン作成:テーマは過去問題 + それの拡大想定版

② 準備した解答文を短時間で要約:1枚、5分程度

③ 参考解答文の要約:記述内容の見だし化、要約化、技術トレンドキーワ-ド化。

 5.要約メモ作成の訓練  

骨子作成の速攻化は、トレ-ニングで克服できるものと考えます。例えば新聞の社説、専門技術雑誌の特集記事等、普段目にする情報媒体利用し、概要と構成項目となるよう要約する訓練を継続下さい。  古い話で恐縮ですが私は、新聞の社説欄を切り抜き、その内容を要約することを繰り返し練習しました。のちに「元新聞記者の方」と、文章の記述の仕方についてお話しする機会があり、ご自身の経験でもこの方法で訓練されたそうです。極めて有効な方法であることを改めて認識しました。

6.妥当性と多面性を表現  

 速攻で記述項目を構成したあとは、それを確実に網羅しながらスピ-ド速く記述して行く必要があります。構成段階ではじっくり構想する時間はありませんので、表現等は粗削り状態です。このため、メモを記述へと変換する場合は、その表現が適切か否か妥当性を確認しながら記述する必要があります。

 また、メモの記述を書き連ねた場合、途中で記述が不十分であることに気付き、その追記が必要な場面があります。この場合は、同じ項目や内容、重複しないようあえて多面性を考慮した記述表現に工夫下さい。

 次回は試験官に今回ご紹介した骨子作成メモから、「わかり易さを伝える」記述方法について、ご紹介したいと思います。(以上)

「技術士試験のクールダウン雑学」

2026年07月25日 作成 / 執筆:アニ-講師

「技術士試験のクールダウン雑学」

  受験者の皆様、令和8年度技術士試験お疲れさまでした。技術士試験後は、頭がまだフル回転モードなので、少しク-ルダウンが必要かと思います。それには普段あまり考えない雑学に少し触れてみるのはいかがでしょうか。 今回はクールダウンできる工学系雑学について、私的勝手に、しかもランダムに、いくつかご紹介しますので、気楽に読んでいただければ幸いです。

 1)エッフェル塔は身長が伸びる。

 エッフェル塔は夏になると約15cmほど、身長が高くなります。これは皆さんよくご存じの金属の熱膨張ですね。鉄は温まるとわずかに伸びるため、高さ約330mの塔全体では人の身長ほどではありませんが、目に見える変化となります。 ⇒東京タワ-もスカイツリ-も同様ですね。そういえばコンクリ-トやPC橋もそうでしたね。暑い夏、いろんなものが伸びています。

 2)タコには心臓が3つある。

 マダコなどのタコ類には、合計3つの心臓があります。 ・体全体へ血液を送る心臓が1つ ・エラへ血液を送る心臓が2つ  それぞれの役割が異なっており、専門分野の方でなければ知ることがない知識だと思います。 ⇒エー、そんなことあるの?人類も2つの心臓が相互補完し、それぞれの異なった役割があるのですね。不思議です。何故を知りたくなります。

 3)人間の脳は、約20Wで動いている。

 成人の人間の脳は約20W程度の電力で働いているそうです。これは小さなLED電球1個相当の消費電力です。そのエネルギーで記憶、判断、言語、創造性など、膨大な処理を同時に行っています。 ⇒スゲ-、ビックデータ扱うスパコンみたいですね。発電用新エネルギ-として、有効活用する方法があればいいのですが。

 4)宇宙は無音である。

 宇宙空間では音は伝わりません。音の伝達には空気や水などの媒体が必要です。宇宙空間は、ほぼ真空なので、映画のような大爆発も実際には「無音」なのです。 ⇒へ~、不思議な感じ。SF映画等の宇宙では、隕石、人工衛星や最近問題の宇宙ゴミ等、多くの複雑音が聞こえているイメ-ジがあります。

 5)蜂蜜は腐敗しない。

 蜂蜜は、以下の条件と理由からほとんど、腐敗しないと言われています。 ・糖度が非常に高い。 ・水分が極めて少ない。 ・酸性である。 適切に保存すれば非常に長期間品質を維持できます。古代遺跡から見つかった蜂蜜が食べることができる状態だったという報告があるそうです。 ⇒高濃度、水分の有無、酸性が、長期保存には不可欠と言うことなのでしょうね。食べ物、飲み物のほか、塩、醤油、砂糖、酢等同様な例がありますね。

6)ペンギンは「空を飛ぶ鳥」より、速く泳ぐ。

 ジェンツーペンギンは、水中泳力は時速30km以上に達するそうです。翼は飛行ではなく、水中では非常に高性能な「水中の翼」として機能します。 ⇒けっこうなスピ-ドですね。一方、海面を飛ぶトビウオは、海面に出るときの速さは時速40~60km、マグロは通常15~20kmで、最高速度は70~80kmで泳ぐとのことです。 ⇒はや!現有能力を上手にコントロ-ル、これにより最大能力を発揮するのですね。

7)GPSは相対性理論を毎日使っている。

  特殊相対性理論では、速く動く時計は遅れます。一方、一般相対性理論では、重力が弱い場所ほど時計は速く進みます。GPS衛星は高速で飛び、地上より重力も弱い場所にあるため、この2つの効果が同時に起こります。

・特殊相対論:約7マイクロ秒/日、遅れる。

 ・一般相対論:約45マイクロ秒/日、進む。

 差し引き約38マイクロ秒/日進むため、この補正をしないと位置は1日で約10km以上ずれてしまいます。 ⇒位置関係及び時間のスケ-ル感覚が複雑すぎて、かえって頭の中が混乱します。

 8)雷は地面から空へ向かう!

 雷は「空の雲から落ちる」と思われがちです。実際には地面から上向きに伸びる放電がその要因となっています。 雷が電気へと変換する瞬間、非常に大きな電流が流れる「帰還雷撃」が発生、超高層建築物等では、地上から上向きに始まる雷が観測されることがあるそうです。  ⇒全く、想像していませんでした。気候変動、集中豪雨が多発化、激化しています。耐雷対策も必要になっています。

 9)飛行機は「吸い上げられて飛ぶ」訳ではない。

 旅客機の翼は、上下面の圧力差、翼が空気を下向きに曲げることによる反作用の両方により揚力が生まれます。これを受けて飛行機は飛ぶことができます。 「ベルヌーイの定理だけで飛ぶ」という説明だけでは不十分であり、圧力差と揚力の両方を流体力学として合わせて理解するのが一般的です。  ⇒「ダニエル・ベルヌ‐イ」は18世紀を代表する世界的科学者であり、流体力学の創始者の一人と言われています。

 10)世界一、滑らかな鏡

 レーザー干渉計重力波天文台で使われる鏡は、表面の凹凸が原子数個分程度しかないと言われています。すなわち、鏡の表面に「でこぼこ」がほとんどない状態です。 極めて高い平滑性によって、時空のわずかなゆがみである重力波を観測できるのです。  ⇒どのようにして平滑性を作るのかな?これも実際に見てみたい気がしますね。昨今不足が著しい熟練工の技なのでしょうか。

「日常意識しないで当たり前に使っているものほど、実は高度な科学や工学の上に成り立っている。」という事実は私達が知らないだけで、他にももっとたくさんありそうですね。 蜂蜜、GPS、雷、飛行機、鏡など、身近な技術の背景を知ると、普段の景色が少し違って見えてきて、改めて新鮮な気持ちになってきます。

 11)再スタ-トの準備

 少しは過酷な技術士試験後のクールダウンになったでしょうか?心新たに、試験後を各自、冷静に振り返ってみて下さい。成果があった点、不満足な点。こうすれば良かった点等一度整理して見て下さい。これからやるべき点が見えてきます。徐々に再スタ-トに向け始動して行きましょう。 次回は私が考える技術士として読むべき著書についてお伝えしたいと思います。(以上)

「技術士に必要な読解力」

2026年08月08日 作成 / 執筆:アニ-講師

「技術士に必要な読解力」

 まもなく、お盆休暇です。皆さんそれぞれ予定を立てられていることと思います。皆さんは休暇中に読んでみたい、気になる書籍はありますでしょうか。

技術士は、業務やその役割として多数の資料を読むことが求められます。重要なことは、読んだ情報をいかに理解し、それを有効活用する力が必要です。最近は生成AI等を活用することで、書類や議事録の要約版を簡単に作成できるようになりました。但し、資料を読んで、理解する能力を備え、活用できる「読解力」がなければ本来の意味がありません。今回はこの読解力についてご紹介したいと思います。 

1.設問意図の把握

 読解力は、単に文章を読む力ではなく、技術的、社会的な背景を正しく理解し、本質を見抜き、適切な判断につなげる力です。特に技術士試験には欠くことのできない能力の一つです。 試験問題では、何を問われているか?その意図を正確に把握することが前提です。「課題」を聞かれているのに「対策」ばかり書いていては、合格は期待できません。「○○の観点から記述せよ。」等の設問は、○○の観点を確実に示し、その上で課題を示すことを意図しているのです。

 2. 条件を見落とさない

 技術士試験では、問題文に条件が設定されています。これらの条件(限定予算、人材不足、維持管理、防災・減災害、低炭素社会等)は見落とさないで、見出し文や記述内容において確実にこの条件に応じた論述が必要です。

 3. 要約力

 技術士は、情報を整理し、理解する能力とそれを要約する力が求められます。重要事項は何か、不要な部分はどれか、その根拠となるデータ、評価・分析において前提条件、評価結果、考察等を的確かつ簡潔に、まとめあげる力が必要です。

 4. 行間を読む力

 技術士試験では問題文の内容すべてが、記述されているわけではありません。例えば「インフラ老朽化が進む地域で……」とあれば、「何を想定しているのか?」対象としている事象のバックグラウンドを想定し、論じることが肝要です。すなわち記述されていない行間に存在する見えない課題を、読み取り、拾い上げる力と、これに対する洞察力が求められているのです。

 5. 多面的視点

 問題や課題、解決策の抽出には多面的視点から、物事を捉えることが必要です。技術士は技術だけではなく、一つの文章を読んで、「技術的には可能だが、社会的にはこのような課題やリスクが残る。その上でどう対応して行くべきか。」というように多面的視点から、思考することが必要です。すなわち、常にリスクやトレ-ドオフの関係に着目した視点を持ち、その先に、どうすることが最善であるかまでを見通す力が求められています。

6. 根拠の提示力

 技術士は解決の方向性を自ら判断し、それを考察、結論付け、解決する力が重要です。そのためには、結論を導くプロセス思考とそれを裏付ける根拠を提示する能力が備わっていなければなりません。

 7.読解力の本質

 技術士試験では、出題意図の把握、応用、判断、つまり「読むこと」自体が目的ではなく、読んだ内容を分析し、技術者として適切な判断と提案につなげる力がこそが、求められる読解力と考えます。

 8.読解力を養う方法  

 読解力は短期間に身に付くものではありません。これを養うためには一定の努力が必要ですあり、以下を実践、コツコツ進め、そのスキルを身に付けましょう。

 ① 問題文を分析することを習慣にする。

 ② 文章の一段落ごとに要約文を考える。

 ③ 「なぜ?」「どうして?」の自問を繰り返す。

④多様かつ多数の技術資料を読み、整理する。

 読解力を養うには日頃から、例えば、国土交通省などの白書や技術資料、専門分野協会誌の技術論文等、実務に近い文章に触れることが重要です。これらは、技術士試験で求められる論理的文章に慣れることに対しても重要であり、有効な参考書と考えます。

 9.説明する。  

 読んだ資料を理解した上で他の人へ説明することもまた、読解力の向上に重要な要素です。どの部分がキーポイントであり、それがどのような展開、発展につながるかをわかり易く説明すると、より説得力へつながるものと考えます。

 10.技術士試験へのトレーニング

 毎日20~30分程度で良いです。次のようなことを意識し取り組むと、技術士試験に対し、効果的トレ-ニングとなると思います。

 ① 技術記事や行政資料を1日、1件読む。

 ② 記載内容を200字程度で要約する(5分)。

 ③ 「筆者が最も伝えたいこと」を一文で書く。

④「技術士ならどう対応するか」を考える。 毎日、短時間でこの習慣を続けることで、「読む力」と「考える力」、そして「書く力」が一体となって鍛えられます。毎日のトレ-ニングが鍛錬された能力へと変身して行きます。

 11.読解力の高い人

 読解力の高い人とは、文章の内容や筆者の意図を正確に理解し、必要に応じて考えを深められる人、例えば以下のような特徴を有する人を言うのだと考えます。

 ① 何が一番伝えたいことなのかを理解できる。

 ② 知らない語彙があっても、前後の文脈から意味を推測できる。

 ③ 筆者が伝えたいことを、推測して考えられる。

 ④ 事実と意見を区別し、原因と結果の関係を理解できる。

 ⑤ 批判的に読むことができる

12.読解力向上のポイント  

 読解力向上のポイントは、「考えながら読むこと」であり、特に、わからないことや、新しいキーワ-ド等は自分で調べることが大切です。その能力向上するポイントは以下と考えます。

① 語彙量を増やす。

② 幅広いジャンルの著書、資料を読む。

 ③ リズム感ある音読を繰り返す。

  次回は、ビジネスマンとして誰しもが求められる相手にわかり易く、どのように表現(表現力)、説明(説明力)する能力を身に付けるかについて、ご紹介したいと思います。(以上)

2026年08月
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