2025年12月 月間アクセスランキング

3義務・2責務で最も優先すべきもの(公益、倫理)

2019年01月23日 作成 / 執筆:スチールマニア講師 / 閲覧数(月間): 98

さて、2018年度の口頭試験もそろそろ終了します。2019年度以降の技術士試験の概要・変更点も公開され、次回受験予定の方々も準備をし始めるころだと思います。

 

 口頭試験において、必ず聞かれる質問があります。

「3義務2責務とは何ですか?」

この質問には、臆することなく以下の5つを答えてください。

・信用失墜行為の禁止義務(44条)

・秘密保持の義務(45条)

・名称表示の場合の義務(46条)、

・公益確保の責務(45条の二)

・資質向上の責務(47条の二)

 

さらに深く突っ込んだ質問をされることがあります。

「その5つの中で最も優先するものは何ですか?」

この質問で、グッと黙って考え込んでしまう受験生が少なからず居ます。

 

回答は、「公益確保」です。

その理由としては、技術士倫理綱領に公衆の安全、健康、福利を最優先とすると明記されているからです。公益とは、公共の安全、環境の保全、その他の公益などを指します。

 

また、「あなたの職務上、公益確保に反することはどのようなことがありますか?」という質問もされることがあります。自分の仕事の中で公益(公共の安全、環境の保全、その他の公益)に該当するものは何なのか?そしてそれらを確保できない状況とは何があり、確保できない状況をどのように打破していくのか?ここまでを一連として考え、まとめてみて下さい。

2019年度以降も、技術士法、技術者倫理については、必ず質問されます。暗記するぐらいに何度も暗唱しておきましょう。

 

以下、参考です。

技術士倫理綱領

【基本綱領】

(公衆の利益の優先)

 1.技術士は、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮する。

口頭試験で失敗事例を聞かれたとき

2018年08月28日 作成 / 執筆:技術サムライ講師 / 閲覧数(月間): 51

口頭試験では、次のような質問がされます。

Q.この業務で、技術士に相応しい点はどこですか。
Q.この業務で、創意工夫した点はどこですか。

 

これらの質問がきたときは、何に着目して、解決法を見出したかを答えると良いでしょう。


なぜなら、その着眼点こそが、まさに「技術士ならでは」と言えるからです。
凡庸な技術者では、気づかなかったことを、気づけるのが技術士と言えるからです。

 

採点官は、これらの試問により、技術コンサルタントとして、あなたが独り立ちできるか判断します。

 

さて、失敗談を聞かれたときはどうしたらよいでしょうか。
ドキッとする必要はありません。

 

Q.この業務で、うまくいかなかったことは何ですか。
Q.5つの業務経歴に記さなかった業務があると思うのですが、失敗談は何かありますか。

 

このような質問をされたときは、あくまでも、技術的なことを答えます。

 

たとえば、
「業務実施当時の自分は、この点のスキル不足・知識不足で、Aの解決法を選んだが、いまの自分であれば、Xの事実に着目し、Bの解決法を採用すると思います。

そうすることで、Aよりも、Bのほうが、工期が10%短縮できることが見込まれるからです。」

 

また、つぎのように答えます。
「業務実施当時は、Yの技術が普及していなかったために、Aの解決法を選んだが、いまはYの技術が安価で利用できるため、Bの解決法を採用すると思います。

そうすることで、Aよりも、Bのほうが、生産コストが10%削減できるためです。」

 

失敗談を聞かれても、慌てずに、回答してください。

コンピテンシ-

2025年08月02日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 46

「コンピテンシ-」

  改訂版「コンピテンシー」という言葉を最近、良く耳にするようになりました。(令和5年1月、「技術士に求められる資質(コンピテンシー)」(以下、「改訂版コンピテンシー」という。)技術士試験では、今後もこれへの対策が必要であると考えます。今回はこの改訂版「コンピテンシ-」について、口頭試問準備の助走期間として、徐々に認識を深めていく必要性から、以下にその改定ポイントを概説したいと思います。

1.コンピテンシ-とは

 コンピテンシーとは、組織環境や職務上の要請に対し、備えるべき個々の資質・能力及びそれに対する実践行動のことであると、私は認識しています。 すなわち技術士にとって最低限備えるべき資質・能力のことであり、業務の遂行の上では絶えず必要な知見を深め、技術を修得し、資質向上ができるように十分な継続研鑽(CPD)を行うことを示唆しているものと思います。

2.改訂版コンピテンシ-に対する理解

改訂版コンピテンシ-に基づき技術士として要求される資質・能力について、簡単でわかり易い表現でタイトル化し、R5年度の主な改定点は次の内容であると考えます。 (1)専門知識と技術:「専門技術を有し、それを業務上で応用・展開できる。

・具体的な専門分野に関する深い知識と技術

 ・最新技術や研究に対する理解力を有し、それに対する適応力

(2) 問題解決能力:「問題解決プロセス思考に基づき、必要ツールを活用できる。」

 ・複雑な技術的課題の原因把握、分析、検討、解決策を導く能力

・問題解決に必要な手法やツールを効果的に活用するスキル

【改定点】

・複合的な問題に対して、必要に応じてデータ

・情報技術を活用

・多角的な視点、ステークホルダーの意見を考慮すること

(3)コミュニケーション能力:「関係者にわかり易く、円滑である。」

・技術的な内容をわかりやすい説明能力(文書作成、プレゼン等)

・他の技術者や関係者と連携し、意見交換が円滑にできるスキル 【改定点】

・クライアント等多様な関係者間で、明確、包摂的な意思疎通を図る、協働すること

 ・ステークホルダー等とのコミュニケーションにより、相互リスク認識を共有すること

(4) 倫理観と社会的責任:「技術者倫理による行動である。」

 ・技術者としての倫理規定に基づき、社会的責任を果たす姿勢

・環境問題、安全性、法的規制を遵守する姿勢と実践行動の継続

【改定点】

・経済、社会、環境的影響を認識し、持続可能なアウトカムが得られる業務活動 

・文化価値を尊重し、SDGsに基づく多様性・包摂性の尊重

 (5) プロジェクトマネジメント能力:「PDCAマネジメントによるリーダ-行動」

・プロジェクトの計画、実行、管理、監視など、適切なマネジメントスキル

・チームのリーダーシップを発揮し、目標達成に導く能力

(6)持続的学習:「自己研鑽により、技術を実務へ反映する。」

 ・技術の進化に対応できるように、継続的に学び、自己改善を行う姿勢 ・最新技術や理論を習得し、実務に反映させる能力

 【改定点】

・絶えず変化し続ける仕事の性質に適応する能力を高めること 

3.予想される設問内容

 主に、技術士第二次試験の口頭試問での確認事項となると思います。技術士としての実務能力の確認では、業務詳細について利害関係調整やリスク評価への質問が必須であり、コンピテンシ-に関し、次のような設問が予想されます。

1) 業務詳細において、関係者とどのような方法で利害調整を行いましたか?(:コミュニケーションとリーダーシップ)

2)業務詳細で検討した複数選択肢に共通するリスクは何ですか?(:リスク評価)

 3)業務詳細において、業務遂行上の留意点と資源配分で工夫した点はどこですか?(:マネジメント)

4)トレ-ドオフの関係を解消するために必要なことは?(相互調整による最適化)

5)技術士を取得後は、どのように成長していこうと考えているか?(:自己研鑽)

 4.自身を第3者視点で見る。  

 口頭試問はそれなりに緊張感やプレ-シャ-があります。これが過度になると本来の実力を伝えられないことも想定されます。これに対応するには本番を想定した模擬的な練習を欠かせません。先輩技術士や同僚にお願いし、あえてきつい模擬口頭試問をしてもらうことをおすすめします。

 また、自分の話し方の癖や表情については、以外に本人は自覚していないものです。模擬試験の状況を録画して後に再生し、自己評価につなげたり、鏡の前で自問自答する訓練を行い、自分自身を第3者視点で見ることがその気づきにつながると思います。 次回は、コンピテンシ-の認識に基づく口頭試問への準備についてお知らせしたいと思います。(以上)

入念な準備をすると口頭試験があっけなく終わる

2017年08月31日 作成 / 執筆:技術サムライ講師 / 閲覧数(月間): 39

口頭試験のために、準備を入念にされることをお勧めします。

入念に準備された、口頭試験は、雑談のように、和気あいあいと進みます。

 

受験申込票を、受験対策会社に添削してもらった受験者は、十中八九、合格できるでしょう。

 

5つの業務経歴と、業務詳細が、採点官が求めるものに仕上がっているためです。

 

例えば、技術士に相応しい課題設定ができているか、問題点の絞り込みができているか、が明記されていることでしょう。

 

また、筋道だてて導き出された解決策が示されているでしょう。

 

そうすると、採点官は、「この受験生は経験豊富で、技術士に相応しい実務経験を持っているな」と思います。

 

そして、自分の評価に間違いがないか、ほんとうにこの受験生がやった業務なのか、を確かめるやさしい質問をします。

 

Q.この業務は何人でやったのですか?

Q.この業務は大学院での研究テーマと違いますね。それは苦労したでしょう?

Q.一番苦労したのは、どんなこと?

Q.関係者をまとめるのはたいへんだったでしょう。言うことを聞かない人もいるだろうし(笑)。

Q.学会は入っているの?何か学会に入って、業務でやったことを発表すると良いですよ。

 

口頭試験の講座で準備した想定問答集にない、なんだかよくわからない「世間話」が多くなってくれば、あなたが文句なしの合格圏にいるからかもしれません。

 

合格確実圏内に入れば、業務詳細の小論文も、丁寧に復元をしてメンテナンスをした筆記試験論文も、100個ほどつくった想定問答集も、拍子抜けするほど使わずに済むことが多いのです。

 

しかし、合格確実圏内に入っている人は、これらの口頭試験の準備を入念にしています。

 

口頭試験が終わって、「これは、受かったな」、そして「口頭試験は、意外とあっけなかったな亅と思えるように、しつこいくらいに準備をされてください。

問題と問題点の使い分け

2018年07月01日 作成 / 執筆:技術サムライ講師 / 閲覧数(月間): 38

試験直前期に、問題と問題点の違いがわかっている人は合格の可能性がぐっと高まっています。

 

問題と問題点は違います。

 

問題とは、「現状」と「あるべき姿」のギャップです。

 

問題とは、困っている現時点と、目標値との差です。
模擬試験で55点しか取れなかったけども、合格には60点が必要なので、5点足りないことが問題なのです。

 

一方、問題点とは、問題を引き起こしている「点」です。
小さなポイントです。

 

問題点とは、「原因」であり、「技術的障壁」であり、乗り越えるべき「壁」であり、「真因」であり、「本質的問題」であり、そこさえクリアしたら万事がうまくいく「ボトルネック」です。

 

「5点足りない問題」では、5点を上げることが課題になります。
そして、5点足りない問題の原因は、分野Aが準備不足であるとか、知っておくべき公式Bが覚えられていないとか、そのような小さな小さなポイントとなります。

 

そのポイントが、「問題点」(とそれに準じる用語)といえます。

 

技術士試験のⅢでは、課題解決能力が問われています。

課題解決をするには、課題を適切に設定し、「問題点」をしっかり絞り込み、そして、その問題点をクリアするために、効果的かつ効率的な対策をうちます。

 

技術士試験のⅢでは、このストーリーを示せているかが確かめられています。

「問題」と「問題点」の区別ができているか、いま一度、チェックしてみてください。

「あの人のようになりたい:リーダ-シップとマネジメント」

2025年11月15日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 34

「あの人のようになりたい:リーダ-シップとマネジメント」  

 筆記試験を通過された方々は、これから口頭試験本番まで、極めて中身が濃い期間を過ごすことになることを理解し、今後の試練に挑んでいただきたいと思います。  今回は、技術士口頭試験でその資質として確認される「リーダ-シップとマネジメント」の口頭試験対策にご紹介したいと思います。

 1. 自己組織、役割の再整理  

 まず、自分が所属する組織の体制と自身の職位と役割について改めて再整理して下さい。自分が組織から与えられている使命について認識を新たにして下さい。口頭試験では単に知識や経験を説明するだけではなく、「技術者として、チームやプロジェクトをどのように牽引し、問題解決に導いたか?」を示す必要があります。 ここで重要な点は組織の大小ではありません。特に若手の方々は、経験があまり長くありませんから、この部分に戸惑われる点かと思います。どんなチームや組織で、どのような業務を行っているか、自分はその中でどんな役割を担っているか、技術士にふさわしいした業務の以下を明確にしておく必要があります。

 ・存在した問題と課題  

・自身の役割  

・自身の行動  

・得られた成果と評価

2. リ-ダ-シップとマネジメントとの違い

  口頭試験に際し、改めてリーダ-シップとマネジメントとの違いについて、整理しておくことも重要です。

 1) リーダ-シップとは

 リーダ-シップとは、チームや組織目標に向け、人を動かす力を指します。すなわち、チームや組織に影響力を与え、新しい取り組みに挑戦するけん引役を担う人とも言えるでしょう。

 2) マネジメントとは

 一方、マネジメントは組織資源(人、物、金、時間)を管理し、目標を達成するための管理能力です。プロジェクト遂行に必要な工程、品質、コスト、安全等を適切に管理するプロジェクト運営能力がある人、とも言えるでしょう。

 3.あなたが目指すリーダ-の姿  

まず、あなたの周囲の誰かをイメ-ジして見て下さい。あなたはどのような人がリーダ-にふさわしいと思いますか?また、あなたが目指すリーダ-の姿や、あの人のようになりたいと思う人はいますか?例えば、以下のような人がそのイメ-ジとして考えられる人と思います。

 1)明確なビジョン

 チームに「なぜそれを目指すのか」を理解させる。明確な目標や方向性を提示する。短期的な課題だけでなく、長期的視点で物事を捉え、計画的実施する。

 2)コミュニケーション能力

 メンバーの意見を丁寧に聞き、相手の立場を理解し、信頼関係を築きながら、自分の考えを分かりやすく伝え、チームへ方向性を示す。

3)責任感と決断力

難しい状況でも逃げずに決断を下し、結果に対して責任をもつ。絶えず改善策を考えながら行動する。

 4) 柔軟性と適応力

状況変化に対し、柔軟に対応でき、従来の手法や固定観念にとらわれず、新しいアイデアや方法を、積極的にチームワークに取り入れる。

 5) 動機づける力

組織やメンバ-の強み、弱みを理解し、冷静にそれを活かすように働きかける。メンバ-に対しては、「声かけ」「励まし」「支援」により、動機付けを継続する。

 6) 率先炊飯

自ら率先して努力する姿勢が、周囲の信頼と尊敬を生む。言動に一貫性があり、公平・誠実に行動する。 

7) 反省を活かす

チーム内に建設的なフィードバックを与える。他人からの意見や批判を冷静に受け止め、新たな改善志向に基づき、組織に新しい風土を醸造して行く。

 4.想定設問事例

想定質問事例を以下に示します。抽象的でなく、具体的行動とその成果、実績や改善効果を示すと、より説得力があるものと思います。  

・リーダ-シップを発揮できた業務を紹介して下さい。   

⇒通常業務でのあなたの立場を説明し、総括あるいは担当セクションの責任者として主導的に業務を遂行していることを説明して下さい。  

・組織、人材関係者の中で、苦労したことはありますか。それはどう克服しましたか。

 ⇒主体的に行動し、関係者間をいかに調整するかを念頭にチームの方向性示すようにしています。

・あなたがリーダ-として、最も意識している点は何ですか。  

 ⇒信頼と協力、組織牽引力と考えます。

 ・これから、リーダ-としてどのように取り組んで行くつもりですか。  

 ⇒部下から、憧れるような人材をめざしたいと思います。  

・リーム力を向上するためのリーダ-の役割は何ですか。  

 ⇒自ら難しい事柄に積極的に取り組み課題解決や改善志向を組織をつくることです。  

・リーダ-シップについて、普段、工夫や留意している点はありますか。   

⇒チームメンバ-との雑談、意見交換や共に楽しく働く職場環境づくりに留意しています。 皆さんが普段、リーダ-としてチームを成功に導くために頑張っていることを伝えることができれば問題ないと思います。   

次回は、リスクマネジメントについて紹介したいと思います。(以上)

「歯切れが良く言い切る:コミュニケ-ション力」

2025年11月08日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 32

「歯切れ良く言い切る:コミュニケ-ション力」

 筆記試験合否の発表となりました。合格された皆様おめでとうございます。これからの口頭試験は大げさな表現にはなりますが、「人生最大の戦い」です。これに全力で取り組んで行きましょう。  今回は、口頭試験で求められる「コミュニケ-ション力」の準備についてご紹介したいと思います。

1. コミュニケ-ション力のアピ-ル留意点

  基本的に口頭試験における「コミュニケーション力」とは、単に言葉で伝達する能力だけではなく、「試験官に自分の考えや意図を的確に、わかりやすく伝える力」が求められています。このため口頭試験では以下の点に留意することが必要です

 1) 明確な表現

 口頭試験で大切なことは、技術的に難しい内容のことを簡潔に試験官に理解しやすいように伝えることです。そのため説明内容を一文一意でわかり易く分けて、理解しやすい言葉で説明することが肝要です。この際、必要な重要キ-ワ-ド以外は、難解な表現はしないことを心掛けて下さい。

2) 試問の意図の理解と確認

v時に試験官の質問は、設問意図が明確でないことが想定されます。例えば、「この件に関して、あなたはどんな風に思いますか?」など、どの部分の何を問われているかわからない場合が想定されます。このような時は、「今のご質問は○○についてのことでしょうか?」と遠慮せず、質問内容の意図を確認した上、解答するようにしましょう。 また、試験官の言葉や表情、反応を良く観察し、適度なタイミングで相槌を打つなど、会話応答のリズム感を確保することにも留意下さい。

 3) 論理的解答

 試験官が求めていることはわかり易い論理的な回答です。すなわち、説明プロセスが導入から結論までシンプルかつ論理的であることが重要です。この際、無駄な情報や補足説明は省き、重要なポイントのみを強調することを意識しましょう。

 4) 説得力

回答に際しては、自身の経験や実例の具体的説明は、その成果と得られた効果や反省を交えて伝えると、より説得力があると考えます。   課題解決の苦心点や工夫、試行的な取り組みやプロジェクトとしてのチーム内外の連携による結果や成果を自然体で説明できると好印象につながると考えます。

5) 身振り、手振り  

 回答に際し、言葉と併せて身振り、手振りや姿勢、表情による「非言語コミュニケ-ション(:ノンバ-バル・コミュニケ-ション)」手法の活用も大切な要素です。真摯に一生懸命答える姿勢を示し、短時間ながらも円滑なやりとりを意識して下さい。

 6) 聞く、理解するスキル   

口頭試験では試験官の質問を確実に聞き、それを理解し、適切に応答するスキルが試されています。試験官のフレ-ズをあえて繰り返すなど、聞く、理解する、その設問意図に沿ったものであることを確実にして下さい。そして最も重要なことは必要なことのみ回答して下さい。饒舌になりがちな方は留意下さい。

 7) 歯切れよく言い切り、自信を伝える

 設問に対し、自信満々に回答することは容易ではありませんが、自分の知識や経験に自信を持ち、堂々とした態度で回答することも大切なポイントです。但し、過信せず謙虚さを示すバランスにも配慮下さい。  特に、解答の語尾部分については、「○○と考えます。」「○○であると判断します。」「○○に取り組んで行きたいと考えています。」などはっきりと、歯切れが良い末尾表現で締めくくり、自信を伝えて下さい。鏡の前でのセルフトレ-ニングは有効です。是非、実践下さい。

 8) Q&Aのテンポ

試験官は予め、設問のチェックシ-トを準備していると言われています。従って約20分程度の間に確実に設問項目にチェックが入るように応答することが肝要です。適度なテンポ確保のため、以下に留意して下さい。  

・はい、いいえにより、結論を先行すること  

・次に、その理由(なぜなら)を論理的、簡潔に示すこと 

・複雑な説明ではなく、シンプルにわかり易く、短文にして分けて示すこと

・自分の意見は求められる以外は、説明しないこと  

・試験官が次の設問へ移行できるよう回答のテンポ、リズムを絶えず、意識すること

 2.想定外の設問対応  

 設問については、全く想定外の内容も予想されます。但し、心の余裕も含め「想定内」であることを予め意識しておくことが大切です。このような場合、まず慌てないで、質問の内容の確認やそのどの部分を切り出して説明するかを考えてみましょう。例えば、以下のような対応は、どうでしょうか。

Q:今後、将来に向けての道路部門のあるべき姿は?(かなり幅の広い質問)

 A:私は、地域活力の観点から○○と考えます。(あえて勝手に、こちらから解答する部分の限定条件に創ります。そして、そこへ視点を誘導し回答する。) 設問意図に対する解答そのものとは、若干の相違があったとしても、回答上のコミュニケ-ションは確保されることになります。100%の完全解答が望ましいことはもちろんですが、解答が困難であったり、予想外の場合は、設問する部分や範囲を自身で設定し、そそこへ誘導し、解答することも意識下さい。

 例えば、私が住んでいる地域では・・・・

私の専門分野では、・・・・

私が経験した事例では・・・・など

自分の得意な分野や領域へ話題を振り向けると回答しやすいと思います。 次回は「リーダ-シップとマネジメント」に対する口頭試験対策について紹介したいと思います.

(以上)

語ってはいけない口頭試験

2017年11月03日 作成 / 執筆:技術サムライ講師 / 閲覧数(月間): 30

口頭試験終了後、受験生の手ごたえと結果は、次の3パターンです。

1.質疑応答はできたと思う。そして合格
2.質疑応答はできたと思う。そして不合格
3.質疑応答ができなかった。そして意外と合格、あるいは予想どおりに不合格

 

こまるのは2.の場合です。
失敗した原因がわからないためです。

 

しかし、この場合は、たぶん、たくさん話していただけで、採点官が求めていた応答をしていなかったのでしょう。

 

「口頭試験では語ってはいけない」と思っておけばよいでしょう。

 

「口頭試験は、採点官と自分との、キャッチボール」と思っておくことです。
たくさん、キャッチボールをするには、受け取った球(質問)をすばやく返すこと(応答)。

 

すばやく返すには、短く答えること、です。
具体的には、2語で返します。

 

「はい、〇〇です。なぜなら、××だったからです。」
「はい、〇〇です。それは、××だからです。」
「はい、○○です。××の制約があったためです。」
「はい、〇〇です。というのは、途中で××の問題が新たに見つかってしまったからです。」

 

1つの問いかけに対して、4~5回のキャッチボール(質疑応答)ができると良いです。

 

この人は、身体の真正面に投げたボールを取れますね。

右上に投げたボールも、左上に投げたボールも、右下や左下に投げたボールも取れますね。

そして、どの返球も、採点官の私に取りやすいように、投げ返してきますね。

 

こんなイメージで、採点官とのキャッチボールをしてみてください。

試験が終了したときの解放感は最高です。もう少しですから、頑張ってください。

「相反する課題への対応:リスクマネジメント」

2025年11月22日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 30

「相反する課題への対応:リスクマネジメント」  

 受験者諸氏は口頭試験に向け、準備されていることと思います。今回はコンピテンシ-の項目として、質問が予想される「リスクマネジメント」についてご紹介したいと思います。

 1. 基本プロセス

 まず、リスクマネジメントとはどういうことかを、理解認識することが必要です。リスクマネジメントとは、将来起こりうる不確実な出来事(リスク)を特定し、それがもたらす悪影響を最小限に抑えるための体系的な取り組みのことです。従って、企業活動やプロジェクト運営などの多様な分野で重要な管理手法です。リスクマネジメントの基本的なステップは以下により構成されます。

 1) リスクの特定(潜在リスクの洗い出し)

2) リスクの分析(発生の可能性とその影響の大きさの評価)

 3) 対応策の立案(実現できる対応策の検討)

 4) 対応策の実施(実施計画と必要資源の準備)

5)モニタリング、フィ-ドバック(定期監視とPDCA)

2. 口頭試験での対応

 1) 実施体験    

いつ、どこで、どんな場面で実施したかを具体的に上記に示したプロセスに基づき、簡潔に整理しましょう。

 2) 倫理・社会的責任

「リスクマネジメントとして、どのようなことを実施していますか?」に対して、例えば、法令改正のリスクに備えた「社内コンプライアンス教育」の実施など、公衆の安全、環境保全、法令遵守などへの配慮等の継続がイメ-ジしやすいと思います。

 3) チ-ムマネジメント

リスクマネジメントは企業やチームプロジェクトとのかかわりが必須です。社内関係部署、外部業者、関係者間の連携・協力が重要となります。定期、継続的レビュ-会議を利用、チーム運営を行っていることを示すと良いと思います。 

4) 業務説明ポイント

経験業務の説明では、想定されたリスクに対し、その影響度の評価から、具体的にどんな対策を計画的に実施し、その進捗管理方法、是正、成果をわかり易く説明すると良いでしょう。日常業務で行っていることをPDCAサイクルに基づき実践し、移行改善につなげていることポイントよく説明して下さい。 

5) アピ-ルポイント    

 口頭試験では多くを説明する時間はありませんが、説明時のキーワ-ドとして以下を組み入れることで、見識のアピ-ルにつながると思います。

 ・リスクマトリックスによる特定   

 ・定性、定量評価    

 ・実施可能な最善策(回避、軽減、代替、受容)   

 ・コンプライアンスと利害関係者との調整   

 ・相反する課題に対する対応

3. 質問事例

 自分の経験業務として、行っていること、考えていること示すと良いでしょう。 そのため、設問を想定した2~3事例を準備されることをおすすめします。

・あなたの業務でリスクマネジメントの考え方を教えて下さい。

⇒リスクが発生する事象や要因や場面を普段から認識し、定期的に見直しすることと考えます。

 

 ・日常業務で発生が想定されるリスクにはどんなものがありますか (技術的・経済的・社会的・環境的・運用的リスク等)

⇒ミス、事故、コミュニケ-ション不足、社会情勢への対応等があげられます。

 

・それらに対する対応策はどんな方法がありますか。

 ⇒特定、方策、監視、改善、フィ-ドバックのスパイラル活動をシステムとして継続することだと考えます。

 

・リスク対応策の有効性はどのように確認しますか。

 ⇒社内外からの情報収集に基づく、客観評価やクライアント等へのアンケ-トが挙げられると思います。

 

 ・また、見直しはどのように決定しますか。

 ⇒定期的に期間を定め、PDCAサイクルによるチェックを行います。

 

・リスクマネジメントと品質・安全・コスト管理との関係はどう評価すべき?

⇒どれも重要なことですが、均衡が図られ最大限の成果を上げることだと思います。

 

・不確実性の高い事項は、リスクマネジメントとしてどう対処すべきですか

⇒難しい問題です。但し、リスクが必ず起こりうる観点から、その対応について普段から意識、場合によっては想定訓練を行うことも重要と考えます。

 

・リスクマネジメントにおける技術者の倫理的責任とは何でしょうか?

 ⇒想定されるリスクに対する認識と技術者として取るべき規範行動と思います。  

受験者の皆さんには模擬面接等を実施、口頭試問対応力向上に向け準備されることを期待します。次回は継続研鑽について、ご紹介したいと思います。(以上)

「Ⅳ.河川・砂防 技術提案書の資格要件」

2025年10月18日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 29

「Ⅳ.河川・砂防 技術提案書の資格要件」

 私は転職して、河川構造物分野のセクションに配属になりました。施工会社から、総合コンサルタントの新しい世界へ飛び込むことになりました。未踏分野であった河川分野への新たな挑戦がはじまりました。

1. 受験経緯

 私が転職した当時は、建設コンサルタントの世界も新たな時代を迎え、業務発注形態が提案型業務(プロポーザル方式・総合評価方式)への移行時期でありました。業務を受注するには企業及び技術者の同種業務実績、該当分野の技術士資格要件を満足し、事前に提出する「技術提案書」によりで、他社より高い評価点を獲得することが求められるようになりました。さらに、要請分野の技術士資格を取得していなければ、入札参加の選定でふるい分け、制限されることになりました。 このため、好むと好まざるとかかわらず私は、河川・砂防分野の技術士を取得することを迫られました。

2. 求められる専門性

 技術士試験はどの分野も共通して専門性が高く、問題解決能力が求められます。合格するためには、実務経験とそれに対応すべく技術研鑽が必要です。河川計画、河川構造物、利水、維持管理、河川情報、地域防災など、新しい専門分野と立ち向うことになりました。

3. 経験論文の構想

 経験論文は職場で従事する河川構造物とし、私の自身のキャリアから施工に関連した分野の視点からアプロ-チが良いと考えました。転職後に担当した業務を掘り下げ、課題に対しどのようなプロセスで問題解決へ導いたかを改めて整理して行きました。経験、専門、一般記述もこれまで実践してきた技術士試験に対する準備経験が、後おししてくれ無事、筆記試験を通過することができました。

 4. 口頭試験の準備と本番

 口頭試験の準備は、これまでに部下や他社の受験者の模擬口頭試験等を行ってきましたので、その方法については従来とほぼ、同様な進め方で行いました。但し、河川・砂防については河川行政、河川法、河川環境、河川情報、住民との協働、防災等、幅広い分野の見識が必要であるため、準備期間がいくらあっても足りないと感じました。  

 口頭試験はいつも渋谷会場でした。相変わらずの独特の雰囲気の控え室でした。この頃から、口頭試験はその部屋の前で、待機するスタイルであったと思います。私の年齢は50歳になっていたと思います。「鏡の前の一人口頭試験」もある種の定着感も出てきたものの、専門技術者として評価されることについては、口頭試験を数度重ねてもプレッシャ-はあるものです。

 口頭試問が始まりました。どうやら試験官はお二人ともに大学の先生の方のように思えました。しかも私の年齢よりも、明らかに若い感じの方々でした。余裕は決してありませんが、年齢が私の方が年上であることに対し若干、アドバンテージを感じることができ、気持ち的に楽になりました。 口頭試問の余裕こそありませんでしたが、年齢、既取得部門があることにより、難解、意地悪、予想外の質問はなく、淡々と終了したように思います。最後の設問では「今更、技術士の義務、責務を聞くまでもないでしょうから、これで終了します。」のしめくくりで、口頭試問が無事終了しました。

 5. 河川・砂防分野の口頭試験準備

これから、河川・砂防分野で口頭試験に向け準備される方は、私の経験から以下について整理・準備することをお勧めします。

 (1) 専門的知識

・技術的判断

・洪水被害軽減のための河川整備手法

・自然再生や環境に配慮した河川計画を行う際の留意点

・ダム、遊水地、堤防、調節池などの治水施設の特徴とその役割

・近年の気候変動による降雨特性の変化に対する河川計画上の対応と現状

・今後の河川維持管理で特に重要な課題

(2) 社会的要請・制度面

・河川法や水防法に基づく業務上の留意点

・地域住民との合意形成を図るためのあなたが考える施策

・河川整備計画策定における住民参加の意義と地域活動との連携

 ・SDGsやカーボンニュートラルの観点から河川分野に求められる方向性

(3) 時事・最近の話題

 ・令和○年○月豪雨の被害事例に基づく、技術的観点からの教訓等

・洪水、地震災害への地域防災力の強化策

・地域におけるリスク評価とその対応

 ・浸水想定区域やハザードマップの課題と改善点

・ICTやAIを活用した河川管理技術の最新動向  

(4)基準超過対応

 近年の降雨については従来の実績や経験則を前例基準として適合が困難になってきています。今後、河川・砂防・海洋・海岸分野でどう対応して行くべきかを整理しておくことが必要です。特に全国、地方の直轄河川や中小河川等、山間地、海岸地域において、地球環境、気候変動、安全国土形成の観点から、自分の意見として答えられるよう準備下さい。  

 次回は、会社の至上命令により受験が必要となった「衛生工学部門」の口頭試験準備についてご紹介します。(以上)

「英語は得意ですか?自己研鑽のきっかけ」

2025年11月29日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 29

英語は得意ですか?自己研鑽のきっかけ」  

技術士の継続的な自己研鑽を行うことは、技術士法の責務になっており、専門性を継続・向上させることは極めて重要です。

今回は技術士試験合格後の私の自己研鑽について紹介したいと思います。 

1. 技術トレンドの把握に必要性  

技術は日々進化しています。これに技術者は絶えず遅れず定期的に最新技術や業界動向をチェックすることが必要です。

このためには日頃から以下について技術トレンドの把握・継続が求められます。 

 1)技術書、論文購読  

 2)セミナ-等への参加

 3)オンラインプラットフォームの活用  

 4)自身が研鑽したい他分野

2. 資格とCPD

私事ではありますが、施工計画分野での技術士口頭試験の設問で「英語は得意ですか」に対し、「今後、勉強して行きたいです。」と解答しました。

技術士合格後、私は恥ずかしながら英会話の勉強にチャレンジすることにしました。

実はこれがなかなか大変でしたが、海外の人とのコミュニュケ-ションの重要性を改めて認識できました。

 技術士試験に合格、技術士になったらさらにその専門性をたかめるために関連資格にチャレンジすることは極めて重要であり、

自分のスキルを客観的に証明することにつながることを私は、身を持って実感しています。

 ちなみに私は技術士試験合格後、以下の資格取得や研鑽に取り組みました。

 技術研鑽することで、今まで全然知らなかったこと、意識していなかったこと、新たな興味などと出会うきっかけとなります。  

・ISO環境システムマネジメント審査員  

・環境カウンセラ-(事業者部門)  

・コンクリ-ト診断士  

・河川点検士  

・河川維持管理技術者  

・英会話  

・日本語教師(420時間専門教育受講)

 3. 実務の積層  

技術士として実務を積むことは、技術的知識を深め、問題解決能力を高めることにつながります。

新たなプロジェクトへの挑戦は、体験しながら実践的に専門知識を習得することになります。

また、複雑な課題に取り組むことにより、技術的判断力や問題解決能力の向上につながると考えます。

 4. 技術の応用と研鑽

 一方、業務や調査・研究に従事することにより、新しい技術の積極的な適用や新たな自己研鑽につながります。

自身の業務に新しい試みを取り入れ、それをフィ-ドバックし、次へ展開、好循環へつなげることできると考えます。  

さらに業務成果や研究に関する技術論文を執筆するなど、学術的な舞台やフィ-ルドへ自身を誘う可能性や自己行動領域を広げることにつながります。 

5.ソフトスキル  

さらにこれまでの業務実務経験に加え、ソフトスキル(コミュニケ-ション、プレゼンテーションスキル等)等、自身の向上心を活性させる機会を創ります。

6. 自己研鑽の質問例

参考までに自己研鑽に関する質問例を以下に示します。 

・資質向上、スキルアップで実践していることはありますか。

 ⇒専門分野の情報誌の購読や講習会等へ積極的に参加しています。

・技術士を取得したら、どんな分野を研鑽してみたいですか。

 ⇒関連する分野の技術領域を拡大したいと考えています。

 ・技術士を取得したら、資格をどのように活用したいと思いますか。

⇒新しい分野の業務や他技術分野技術士との連携により、課題解決に繋げていきたいと考えます

・CPDはどのように記録、管理していきますか。

⇒研鑽分野のバランスを考慮しながら、できる限りの努力を継続しています。

・どんな、技術士になりたいと考えていますか。

⇒自身を常に、ブラッシュアップする技術士になりたいと思います。

・日本技術会にしますか?

⇒取得後は是非、入会したいと考えております。いろんな分野の方々との連携と人的ネットワ-クの拡大に繋げて行きたいと考えております。

(これは、是非、入会の意志を示して下さい。何故なら、日本技術士会の試験だからです。)  

次回は、技術者倫理とトレンド技術について紹介したいと思います。(以上)

複数部門の技術士を目指そう

2017年11月30日 作成 / 執筆:技術屋NR講師 / 閲覧数(月間): 27

技術士倫理綱領には、次のように書かれています。

「有能性の重視
 3.技術士は、自分の力量が及ぶ範囲の業務を行い、確信のない業務には携わらない。」

自分の技術部門を超えた業務は行ってはならないということです。

例えば、「発電機の発電効率を向上させる」という課題に対して、
機械部門の技術士では、機械的な観点からしか解決案を出せないし、
また、電気電子部門の技術士では、電気的な観点からしか解決案を
出せないということになります。

しかし、機械部門と電気電子部門の両方持った技術士であれば、どちらの観点からでも
アプローチできますし、どちらがより効果的かの評価もできます。

また、機械的な方法と電気的な方法を合わせた提案ができます。


マネジメントの部門である総合技術監理部門を取得することも重要だとは
思いますが、複数の一般部門を持つ技術士の方が顧客からのニーズに応える
ことができるということもあると思います。

再来年度からの第二次試験制度の変更は総合技術監理部門以外の一般部門
だけですので、総合技術監理部門か2部門目、3部門目の一般部門のどちらを
受験しようか迷われている方は、一般部門を受験されることを強くお勧めします。

多くの方が、一般部門を取得し、その一般部門を専門科目とする総合技術監理部門を
取得することがゴールであると思われているようですが、ぜひとも、一般部門の2部門目、
3部門目にチャレンジしてみて下さい。

継続研鑽は技術士の責務です。

私も3部門目に挑戦したいと思います。

一緒に頑張りましょう。

「Ⅴ.控室を楽しもう:衛生工学部門」

2025年10月25日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 27

「Ⅴ.控室を楽しもう:衛生工学部門」  

 今回は、私が体験した「衛生工学部門」の口頭試験の準備についてご紹介いたします。私は学生時代に「衛生工学」と言う学科を履修しましたが、水道、下水の水質や処理技術などの分野であり、正直なところあまり関心が深くなく、当時はこの分野は将来、無縁であろうとも考えておりました。しかし、人生とは不思議なものです。まさか、私がこの分野の技術士試験を使命として、受験しなければならないことになったのです。

 1. 受験使命   

 私が所属する部署では廃棄物処理関連業務を担当していました。部員の一人が数年前にこの分野で技術士試験に合格、彼は、技術士取得を契機に独立開業することになりました。会社として衛生工学の部門のコンサルタント登録ができなくなり、当時、私は部門長であり、経営層からその是正を命ぜられました。しかし、そう簡単に人材が存在している訳ではなく、また、人材が短期間で育成できるはずもありません。やむなく自分で、受験を宣言せざるを得ない状況なりました。私はけっして「資格マニア」ではなく、必然として受験が必要であったことを、補足説明させていただきます。

 2. 広範知識の必要性  

 私は退職した彼の技術士添削指導をしてきましたので、この分野の概略的なアウトラインは理解していました。また、立場的にも業務に関与しておりましたし、これまでの経験として汚水処理等業務にも従事してきましたので、比較的なじみ安かったと思います。筆記試験の準備については、これまで私が実践して方法を貫きました。 廃棄物管理での勉強を進めるにつれ、専門分野では浸出水処理、破砕機、焼却炉、汚泥脱水機等設備機器、機械・電気、化学的な要素が濃く、関連する技術知識、設備機器の機能や特徴等について、広範知識の必要性を痛感しました。

 3. 再生エネルギ-との関連性  

 過去問題等を整理準備して行く過程で、衛生工学部門はこの分野として、水質、大気、廃棄物、空気調和、建築環境等があります。私が受験した廃棄物管理は処理・処分に加え、再生エネルギ-への展開性、関連性が強いことがしだいに見えてきました。いわゆる再循環社会システムの構築が切望されていることを、強く認識するに至りました。

4. 控室を楽しもう

 記述試験は再生エネルギ-関連の問題が出題され、お蔭様で無事通過することができました。口頭試験はいつも渋谷会場。年齢も56歳になっており、口頭試験5回目にもなると余裕はこそありませんが、初回の時とは心境的にも相当、負担は軽減されていました。 控室はいつもの静寂。「この先、技術士試験を二度と、受験することはないだろう。」と思い、この異様な控室の雰囲気を是非この際、「自分史として、脳裏に刻み、焼き付け、異様なこの空気感を楽しもう。」と勝手に暗示にかけ、受験者個々の「人間ウオッチング」を試みました。控え室内の受験者を見渡すと、やはり、以下のような人ばかりで、余裕のある人は誰一人、発見することができませんでした。

・必死にQ&Aを見返し、記憶する人

 ・技術士倫理を繰り返し暗唱する人

 ・白書等をチェックする人

・願書や再現記述をチェックする人

・自作資料を携帯で確認する人  

 予定の時刻がきて、部屋のドアの前で待機しました。前の受験者が、口頭試験を終了し、退室してきました。なんと額から吹き出るほどの汗。「どんなことを聞かれたのだろう?」「自分も聞かれるのであろうか?」先ほどまでの余裕感はどこへやら、血圧急上昇、不安な気持ちに一転しました。  

 口頭試問がはじまりました。技術士受験は何回目?、と聞かれたので、事実として、建設(施工計画、建設環境、河川)総監を取得していることを返答しました。私の年齢的な事も起因してか専門技術的なこと、政策的なこと、意地悪な質問は一切なく、無事、終了、合格することができました。

5.想定質問例

  衛生工学部門(廃棄物管理分野に特化)の口頭試験で、想定される質問を私なりに以下に整理します。口頭試験受験者の方のQ&A作成のお役に立てば幸いです。

 1) 実務経験(経歴票からの深掘り)

・あなたが担当した廃棄物関連の業務で最も課題となった点は?

・廃棄物処理施設の設計/運営で工夫した点の具体的な説明?

・地域住民や行政と調整が必要だった事例は?合意形成の方法は?

・廃棄物の発生抑制や資源循環に関して、あなたが提案・改善した具体例は?

 2) 専門知識・技術

 ・最終処分場の安定型・管理型の違いと、理想とする処分場のイメ-ジは?

 ・廃棄物処理法に基づくマニフェスト制度の課題は?

・廃棄物の発生抑制(3RのうちReduce)を推進する上での社会的課題は?

 ・マイクロプラスチック等廃棄物問題に今後、どう対応すべきか?

・廃棄物エネルギー回収(RDF、RPF、バイオガスなど)のメリット・デメリットは?

3) 安全・倫理

・廃棄物処理場内管理上での労働安全上注意すべき点は? 

・不適正処理を発見した場合、技術者としてどう行動しますか?

・廃棄物処理のコストと環境保全のバランスをどう考えるか?

・外部とのコミュニュケ-ションの在り方は?

4) 時事・政策 

・プラスチック資源循環促進法のポイントは?

 ・カーボンニュートラル実現に向けた廃棄物管理の役割は?

・循環型社会形成推進基本法の基本原則?

・災害廃棄物に備えた対策とその在り方は?

5)全般

・技術士としてどのように社会貢献していきたいですか?

 ・あなたが目指す衛生工学分野での将来課題は?

・廃棄物分野における技術士しての役割は?

 次回からは口頭試験準備に向け、特に重要な事項と判断される問題解決能力、コミュニケ-ション、リーダ-シップ、リスクマネジメント、自己研鑽、技術士倫理、新技術・技術開発等について、私が考える準備すべきポイントを順を追ってご紹介して行きたいと思います。(以上)

「自分の言葉で!技術士倫理」

2025年12月06日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 27

「自分の言葉で!技術士倫理」  

さて、いよいよ口頭試験の本番が始まる頃と思います。皆さん必死に準備されていることと思いますが、今回は口頭試験で不可避である「技術士倫理」と「技術見識」の対応について紹介したいと思います。  技術士の倫理綱領とは、技術士が業務を遂行するうえで守るべき倫理・職業的な指針をまとめたものです。技術士倫理綱領は、技術士が品位の向上と技術の研鑚に努めながら、多角的・国際的な視点に立ち、公正・誠実に行動し、社会全体の利益に貢献することを目的として作成されています。技術士を目指す諸氏は必ず、理解しておかなければならない必須要件でもあります。

 1. 自分の言葉で説明

技術士倫理要綱は以下の事項を示しています。2023年度に一部改正されています。改正されたポイントは確認、整理しておくことが良いでしょう。但し、文章が長く、難解な文章は覚えることが、大変です。従って以下のようにわかり易く、自分の言葉として簡単に説明できるようにしておいて下さい。

 1)安全・健康・福利の優先

 公衆の安全、健康及び福利を最優先に考える。

 2)持続可能な社会の実現

 地球環境の保全等、将来の社会の持続可能性の確保に努める。

3)信用の保持

品位を保持、うそごまかし、不当報酬の授受等、信用を失うような行為はしない。 

4)有能性の重視

 自分の力量が及ぶ範囲の業務を行い、確信のない業務は行わない。

5)真実性の確保

真実に基づいた情報を提供し、偽りなく業務を行う。

 6)公正かつ誠実な履行

 公正な分析と判断に基づき、業務を誠実に遂行する。

 7)秘密情報の保護

業務上知り得た秘密を、正当な理由がなく他に漏らしたり、転用したりしない。

 8)法令等の遵守

業務の対象となる地域の法規を遵守し、文化的価値を尊重する。

9)相互の尊重

相互に信頼し、相手の立場を尊重して協力する。

 10)継続研鑽と人材育成

常に専門技術並びに技術と社会が接する領域の知識を高め、人材育成に努める。

 2. 倫理行動

日常の業務遂行や行動に際し、具体的には以下のようなことが求められていると考えます。

1) 公共の安全確保

 例えば建設活動は工事による社会や周辺環境へのどのような影響を及ぼすか慎重かつ十分に配慮した検討が必要です。

 2) 誠実行動

技術士は情報を正確に伝え、ごまかしたり、かくしたりせず、誠実に行動することが求められます。このため技術的データや結果については正確に報告することが含まれています。

 3) 社会的責任

 技術士は技術が社会へ与える影響を深く理解した上で、社会全体の常に利益を考えて行動する必要があります。このため地球環境問題や防災対策のような社会的な課題に対しては、積極的な関与による貢献が求められています。

 4) 公正公平

技術士は自信の専門技術を利用し判断を下す場合は、公正かつ公平を保持することが必要です。自身の利益や偏った視点ではなく、社会全体としての利益を優先した判断が必要です。    

5)専門知識の向上、維持   

 技術士は自分の専門分野における最新の知識を学び、技術力を向上する努力を継続しなければなりません。このことが社会や企業に有益な結果と安全な技術を提供できることになります。

 3. トレンド技術により、見識をアピ-ル

一方、口頭試験では幅広い技術見識や専門分野におけるトレンドについて、試問される可能性があります。技術士は誠実な倫理行動とともに継続的なエンゲ-ジメントが必要です。日々進歩発展する技術や研究成果にアンテナを張り、普段の業務に活かしていくことが求められます。近年は情報関連や人工機能等先進技術が急進しており、社会的ニーズとしても以下のトレンド技術に目を向け、広範な知識を習得の継続を目指す必要があります。このため専門分野の白書、専門雑誌、業界紙等の特集記事、トピックスを意識して、口頭試験に向け、キーワ-ドとして押さえておいて下さい。

 ・BIM,CIM

・AI技術

・3Dプリンティング

・建設工事等のロボテクス化

・スマ-トシティ-とIT技術

・サスティナブル建設技術

・ドロ-ン技術

・高耐久性、高機能素材開発

 ・省エネルギ-追及型建築環境

・拡張現実と仮想現実によるわかり易い可視化

次回は口頭試験後の再現の必要性について、ご紹介したいと思います。(以上)

施工計画の口頭試験の準備ポイント

2025年09月27日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 26

「Ⅰ:施工計画の口頭試験の準備ポイント」

  今回は私の「建設部門-施工計画分野」について、口頭試験体験記と受験される方へ、準備のポイントを以下にご紹介したいと思います。 1. 夢まぼろしの筆記試験の合格連絡 私は技術士試験の初受験は31歳の時でした。しかし、合格できたのは40歳であり、合格までに約10年の歳月がかかりました。当時、私は筆記試験終了後、通信インフラ工事(市街地電線地中化)の施工管理業務に従事しておりました。 連日の夜間工事により昼夜逆転生活が約2ケ月ほど続いており、日中の十分な睡眠時間の確保は容易ではなく、疲労もかなり蓄積していた頃だったと思います。 友人A氏(前年度合格の同級生で私を指導してくれた先輩技術士)から、「至急の電話だよ。」かみさんから起こされました。寝ぼけた状態で受話器をとると、友人A氏は興奮気味の声で「筆記、合格してるぞ!」その瞬間、眠気が一機に吹きとびました。連日の夜間工事で、筆記合格発表のことも忘れており、突然の吉報にあたふたするばかりでした。

2. 想定以上の口頭試験準備   

  友人A氏が、近々模擬口頭を行うので準備しておくように指示があり、とにかく、友人A氏の指示に従い、準備を進めました。 模擬口頭試験は分野が違う応用理学の技術士の方、2名と友人A氏の計3名で行ってもらいました。結果は、散々な出来でした。準備不足もさることながら、自分のことなのに的確に応答することができない。面接官との円滑なコミュニケ-ションが行なえず、自分自身の情けなさを痛感しました。貴重かつ親身なアドバイスをいただいた試験官役の方々には、今でも深く感謝しております。あの悲惨な体験がなければ、現在の今の私はないとも考えております。40歳にして、技術士になることに対する壁の高さと、その厚さを身に染みて感じたことを、今でも鮮明に覚えております。

3. 広い視野の必要性を痛感

 接試験の準備を進めるほどに、やるべきことの多さ、その技術見識の広さと必要性を実感しました。今までの自身の視野の狭さや力量のなさを痛切に味わう毎日でした。日常の業務以外に広い技術見識、世界感、将来に対する技術展望、我が国が直面する課題及び解決策とそれに対する確固たる意見を自分の事として消化することが必要でした。

 4. 経験したことがない緊張感   

 口頭試験は休暇を取り、前日は試験会場の下見に行きました。「ここか?」「中はどうなっているのだろう?」ビルから出てくる人を見て「あの人も受験者かな?」など、思いを廻らせ、不安がつのるばかりでしたので、早めに切り上げ、予約した渋谷のホテルに宿泊しました。その夜は緊張のあまり十分な睡眠はできず、朝早朝に目を覚ますことになりました。 「何かしないと!」と不安ばかり募るので、面接時間は11時頃だったのですが、起床後、直ちにネクタイまで締め、身支度を済ませ、鏡の前の椅子にすわり、鏡に映る自分の顔を見ながら、準備したQ&Aに従い、一人問答を繰り返しました。他の人が見たら、なんて滑稽な様子と思います。しかし、本人は満身創痍です。わが身を振り返る余裕すらなく、ただ、緊張のボルテ-ジと戦うばかりでした。

 5. しずまりかえる控室    

 当時の面接試験は控室で待機、時間になると係の方が呼びに来られるスタイルでしたので、控室でただその時間を待つのみです。受験者は誰一人として声を発する人はいなく、静寂と資料をめくる音と人の吐息のみが聞こえるだけの少し異常な雰囲気が漂う空間であり、その場所にいることが苦痛でした。   「受験番号:○〇、○○さん」「キタ-!」鼓動はMAX、試験官が待つ部屋までのどう歩いたのかも、一切記憶に残っていません。

 6. 終了後の脱力感   

  いよいよ、面接が始まりました。面接官は初老のお二人で、とても紳士的でやさしく質問してくれましたので、心配していたような難問や答えられないような質問はなく、助かりました。但し、以下の質問については、正直、戸惑いを隠せませんでした。   「ゼネコンとコンサルとではどちらが技術レべルは上だと考えますか?」質問の意図はどこにあるのか?、何故この質問なのか?、頭の中で混乱していました。 私は、「双方で良く話し合い、理解し合意を形成することが重要と思います。」と答えました。今思い起こしても、質問に対する的確な答えにはなっていません。「やっちゃったかな?」とあせりましたが、回答否定や次段階の質問がなく、ほっとしました。   口頭試験も最後となり、いよいよ佳境に入ったなあと思った瞬間、「英語は得意ですか?」「エッ?、そんなはず、あるわけがない!」と内心思いながら、「今後、勉強して行きたいと思います。」と答えました。冷や汗が一機に出ました。 「それでは終了します。」のやさしい声でゴングが鳴り、口頭試験は終了しました。 終了後の脱力感は想定以上で、もうぐったり状態、渋谷駅まで「あの応答で良かったのか?、この答えはどうだったのか?」頭の中がぐるぐる、渋谷駅につきました。

 7.遠かったコンビニまでの道のり  

 年が明け2月下旬、いよいよ合格発表の日がきました。当時は地方新聞に合格者の名前が掲載されましたので、早朝、コンビニまで新聞を購入に出かけました。早朝から雪が降っており、コンビニまでの道のりが非常に遠く感じました。手に取った新聞を開げるのが怖くて、怖くて、自分の名前を発見した時は、店内で大声を出しそうなくらいうれしかったことを思い出します。   苦節10年、ついに憧れの技術士試験に合格することができました。ことのほか周囲の反響は大きく、普段、顔をあわせることなどない当時勤務していた会社社長から「合格おめでとう」のメールを頂戴するなど、技術士合格の反響の大きさに驚きました。

  8.施工計画の口頭試験準備ポイント  

 今後、施工計画で口頭試験の受験される方へその準備として、私の経験及び準備を踏まえ、以下のポイントを押さえておくことをお勧めします。 施工計画は、実務能力や現場管理能力、安全管理、コスト意識、工程調整など、建設技術者としての総合力が問われる分野です。以下の設問に対する応答を準備下さい。

 1) 施工計画の基本的考え方

・施工計画を立てる際に最も重視するポイントは何ですか?

・あなたがこれまでに関与した施工計画の具体例を説明してください。

 ・施工手順をどのように検討・決定しましたか?

・工程管理、品質管理、安全管理、コスト管理をどうバランスさせましたか?

2) 技術的判断や課題への対応

 ・設計と施工段階で不整合があった場合、どのように対応しますか?

・突発的なトラブル(地盤不良・天候不良・資材不足など)にどう対応しましたか? ・VE(Value Engineering)やCD(Cost Down)提案の経験はありますか?

・環境への配慮は、施工計画の際に、どう組み込みましたか、その例は?

 3) 安全・品質・環境配慮

 ・安全管理上のリスクアセスメントはどのように行っていますか?

・品質確保、向上のために、現場で行った具体的な対策は?

 ・工事中の騒音・振動・粉塵対策など、周辺環境への配慮はどうしていましたか?

4)関係者との調整・マネジメント能力

 ・発注者や協力会社との調整で苦労したこと、それをどう乗り越えましたか?

・現場管理でチームをまとめる上で、工夫していることはありますか?

・近隣住民や地域住民との調整はどのように進めましたか?

 5) 技術士としての資質

・技術士として施工計画にどのような付加価値を与えられると考えますか?

・若手技術者への教育や伝承で意識している点は?

 ・倫理的な観点で、施工計画上で判断に迷ったことはありますか?

   次回は、その後、新設された「総合技術監理部門」私の受験体験記と準備ポイントについて紹介したいと思います。(以上)

「問題解決能力:簡潔さとアピ-ルが重要な業務説明」

2025年11月01日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 24

「問題解決能力:簡潔さとアピ-ルが重要な業務説明」  

まもなく記述試験の合格発表となります。合格された皆さんが今後、挑む技術士口頭試験において、試問される可能性が高いと思われる以下の7つの重要項目について、準備すべきポイントを、ご紹介します。

 【7つの重要項目】

 1) 問題解決能力

2) コミュニケ-ション能力

3) リ-ダ-シップとマネジメント

4) リスクマネジメント

5) 継続的な自己研鑽

 6) 倫理観・社会的責任

7) 幅広い技術知識

今回は、上記のうち業務説明における1)問題解決能力についてご紹介します。

1. 解決プロセスの明確化

 事前提出した記述業務や経歴業務について、技術士の資質として最も重要である問題解決能力を有していることを示すには、解決に至った具体的なプロセスや方法を説明することが重要です。このため以下のステップに従い回答を準備、説明の明確化に留意して下さい。

1) 問題の抽出:現状問題、課題の明確化

2) 情報収集と分析:情報収集とデータ分析に基づく、多面的評価

 3) 解決策の立案:複数案の総合的評価と最適案抽出及びその工夫

4) 実施とその評価:実施結果と現時点の評価及び改善の余地、可能性

 2.簡潔さが重要   

記述業務の説明するに際しては特に、簡潔であることに留意下さい。経歴書に記述した業務内容を今一度掘り下げ、技術士としてふさわしい業務であったことを以下の点について整理、記述不足の場合は補完下さい。

1) 問題の内容

2) 問題解決へのアプロ-チ方法

3) 解決手段と適用技術

 4) 結果と得られた成果(コスト削減及び工期短縮、品質改善等)  

3.戦略的問題解決能力のアピ-ル   

技術士は技術的な基礎知識のほか、創造的に問題を解決できる能力が求められます。従って一般的なアプロ-チ方法に加え、独自で新しい視点に基づく方法を提案したか、それはどのような効果が得られたについて、アピ-ルすることが重要です。このため、戦略的思考に基づいた検討、方策への反映等、独自性であることに対する強調が必要です。  

4.リーダ-シップの発揮とコミュニケ-ション   

技術士はチームや組織内において指導できる専門家であることが求められます。リーダ―としてのその役割を担うことが前提であり、その実践的経験やチーム体制で問題解決した事例について示す必要があります。このためプロジェクトの遂行方針、方法、利害関係者とのコミュニケ-ション方法についても準備して下さい。

 5.現時点での評価と反省   

実施した解決策は、成果が挙げられた事以外に、現時点で評価した場合、残された課題や反省点があると思います。このことを冷静に評価し、今後の将来的な技術展望、発展性、改善方法等の認識に立脚し、短期、長期の視点から説明できることが大切です。このことは、自己改善能力や新たな問題に対する技術者姿勢のアピ-ルにつなげることができると考えます。

6.業務経歴の設問例  

業務経歴の設問例を以下に示しますので、参考にして下さい。  

・記載業務に内容について(1~2、2~3分程度)簡単に説明して下さい。   

 ⇒要求時間に応じたバージョンを準備下さい。  

・記載業務に関し、補足すべき事項があれば、説明して下さい。  

 ⇒記載業務は字数が制限されているので、不足部分は補完下さい。  

・記載業務で特にアピ-ルしたい点は、どこですか。   

 ⇒できれば、独自性があることを強調したいです。  

・記載業務で経験した結果は、現在の業務にどのように活かしていますか。  

 ⇒反省点等を実践的に活かしていることを説明下さい。  

・技術士としてふさわしいと思う他の業務はありますか。   

 ⇒必ず、準備しておいて下さい。  

・社内の体制とあなたの役割について説明して下さい。   

 ⇒特に、若手技術者が質問されやすい内容と思います。日常業務で主導的立場で業務にあたっていることを意識して回答下さい。    

次回は技術士に資質として不可欠であるコミュニケ-ション能力に対する準備ポイントについてご紹介したいと思います。(以上)

技術士倫理を考える 渋谷温泉施設爆発事故(2007年)

2018年03月25日 作成 / 執筆:【ニュース担当】eastwest665講師 / 閲覧数(月間): 23

施設の設計には、様々な危険性を検討してその対策を行わなければなりません。

特に爆発性のガスが噴出と同時に発生する温泉施設では、対策を怠るととんでもない事故につながってしまうという事例を紹介いたします。

 

2007年に開業した渋谷区の温泉施設において、温泉が湧き出ると同時に出てしまうメタンガスが施設内に溜まってしまい、あるタイミングで引火し爆発し死傷者が出てしまったという事故がありました。

爆発の規模はすさまじく、建物の壁が全て吹き飛ばされ、骨組みだけになってしまうというほどの威力でした。

 

この爆発事故の原因が、メタンガス除去装置が結露によりガスが抜けなくなってしまったというものでした。そのためガスが施設内に溜まってしまい爆発を引き起こしたというものでした。

問題は、その可能性を施設設計時に知っていながら、保守の必要性を伝えなかった施設設計者に最高裁で有罪判決が出たという事です。

 

技術士を目指す方々の中にも、設計業務を行っている人が多いと思いますが、自分の業務が原因で死亡事故が起きてしまうと逮捕される可能性があるということを十分に認識した方がよいということです。

設計業務は常にコストを抑え、利益を出さなければならないという経営側の要求と、安全安心高品質のものを作らなければならないという、相反する要求に対してどちらにもよく映るような答えを出さなければならないという状況がよく出てきます。

つい、利益を出す経営側の顔色をうかがって、安全を度外視してしまうことがありますが、これが大問題になってしまうということが、約10年前という最近でも起こってしまっていると言えます。

いくら技術が進んでも、安全と利益を比較すれば安全を取らなければならないという当たり前のことがなかなかできないと言えます。

 

この事故が発生した後も、ガス除去装置の運用をめぐって、施設設計、施工を行った会社と施設管理会社と施設のオーナー会社との間で責任のなすりつけ合いがあったということもあり、事故の心象を悪くしています。

結局この事故が原因で、施設のオーナー企業は温泉施設運営事業から撤退しています。

「結論先行、はい、いいえ、何故ならをテンポ良く」

2025年08月09日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 23

「結論先行、はい、いいえ、なぜならをテンポ良く!」

 皆さん、記述試験から時間が経過し、クールダウンや家族サービスはできましたでしょうか。と言いながらも口頭試験の時期は少しづつ近づいてきます。今回は口頭試験準備の進め方についてご紹介します。 

1. 口頭試験概要(何を聞かれるか)

 おそらく口頭試験についてはこれまでの過去問題の諸情報等から、その概要は皆さん良くご存じとは思いますが改めて、以下のようなことを試問されます。

・「あなたの業務経歴を教えてください」 

・「経歴票に書いた内容を、簡潔に説明して下さい。」

・「選択した業務の目的、あなたの立場、どんな課題をどのように解決したかを簡潔に説明して下さい。」

 ・「あなたの専門分野で最近の技術的動向や先進事例を知っていますか?、それに対する自身の見識があれば、教えて下さい。」

・「最近の社会的課題(国土強靭化、カーボンニュートラル、DX、BCPなど)に対して、自分の業務にどのように反映して行くべきあなたの考えをお聞かせ下さい。

 2. 経歴票・業務経歴の深掘り

口頭試験については願書で記述したに関することがそのほとんどであると思います。このため、記述内容について以下のような点を予め整理し、深掘りしておくことが重要です。  

・経歴票に書かれていることは全て試問される前提で、細かなところまで整理する。  

・採用した工法等の技術的根拠、採用した判断理由、成果やその結果と評価を論理的かつ、わかり易く説明できるよう準備する。

 ・「なぜその方法を有利と判断したのか?」他の案との比較検討の内容とその根拠については問われやすいので、選択案がベスト案であったことを多面的に論拠付ける。

 ・課題解決に対する独自の工夫点(一般論ではない考え方、検討手法、試行的実証等)  とその成果について、現時点での反省を含め整理する。

3. 課題解決能力

 特に最近は、技術士コンピテンシ-の重要要素である「課題解決能力」については、次のような点について試問される可能性が高いので、事前に十分に準備して下さい。

 ・「業務課題とその解決方法をわかり易く説明してください」

・「課題→原因→解決策→結果と評価のプロセスを具体的に説明して下さい」

・「あなたが実施した業務の技術的工夫点は何ですか、何故そこに着目したのですか」

・その工夫がなぜ必要だったのか、どういう検討、分析、評価から、それがベストの選択だったのですか?」

 4.技術者倫理とコンプライアンス意識

 技術士は専門分野の技術的視点と並行して、技術者倫理及びコンプライアンスに対する認識が必須とされます。この部分について、以下のような仮想定試問が想定されますので、自分はどうすべきかを自分の意見として、明確にしておいて下さい。 

・「もし上司の指示が、法令に反していたらどうしますか?」

・「法令遵守、倫理、公益を重視した対応とは具体的には、どんなことですか?」

 ・「内部通報制度や相談窓口の活用などは、なぜ、必要だと思いますか?」

・「安全を犠牲にして、納期を厳守せよと言われたら?あなたはどうしますか?」

・「技術者として責任を持ち、必要であるならば作業の中止等を顧客や関係者へ提言することができますか?」

 5.コミュニケーション能力と説明力

 口頭試験では試験官とコミュニケ-ションが取れるかどうかが重要なポイントとなります。すなわち、試験官と適切な会話のキャッチボールができるかがどうかが極めて重要です。また、専門的なことをより分かりやすく伝える能力も必要とされます。このため、以下のポイントを重点に、自信の説明力を意識して下さい。

・視線は試験官の口元あたりに焦点を合わせる。(目を合わせることは、緊張度が さらに高まるで、できる限り平常心を維持できるように口元あたりに視線を向けるのが良いでしょう。) ・発声、発話は、張りがある声で、はっきりとした口調で話す。

・設問に対しては、結論を先行する。はい、いいえを伝えたうえで、何故ならの理由と捕捉説明を行う。試験官は、その方が解答内容を明確に理解しやすい。

・重要なポイントは「聞かれたことだけ答える。」必要な場合以外を除き、良かれと思い関連情報等を付け加えることはあえてしない。

・試験官は試問用チェックリストを事前に準備している。口頭試験の時間は20~25分程度、この試問項目に確実にチェックが入るように、短時間で簡潔に返答・説明し次の設問へ移行できるようにできるだけ短時間で説明を終了する。準備されたチェックリスト全てに、チェックが入るようテンポの良い回答を行う。

 ・解答末尾はその内容の結論部分であるので、よりはっきりとしたトーンで伝える。

 ・試験官とはあえて技術的議論はしない。挑発的な設問も可能性として予想されるので、これに誘導されず、議論はさらりと避け、一般論で前向きかつ積極的な姿勢を示す。 6.口頭試験の準備

とにかく、口頭試験は自身の専門分野における過去の口頭試験例題(日本技術士会や受験支援団体の公開資料)を収集することが重要です。そのなかで自分が答えやすいこと、さらに技術的根拠等を補強すべき事項等を整理することがこの時期大切です。 とにかくコミュニケ-ションスキルを重視し、1問1問、丁寧に回答すべき内容を、整理、作り上げて行きましょう。次回は口頭試験準備に必要なQ&Aの作成についてご紹介したいと思います。(以上)

技術士の基本を押さえる③ どんな業務が実務経験になるの?

2017年02月24日 作成 / 執筆:【ニュース担当】eastwest665講師 / 閲覧数(月間): 22

技術士2次試験を受験するには、所定の期間の実務経験が必要になります。

実務経験は、「科学技術に関する実務経験」としか記載がなく、どういったものが実務経験にあたるのかがとても曖昧です。

今回は、技術士受験資格の実務経験に関する例について解説します。

 

そもそも実務経験って?

技術士の実務経験ってどのようなものなのでしょうか?

技術士法の中では「科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務」とあります。

漠然としすぎていてどのようなものかが思い浮かばないかと思いますが、例としては以下のようなものが挙げられます。

 

・新製品の開発、設計、検査

・道路建設の計画、検討、設計

・建物を建設する際の受変電設備建設の計画、設計、運用後の評価

 

科学技術に関する新たな挑戦を行った時に技術士の実務経験になるのではないでしょうか?

通常であれば、困難で導入不能となるような事案でも、工夫を重ねてうまく製品化や工事であれば竣工したというような事例を実務経験の中で入れなければなりません。

設計や計画といっても、誰でもできるようなルーチンで流せる業務(決まりきった設計業務など)は、実務経験としては不適当であると思われます。

 

日々の業務の細かい点に注目

技術士を目指す方の中には、こんなことは、自分の業界にいる人であれば誰でも気が付くと思っていて、小さな工夫を見逃している可能性もあります。

技術に関する創意工夫はとても小さなことが大きな効果を発揮したりすることがあります。

そうしたものを見逃さず、実務経験としてうまくプレゼンができれば、十分実務経験になると言えます。

 

技術士二次試験の最初の難関でもある実務経験は、日ごろの業務をよく観察することで乗り切ることができます。

技術士倫理網領④有能性の重視

2017年03月25日 作成 / 執筆:【ニュース担当】eastwest665講師 / 閲覧数(月間): 21

技術士倫理網領について解説を行っていますが、3項には前回からガラッと趣旨が変わります。技術士にとって必要なものは誠実さであるということを述べております。

 

条文:技術士は、自分の力量が及ぶ範囲の業務を行い、確信のない業務には携わらない。

 

有能性の重視という項目を技術士倫理網領でうたっております。

これは、技術士としての専門分野を明記し、自分の専門外の分野への開発にはかかわらないということを明記された条文となります。

技術士と名乗って技術開発を行う場合は、必ず専門分野を明記し、専門分野以外の専門的な業務にあたることを禁止しております。

技術士は専門的な資格です。これは、技術部門の専門知識がない人は技術士として説明をしたことを専門家が言った内容と受け取ります。

その場合、嘘や詐欺的な内容の説明があっても、素人ではその是非を判断することが難しく、気づかれずに内容が受け入れられてしまうことがあります。

エネルギー分野への投資案件への投資勧誘などで、専門知識を持った人がもっともらしく説明するとその内容が正しいことのように思えてしまいます。

しかし、その内容は詐欺的なものであったとしても、実際に刑事告発されなければ専門知識のない人に気づくことが難しいというような例がそれを示しています。

 

技術士はその専門性の高さから、簡単に素人を騙すことができてしまいます。

また、受注が欲しいからと言って自分の専門外の分野の案件にも手を出すような行為は技術士倫理網領に反する内容と言えます。

 

部門違いは命取り

2019年01月01日 作成 / 執筆:技術サムライ講師 / 閲覧数(月間): 20

一次試験は、どの部門で受けてもかまいません。合格した部門と、二次試験の受験科目を一致させる必要はないからです。

 

たとえば、一次試験を水産部門で受験・合格して、二次試験を環境部門で狙うことができます。

大学で水産学を修めた人が、環境コンサル会社に勤めた場合に、この手段は有効です。

 

一方、二次試験で、畑違いの部門を選択すると命取りになってしまいます。

なぜなら、口頭試験で、試験官に、「あなたの業務は、この部門ではないですよねぇ」と言われてしまいます。

質疑応答の土俵にも上げてもらえません。

 

つぎのような話があります。

 

彼は、生物多様性に配慮した水路を設計・施工しました。

その結果、貴重なカエル類の保全に寄与しました。それを全面にアピールして、ある年に、環境部門の技術士になりました。

口頭試験では、試験官に、その技術力をたいへん評価されました。

 

彼は、同じ業務を題材に、建設部門を受験しました。

環境に配慮した技術力を、建設環境の領域でも評価してもらえると考えたからです。

口頭試験では、試験官に、「あなたは多くの税金を使ってカエルを助けたのですね」と呆れられて不合格になりました。

 

このように、同じ業務でも、部門によって評価のされ方が異なることがあります。

 

初受験の方は、口頭試験で「部門違い」の大ヤケドしないために、十分に検討してください。

できれば、技術士になられている先輩か、受験対策会社でアドバイスを受けるようにするとよいでしょう。

 

すでに、技術士になっていて、2部門目を狙う場合は、1部門目とは異なる業務で勝負するのが得策です。

同じ業務で受験する場合には、受験する部門に合った業務を、実際にできたかどうかをチェックして、書き方を工夫するとよいでしょう。

総監部門は他の技術士部門とは別物

2019年01月03日 作成 / 執筆:技術サムライ講師 / 閲覧数(月間): 20

総合技術監理部門は、他の技術士部門とはまったく別物です。総合技術監理では、目標を成し遂げる際の「リスク」を抽出し、「5つの管理技術」によって、そのリスクを低減させます。

 

5つの管理技術とは、経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理です。

 

これらの各管理技術は、その一つを手厚くやれば、他の管理がおろそかになってしまうトレードオフ関係にあります。

ですから、そのバランスをうまく取るのが、総監技術士の腕の見せ所になります。

 

極端に言えば、総監の試験と相性がよい資格は、その技術部門の技術士試験ではありません。

具体的に言えば、技術士(総合技術監理部門―建設部門)と相性がよい資格は、技術士(建設部門)ではありません。

 

総監の試験に相性が良い資格は、国家資格では、公認会計士、社会保険労務士、弁理士試験、中小企業診断士といった士業の資格です。

また、情報セキュリティマネジメント試験などです。

 

なぜなら、経済性管理の領域には、原価管理が含まれます。

このなかには、「原価計算と標準原価」や「財務会計と財務諸表」などがあります。これらは、公認会計士が得意とする内容です。

 

人的資源管理の領域には、労働関係法が含まれます。労働基準法や労働契約法、労働組合法といった法規は、社会保険労務士の土俵です。

また、安全管理の領域には、安全衛生管理法が含まれます。これも、社労士の守備範囲です。

 

情報管理の領域には、知的財産権やIT技術の知識が必要です。

これら内容は、弁理士や情報セキュリティマネジメントの試験範囲に含まれます。

 

とりわけ、中小企業診断士の試験内容と、総合技術監理部門の試験内容では、重複箇所が多いです。


言い換えれば、それだけ、総監と、他の技術部門とは別物だ、ということを強く認識して勉強することが大切です。

「努力は必ず報われる」

2025年09月20日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 20

「努力は必ず、報われる。」  

 筆記試験が終了し約2ケ月となりました。皆さんは試験の手ごたえや自身の感情など、整理はできましたでしょうか?11月上旬には筆記試験の合否発表となります。待ち遠しくもあり、不安でもありの心境でしょうか。 以前にも本コラムでお伝えしましたが、筆記試験合否発表後はあっという間に口頭試験本番がやってきます。口頭試験までに準備すべきことは非常に広範にわたり、受験者の皆さんは、時間がいくらあっても足りないことを、実感することになると思います。  今回は、私の口頭試験を指導した一人で、幾度の不合格を経て、ついに念願の合格を勝ち得た受験者の苦悩と努力についてご紹介します。

 1. 苦節〇年  

 彼は50代前半、建設部門(土質及び基礎)を受験、本人の意に反し、残念ながら不合格を繰り返してきました。毎年の試験準備では、骨子法(3分割法)や箇条書による記述方法など、いろいろ試してみてはみたものの、思うような結果を出すことができないでいました。  彼の試験勉強に対する取り組みは、極めて真摯であり、「何故、これまで良い結果が出せなかったのか?」と不思議に思うぐらいでした。結局のところあれやこれや試験に関する情報収集が過多となり、自分に合った納得する手法の採用に悩むことが多く、長いトンネルから、抜け出ることができなかったのだと思います。

 2. 継続した人一倍の努力  

 彼は周囲の人には公言していませんでしたが、人一倍の努力を継続してきました。試験に備え、試験学習のための部屋を一時的に期間限定で借りたり、数多くの教材や関連情報を収集、自身の学習スタイルに取り入れてきました。それ故、筆記試験通過後は何がなんでも、彼を合格させてあげたい一心で、私は彼を支援しました。 最初はあまり上手く回答できなかったものの、彼は模擬口頭試験問答をくり返し行い、応答にも徐々に慣れていきました。

 3. 誰でも不安な口頭試験

 50代でもあり、仕事や人生経験も豊富な彼です。とは言え、技術士口頭試験は初めての体験です。受験者は誰でもそれなりのプレッシャ-を感じるものであり、いろんな試問を想定すればするほど、心配や不安がより膨らみ、準備不足、知識不足等を感じてしまうものと考えます。  職場内で彼と顔を合わせる度に継続努力の自信の一方で、対岸にある不安とが混在する複雑な重圧と向き合っている状況を私は、強く感じていました。しかし、第三者は声援を送りことはできますが、これを乗り越えることができるのは、本人以外にありません。彼の成果を祈るばかりでした。

4. 最終仕上げ  

 いよいよ口頭試験日の直前、本人から再度、模擬試験の申し出がありました。「最後にお願いしたい。」少し、オーバ-な表現ですが「最終仕上げ」。これまでの準備成果を自分なりに確認しておきたかったのだと思います。私は二つ返事で了承し、「最終仕上げ」に付き合いました。彼には、これまで努力したものを自信の糧とすれば、必ず合格できる 旨を伝え激励しました。

 5.努力は必ず報われる

  口頭試験終了後、ただちに電話連絡をもらいました。スマホの向こうに彼のほっとした笑顔が思い浮かぶ声でした。のちに口頭試験再現問答を見せてもらいましたが、ほぼ、合格できる内容と確信し、発表の日を待ちました。  翌年春、苦節〇年、ついに桜が咲きました。彼のひたむきな努力があればこその達成は、自分のこと以上に喜びがこみあげてきました。遠回りはしましたが、「努力は必ず報われる」ことを、身をもって示してくれました。  彼は技術士資格取得後、従来以上に提案型業務(プロポーザル、総合評価)の提案書の執筆機会が増加しています。業務受注件数の増加など、その貢献度は目覚しく、社内の頼もしい地質技術者として活躍しています。私は、陰ながらその支援をできた一人として、この上ない喜びを感じています。彼から「最後にお願いしたい。」と言われた場面の「瞳輝くまなざし」と苦難に立ち向かう彼の心意気を、私は今後も決して忘れることはないと思います。

 次回からは、私がこれまで体験した技術士5分野の口頭試験体験記について、記憶をたどりながら、その時の心境、反省点等、驚きの質問など今後、準備すべき要点について、ご紹介したいと思います。受験者皆さまの口頭試験の取り組み準備に向け、少しでも自信に繋がればと考え、記述していきたいと思います。(以上)

技術士の部門紹介:航空・宇宙部門

2018年07月27日 作成 / 執筆:【ニュース担当】eastwest665講師 / 閲覧数(月間): 19

技術士の航空・宇宙部門は、航空機の設計や空港の管制システムなど航空に関する機器やシステムの設計や、宇宙ステーションなどの開発やロケットなどに関する分野の技術士となります。

 

技術士 航空・宇宙部門の概要

航空機の設計や、空港の管制塔や航空機を着陸させるための無線機器などをシステム的に設計する場合に該当する技術部門です。宇宙関連では、人口衛星システムや宇宙ステーションなどの設計が該当します。

 

技術士 航空・宇宙部門取得後の活躍

航空機メーカや空港システムを設計する会社、宇宙開発を行う会社などで設計や技術コンサルなどの業務に当たることができます。

航空・宇宙部門のJAXAなどの公共機関や、大手メーカなどが該当します。航空機については、国産型の航空機なども製造を行っているようなメーカもあり、将来的には需要もあるとも考えられます。宇宙に関しても、民間の衛星による運用や、民間宇宙開発なども近年多くなってきており、今後の成長に期待ができる分野です。

 

技術士 航空・宇宙部門の問題点

航空・宇宙分野においては、大型プロジェクトを担当することが多く、公共事業として技術士の人数など技術コンサル分野においての受注条件となっている場合が多いです。

しかし、宇宙事業などは専門性が高く、工学博士などを取得しなければならないような場合もあります。航空分野においても、空港に関する設計についても無線技術士などの他の資格で管制システムの設計を行う専門性を求められることもあります。

また、空港などの大きな建設工事であれば、土木工事なども大きな割合を占めるため、技術士建設部門の範囲も大きな内容となります。

 

将来性のある分野ではあると感じるのですが、その専門性が限定されてしまっているため、毎年の二次試験の受験者数は100人以下というのが現状です。

近年、こうした高い専門性を有しながら、受験者数が少ない部門の統廃合が積極的に議論されています。

技術士取得後に定期会議などを開催する技術士会の部会も前回紹介した船舶・海洋部門との合同部会となっており、技術士数の少なさが課題となっております。

Ⅲ.建設環境 転職への準備

2025年10月11日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 19

「Ⅲ.建設環境 転職への準備」

  私は総合監理部門の技術士を取得後、転職を決意しました。従前より、自分に力と自信をつけることができれば、是非、別の世界を見てみたいと考え、希望退職制度を活用、退職しました。退職してすぐ、転職先が見つかるかどうか不安もあり、再就職に時間を要することも想定し、この機会にできる自己武装として、建設環境分野の受験を目指すことにしました。実際には退職後、技術士取得のお陰もあり、約1ケ月のブランクで再就職することができました。  今回は、私が実践した建設環境分野の準備方法と口頭試験の準備ポイントについてご紹介したいと思います。

 1. 過去問題の分析

  まず過去問題の傾向を整理しました。どのような過去問題が出題されているのか、それに対し、自身のキャリアとしてどのような分野が該当し、解答文を書けそうなものは何かについて、ジャンル分けしました。 施工計画取得後、他の建設分野の過去問題(土質・基礎、道路、コンクリ-ト、河川等、自分が興味がありそうな分野)については、過去問題記述例の要点を、ノートに書き出すなどしていましたので、想定問題のリスト作成には、あまり苦労はなかったと思います。

2. 準備答案の作成

 書き出したリストに基づき、専門課題の準備答案を約20題程度作成、自己添削後、ふるい分けを行い、約12題程度の準備答案を準備しました。前年度、私の大学の後輩から建設環境分野(魚類、鳥類が専門)の受験指導依頼を受け、指導をしていましたので、その指導から得た経験を、私自身の準備につなげることができたと考えております

3.それでも不安な口頭試問  

 午後からの筆記試験が始まり、専門課題、一般課題の設問を見て、瞬時に「この試験、合格できる!」と確信しました。別に課題に山を張ったわけではなく、準備、想定した問題を見て、準備した想定解答文に基づき、書き続ければ良いと思え、準備成果の証であったかもしれません。お陰様で無事筆記試験を通過できました。転職したばかりの職場(総合コンサルタント)において、新たな信頼を得るきっかけになりました。  

4.口頭試験準備  

  建設環境は環境関連法に関する知識が必要とされます。転職前に独学ではありましたがISO14001(環境マネジメントシステム)の勉強もしておりましたので、総合監理部門の受験と同様にその知識を、この分野の学習に非常に役立てることができました。 さらに、業務経験として市街地での工事や環境関連工事等に従事しておりましたので、環境リスクや生活環境への影響及び評価、これに対する配慮対策に関しては、私にとって通常業務の一貫であったものを、改めで再認識できる良い機会でありました。このため口頭試験については、いろんなことを再整理し、必要な新たな事項について、更新して行く準備方法が主体となりました。  

5.わずかな慣れ、口頭試験  

  口頭試験会場はいつもの渋谷会場でした。面接試験も3度目になるとある程度の慣れは出てくるものの、そう楽観できる状況では決してありません。 控室の異様な静寂感は、あい変わらずで、誰一人言葉を発する人はいません。今では、口頭試験で質問されたこともよく覚えていませんが、二人とも温和な感じの試験官(行政の方、大学の先生?みたいな印象)でした。 技術士試験は、何回目の受験か?と質問されたので、建設部門と総合監理部門を取得していることの事実を伝えました。その後の質問は、淡々と事前に用意された項目を確認されるような内容であり、口頭試問に対する慣れも功を奏したと思います。お蔭様で無事、合格することができました。

 6.建設環境の口頭試験準備ポイント  

  建設環境分野の口頭試験では業務経歴とその関連性や専門性、応用能力について必ずチェックされますので、入念に事前準備して下さい。特に、日常業務としてこれら専門技術の内容、課題への対処、リスク対策等を自分の考えや、あるべき方法を整理しておくことをお勧めします。以下にその準備ポイントを整理します。

(1)建設環境分野で必要とされる専門技術  

 1)環境影響評価(EIA)   

  ・環境アセスメントの法的知識、手順、実務経験  

 2)自然環境保全

  ・生態系保全、生物多様性、緑地保全、水域保全など  

 3)廃棄物処理

  ・リサイクル技術

  ・建設副産物の適切な管理方法やリサイクル技術 

 4)土壌・水質

  ・大気の保全技術

  ・各種環境基準に基づいた対策やモニタリング手法

  5)騒音・振動・悪臭対策

  ・環境基準・条例への対応策の立案・実施

  6)気候変動対策

  ・脱炭素、温室効果ガス削減、LCA(ライフサイクルアセスメント) これについては地球的な命題でもあり、技術者としてどうあるべき か、自信は何ができるかなど、し  っかりとした技術者としての見識を示せるよう準備して下さい。 

(2)法規・制度に関する知識

  ・環境基本法、公害防止関係法令(大気汚染防止法、水質汚濁防止法など)

 ・建設リサイクル法、自然環境保全法、環境影響評価法など  

  環境関連法等については法改定が頻繁にあり、専門とする分野における最新の情報を入手、どこが改定されたのかをその概要を確認しておくことが重要で す。また、 次回 は、建設部門、河川・砂防分野に対する取り組みと口頭試験対策についてご紹介したいと思います。(以上)

Ⅱ 総合監理 約に立ったISO

2025年10月04日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 18

「Ⅱ 総合監理、役に立ったISO」  

 私の記憶では平成13年度から、新しい技術部門として「総合技術監理部門」が創設されたと思います。今回は「総合技術監理部門」の私の受験体験及び口頭試験の準備ポイントについて、ご紹介したいと思います。

 1.唯一のテキスト:青本

 科学技術が複雑化する現代社会において、1つの専門技術だけに限られた技術力だけでは直面する諸課題を解決することは困難です。一方、プロジェクト遂行に際しては課題解決を行うに際して様々な問題、事故、環境負荷等のリスク発生が想定されます。これらへの対応は、個別の専門技術的に対する業務管理だけではなく、安全かつ公正、的確にプロジェクトを遂行する総合的なマネジメントが求められています。このため技術士の新たな分野として「総合技術監理部門」が創設されたと私は、認識しております。 私は建設部門合格後、独自に環境マネジメントシステム(ISO関係)の審査員の勉強を進めていたこともあり、受験を試みました。初年度の試験でしたので情報は少なく、参考テキストは唯一、当時良く言われた「青本」でした。一見して日常的に馴染みにくい項目が多かったように思います。

 2.私の学習方法

 どんな問題が出題されるのかは、受験者は誰もが不安であったと思います。但し、受験者の多数はすでに技術士を取得した方々が受験する試験です。試験問題の内容や難易性に関し、ネット上では楽観視する意見も、少なからずありました。  私は自慢にはなりませんが、「合格まで、苦節10年選手」ですので、とても楽観的な受験など考えられませんでした。青本の管理項目の内容を何回も読み、とにかく関連情報を調べました。受験に際し、総合技術監理部門に対する私なりの捉え方を以下のように整理してみました。  

・監理、すなわちマネジメントに特化した部門であること。  

・業務遂行において日常的管理項目(人、物、金、安全、環境、リスク倫理等)をいかに適切かつ適正にバランス化すること。  

・各監理項目間の折り合いを調整し、総合的に最大限の効果を発揮すること。  

・そのためISO等のマネジメントシステムの活用やその考え方が重要であること。

・業務遂行に対して技術者は公正、誠実な倫理感に立脚すること。 

3.施工管理や安全管理を例にイメ-ジ  

 過去問題の前例がないので、複雑で輻輳する制約条件をいかに解決していくかを構想し、自身で課題想定した解答文を幾つか作成しました。私は専門分野が施工計画でしたので、これまで経験した施工管理面での課題と対策が事前の準備としてはイメ-ジがしやすく、総合技術監理で求められる項目を自分自身の過去の経験と照らし合わせ、以下のような内容構成の事前解答文を準備しました。

 1) 安全管理 :厳寒積雪気象下の道路規制に伴う凍結路面等交通事故、労働災害リスク対策

 2) 人的資源、情報管理 :複数工程間の夜間工事工程調整、人材配置、関連工種間の情報共有化対策

3) 品質管理、原価管理 :厳寒気象下、寒中コンクリ-トの養生温度管理の品質管理とコスト管理対策

 4) 沿道対策及び環境管理 :市街地工事における住民コンセンサス獲得のための沿道及び生活環境対策

 4.役にたったISOの知識  

 私は施工計画分野を取得後、当時IS0について個人的に勉強していました。そのこともあり総合監理部門は全てではありませんが「プロジェクトマネジメントシステム」の視点で、考えてみるとわかり易いことに気づきました。  通常業務を行うに際しては、必ずやリスクは存在します。そのリスクを事前に把握、抽出、評価、対策立案、実施移行、FB(フィ-ドバック)するPDCAによるスパイラルアップのマネジメントスタイルが必要であることを、自分自身の総合技術監理部門の理解や考え方において、役立てることができました。

5.口頭試験と転職の決意

 口頭試験会場には予定時間より前より、早く着きました。会場から口頭試験終了後の受験者が会場から出てこられましたが、その表情からは、皆さん、あまり晴れやかさを感じることはできませんでした。  記憶は薄れていますが、「何故、総監は必要か?」、「リスクをどのように評価しているか?」、「その対策事例は?」など、口頭試験は概ね事前に予想したQ&Aの通りであり、以外に淡々と進行し、難問や回答に苦慮することはなかったと思います。  お蔭様で、2つ目の技術士合格を手に入れることができました。当時私は43歳でしたが、思い切って当時の会社の退職を決意、その後、新たな世界へ挑むことになりました。

 6.総合監理部門の口頭試験準備ポイント

 総合監理部門の口頭試験の準備ポイントを私なりに以下に整理します。受験者諸氏にお役に立てば幸いです。

 1)業務経歴・経験論文

・業務内容:業務の背景 → 自分の役割 → 問題点 → 解決策 → 成果の流れで簡潔説明

・苦心点、工夫点:技術的課題+マネジメント面の課題の両方から説明と、工夫した点

・技術力、判断力:自身が経験した困難な事案業務の技術力、判断力の発揮事例

 ・総監5項目:総合技術監理の視点(安全・品質・コスト・工程・情報)の説明

 2)マネジメント能力

・若手指導:実践しているOJT、技術伝承、教育計画の立案、方針や方法の具体例 ・リーダ-シップ:自身が考えるリーダ-像、チームマネジメントの具体例

3)最近の技術動向

・注目される新技術分野:ICT活用、カーボンニュートラル、BIM/CIM、AIの活用など時事トピックや先進事例

・環境課題等:SDGsや環境配慮、社会的責任・持続可能性の視点に基づき、今後取り組むべき事項に対する自分の意見

4)コミュニケ-ション力

・説明:相手にわかり易く、簡潔な説明と柔軟な対応力

・合意形成:利害関係者との合意形成の方法、留意点及び事例

・工夫:コミュニケ-ション上の工夫点

5)技術士倫理

・不正:不正を発見した場合を想定し、技術者倫理

・社会的責任・内部通報体制・報告義務などを含めた説明

・コンプライアンス:対応すべき留意点、手順(発見、対応、証拠、報告、管理体制)と措置

・技術士倫理要綱:自分の言葉で内容を概説できること。  

 次回は、私の「建設環境」分野の口頭試験体験記とその受験ポイントについてご紹介したいと思います。(以上)

「願書を補強できた合格者」

2025年08月30日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 17

「願書を補強できた合格者」 

 今回は、建設部門/施工計画分野で筆記試験を通過、私へ模擬口頭試験の依頼があった当時30代後半の方の、口頭試験の準備対応において願書の経験業務内容を補強できた例をご紹介したいと思います。

 1. 業務内容

この受験者については、事前に願書及び経験業務の記述については相談されてはいなかったので、願書及び経験業務を見た正直な印象は、「さて、困ったなあ?」でした。理由は、前回コラムでもご紹介しましたが、「技術士としてふさわしい業務内容であるか?」と言うことに対する懸念でした。このままでは無事合格を獲得することへの困難性を感じたからです。 しかし、現時点で願書及び経験業務を修正することはできないので、とにかく「補強対応」をいかに準備するかについて考えました。 ちなみに経歴業務の内容は、河川堤防構築用の土砂運搬に対して、現行高水敷に運搬路を設け、運搬路には「敷鉄板」を敷設する施工計画を立案したものでした。

2. 技術課題の再抽出    

まずは本人と直接はヒアリングを行い、口頭試問に向けた補強の必要性を認識してもらいました。彼は事前に他の人に願書の添削等は受けておらず、記述すべき内容の不足感は否めない状況でした。業務内容について、何が問題でどんな技術課題が存在していたのか?あるいは本人として強い意識はないが、重要な着眼点や項目が埋もれてれはないか等を掘り起こし、記載業務の各検討プロセスを細分化整理し、問題点と課題を以下のように再度、整理しました。

 1) 問題点

堤防構築のための大量の土砂運搬は既存公共道路を利用せざるを得なく、大量台数の大型ダンプ走行に伴う安全走行確保、交通渋滞の発生、騒音、振動、粉塵等生活環境面に対する地域住民からの苦情等の発生懸念が、事業円滑遂行上の問題点でした。

 2) 技術的課題

上記問題点に対し、以下の技術的課題を解決する必要がありました。

・立地条件的に既存河川の高水敷を工事用道路とした場合、既存公共道路を利用する区間が制限され、沿道対策や環境側面的苦情は抑制、軽減できる。但し、運搬コストと施工が効率的で有利な土砂運搬ルートを計画、立案する必要があること。 

・高水敷は軟弱地盤層の区間が存在し、工事用道路として利用するに対し地盤補強や地盤改良等対策が必要であること。

・高水敷に現存する既設河川堤防に接続する水路、樋門、支線河川合流点における構造物等による通行遮断箇所への通行確保対策を立案すること。 

・高水敷通行に伴うトラフィカビリチィ確保のための養生用敷鉄板リース材料に対する地域市場調査と大量確保のための事前準備、工事進捗に即した敷鉄板流用及び転用について、綿密な工程計画を立案すること。

3. ワンツ-マンによる補強  

上記について再度ローリングを行い、どのようなことを具体に調査、分析し、その結果をどのような手法で評価し、その一連作業で独自の視点や工夫した点について改めて掘り下げて考え、Q&Aに落とし込むこむことをアドバイスしました。 その上で、ワンツ-マンによりQ&A表作成及びその添削指導を合わせて行い、願書の言及不足を補う準備対策を行いました。 

4. 数回の模擬口頭試験  

模擬口頭試験は前述した理由等もあり、彼については数回、厳しめの模擬口頭試験を行い、口頭試問に慣れることにより、補強対策を準備できたことに対し、本人の自信につなげてもらうことにしました。

5.挽回達成  

 口頭試験後、彼からすぐ電話連絡があり、「心配していたような突っ込み」「いじわるな質問」はなく無事完了しましたとの報告でした。正直なところ、安堵の気持ちでいっぱいでした。翌年、結果発表があり、彼は念願であった「技術士」になることができました。  彼の合格は、口頭試験に向け願書内容の準備対策による補強であったと確信しています。体験記述の内容、筆記試験の出来栄え、不安要素が仮にあったとした場合、事前に補強対策を行えば、すでに筆記試験は通過しているので、自信をもって口頭試問に臨むことができると思います。どうぞ、そのような不安のある方は今から万全な準備を行いましょう。 次回は、「完璧な回答すぎで、心配な受験者」の例をご紹介したいと思います。(以上)

技術士倫理網領②公衆の利益の優先

2017年03月21日 作成 / 執筆:【ニュース担当】eastwest665講師 / 閲覧数(月間): 16

技術士と普通の技術者との違いは、その技術に関する倫理観があるかないかと言っても過言ではありません。

今回は、技術士倫理網領の第一項「公衆の利益の優先」についてです。

 

技術士倫理網領の第一項に「公衆の利益の優先」とあります。

条文:技術士は、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮する。

 

技術士は企業や地方自治体に所属する場合がほとんどです。

技術開発に従事する技術士は、時に企業や依頼者の利益を最優先した開発を行ってしまいがちです。

代表的な例としてはフロンガスなどが挙げられます。

フロンガスは化学反応が起こりにくい安定した理想の物質として冷凍機の冷媒やスプレー缶の内容物を安定させるために幅広く使用されてきました。

しかし、それは大気に放出されるとオゾン層の破壊につながり、地球に降り注ぐ紫外線量が増えるといった地球規模の環境問題を引き起こしてしまうことになってしまいました。

 

企業としてはフロンガスが幅広い用途で使用されたため大きな利益を得ることができましたが、それと引き換えに新しい環境問題を作ることになりました。

 

技術士倫理網領のこの条文では、このような企業の利益ばかりを技術士は追い求めるのではなく、環境や健康面などの部分で安全性が認められるものであるかの検証を行うよう義務付けられています。

安全性は、絶対安全を求めていたのでは、開発、生産コストが増すばかりで現実的ではありません。

安全性の合理的な水準も、技術士が提示するよう網領ではうたわれております。

 

技術士は開発を担当する案件に、企業の利益の追求と、公衆の安全とのつり合いが取れているかどうかを判断する責務があると言えます。

 

 

1800字論文の基本構成

2017年12月02日 作成 / 執筆:技術サムライ講師 / 閲覧数(月間): 16

3枚モノ(1800字論文)の攻略は、大切です。

課題解決能力をいちばん試せるのが、この3枚モノだからです。

 

口頭試験でも、筆記答案について問われることがあります。


3枚モノの基本構成は、つぎの3パターンです。
口頭試験の前にも、7月に書いた筆記答案を見直し、準備しておくと安心できます。

 

パターン1
1.背景
2.課題と問題点
3.対応策
4.期待される効果

 

パターン2
1.背景・課題
2.問題点
3.対応策
4.期待される効果と想定されるリスク

 

パターン3
1.背景・課題
2.問題点・対応策
3.期待される効果
4.想定されるリスクとその低減策

 

各用語の説明を以下にします。

『背景』とは、現状にある困りごとのことです。
現状にある「問題」をあぶりだします。
問題とは、「現状とあるべき姿の差」と定義されています。
式で表すと、「問題=あるべき姿(目標値)-現状」です。

 

『課題』とは、達成すべき目標のことです。
問題と課題はまったく違います。
問題は、必ずネガティブな表現となります。
課題は、必ずポジティブな表現となります。目標なのですから。

 

『問題点』とは、技術的障壁であり、難所であり、それが解決されれば一気に課題解決・目標達成できるボトルネックのことです。
壁にぶちあたったというときの「壁」のことです。
「問題<点>」は、ちいさな「点」です。
「問題<点>」は、「現状とあるべき姿の差」の「問題」とは、まったく違います。
この問題点を、いかに的確に見抜くかが、技術士業務での知性の見せ所です。

 

『対応策』は、問題点を克服するための技術的解決法のことです。
難所を乗り越える方法です。
壁をぶち破る方法です。
対応策は3つ程度提示して、その中から、最適な対応策を選択します。


ここは、論理的思考力があることを見せるところです。
つまり、思いつきで対応策と選択をしたのではないことを示します。
前提条件や制約条件を示し、何に着目して、最適解を導き出したかを表現します。

 

『期待される効果』は、対応策を講じた際に、想定されるプラスの効果のことです。
『リスク』は、対応策を講じた際に、想定されるマイナスの効果のことです。

 

『リスクの低減策」とは、想定されるマイナスの事象に対する対応策のことです。
リスクは、まだ生じていない課題と言えます。

技術士倫理を考える シティコープビルの設計変更(1977年アメリカ)

2018年03月27日 作成 / 執筆:【ニュース担当】eastwest665講師 / 閲覧数(月間): 16

建物の設計となりますので、技術士というよりは建築士のほうで取り上げた方がよいと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、設計変更に至る経緯が非常に参考となったため取り上げさせていただきました。

 

50階建ての高層ビルの建設が決定されていたニューヨークのシティコープビルですが、用地に当たる教会が立ち退きに応じなかったため、低層階に教会の建物を残した特殊な形の高層ビルとなりました。

そのため、建物の耐震強度を検討する構造計算がとても複雑となりましたが、当時の最先端の建築として、世界から注目されることになります。

そんなシティコープビルですが、ある学生が建築上の設計ミスを発見し、設計者に直談判をします。その内容はとても大きなハリケーンによる強風にあおられた場合に、建物が倒壊する恐れがあるというものでした。

シティコープビルの設計を担当した建築士は、再計算を行ったところ、倒壊の恐れがあるということが分かりました。

 

通常であれば、地震や強風などの天災であり、できてしまっている建物の設計ミスを認め、補強工事を行うということは、建築士としてのプライドや費用などから見送られてしまうことも多く、実際に災害が起きて倒壊するというシナリオが多いでしょう。

 

しかし、シティコープビルの設計者は、関係者に設計ミスがあったことを説明し、費用負担を求め、補強工事を行ったところに違いがあります。

このおかげで、シティコープビルは数年ごとにニューヨークに来る嵐にも耐えうる建造物となったのです。

 

通常と形状が異なり、困難な設計となる建築物を設計できるというだけでも一流の設計者ですが、さらに自分の設計ミスを認めて関係者に説明を行い、補強工事を行うという行為は技術者倫理の理想を行くものです。

 

これを実現するためには、まずは学生の直談判による再検討を行う謙虚さが重要です。完璧な設計など存在しないからです。

さらに、設計ミスを専門家以外の人にもわかりやすく説明できる能力なども挙げられます。ミスがあったのだから費用は出せないと言われてしまうことがほとんどではないかと思います。補強工事を行わなかった場合のリスクなども説明しなければ費用を捻出されることはないでしょう。

 

この事例はよく技術者倫理で取り上げられています。

論文を書く、決まりを守る

2019年05月28日 作成 / 執筆:スチールマニア講師 / 閲覧数(月間): 16

採点官も人間ですから、読みやすい文章と読みにくい文章では、どちらに加点しやすいかは明白です。

論文を書く際の決まりについて今一度確認してください。

 

(1)句読点

句読点については、以下の決まりを守ってください。

① 句読点は、(、)(。)もしくは(,)(.)の組み合わせで使う。

② 句点(。)またはピリオド(.)、読点(、)またはコンマ(,)、カギ「」、カッコ( )は1字として1マスを使う。

③ 読点(、)は列挙する際の区切り、中点(・)は一つのグループに属する意味で用いる。

例:「本文、図・表および写真」

④ 句読点は40 字(約1.7 行程度)程度以内にして読みやすくする。

⑤ 句読点は行頭に置かない。

行の頭に句読点がくる場合には、前行の最後のマスの外に付けるか、

最後のマスの文字とともに書き入れる。

 

(2)英数字

英数字についても以下の決まりがあります。

① 英数字については、半角扱いが可能です。

② ICTといった略語については、それぞれ1マスを使う。

③ 桁数の多い数字はマス目にとらわれず書いてよい。

④ 1個の数字は分断しないようにしてください。行末で分断される場合は、行の末尾が1~2 コマ空欄でもよい。

⑤ 単位はSI 単位を使う。

 

(3)カタカナ

カタカナは半角で書かれている人をよく見かけますが、1マス1文字が原則です。

外国語はカタカナで表記してください。

英語の単語を日本語の文章の一部としては使用しません。

また、技術用語は学術用語を使うこと。

機械や材料等の名称は正しい名称(一般名)を使用し、メーカ名や商品名は使わないこと。

例(商品名) (一般名)

(例)ユンボ ➔ 油圧バックホウ

(例)P&H ➔ トラッククレーン

 

(4)箇条書き

箇条書きする場合は、いきなり箇条書きにするのではなくて、

必ず何の箇条書きなのかがわかるように記述してください(わかりやすいタイトルを付ける)。

(例)

1.財源不足に伴う問題点

財源不足に伴う問題点として、以下の3点が挙げられる。

① 高度経済成長期に大量に整備された社会資本が一斉に更新期を迎える。

② 財源不足により、災害対策や渋滞対策などの真に必要な社会資本整備に遅れが出る。

③ 公共工事の単価が下がることにより、品質低下の危険性が考えられる。

「必然だった5分野受験から得たもの」

2025年05月06日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 16

「必然だった技術士5分野の受験から得たもの」

 私は5分野の技術士資格を有していますが、ややもすれば5分野の技術士受験は、「受験マニア視」されがちです。ここではこれまで私が取り組んできました技術士各部門の受験理由は、必然だったことの 経緯やその理由について、紹介したいと思います。

1.苦節10年:建設部門-施工計画分野

 平成元年、技術士第1次試験(技術士補)の合格を期に、技術士を目指すことを決意しました。社会へ出て約10年、「自分がやりたかった仕事は、この仕事だったのかな?」誰しもが、どこかの時点で自問するちょうどその時期でした。自分が社会に通用する力をつける必要性を痛感し、技術士の世界のドアをノックすることにしました。 苦節何年と良く言われますが、私は合格するまで、3回の受験棄権も含め10年かかりました。先輩技術士の熱い指導のおかげで、ようやく「施工計画分野」で合格することができました。指導してくれた先輩達には、今でも感謝の念に絶えることはありません。

2.自己武装の手段:総合技術監理部門

 念願の技術士資格を手中にし、仕事は官庁主体の営業職に移動になりました。技術士になり資格だけでは自己実現できないもどかしや自身の力量不足、混沌とした感情を抱いていた頃、新しい部門として総合技術監理部門が創設されました。新設部門なので事前情報がなく手探り状態でしたが、さらなる自己武装の手段としてトライしました。

3.後輩への指導合格:建設環境分野

 総監部門の取得を期に「建設コンサルタント」へ転職を決意、再就職決定までには時間を要すること想定し、建設環境分野を転職の備えの1つにしようと考えました。前年、同窓1年後輩を建設環境分野でワンツ-マンで指導、受験初回で合格へ導くことができたことは、自分の指導方針は間違っていなかったことを立証でき、大きな自信に繋がりました。

4.提案型業務の資格要件:河川・砂防分野

 建設コンサルタントに転職後、私は「河川構造物分野」のセクションに配属になりました。まさに未踏の分野で、全てがゼロスタ-トの状況で、毎日、刺激的な日々を送ることになりました。同時期、建設コンサルタント契約方式が指名競争入札から、提案力が求められるプロポ―ザル、総合評価業務への転換期でもあり、自分の意思とは無関係に、資格要件として河川・砂防分野の取得が迫られました。この間、同僚・部下・社外の人への添削指導により、これまでに約50数名の合格者を輩出できたことは、私自身の大きな誇りとなっています。

5.至上命令:衛生工学部門

 衛生工学部門を取得していた部下が、独立開業により退社しました。このためこの分野のコンサルタント部門登録が会社としてできなくなりました。会社上層部から部門長であった私へ早急な改善対処が求められ、まさに至上命令として受験宣言せざるを得ない状況になりました。建設環境との関連性がある分野で、退社した彼の添削指導もしていたこともあり、何とかクリアできました。気が付けば56歳のときでした。目標を達成できたかと思えばまた、次の難関が押し迫ってくる。この繰り返しこそが、誰しもがたどる人生の道のりと実感、回想しています。

 6.技術・経験の伝達媒体:日本語教師

 私は65歳にて無事、円満に定年を迎えました。縁があり現在は「砂防分野」を専門とするコンサルタントへ人生3回目の就職。オールドル-キ-として、新たな難関に迫られる毎日を送っています。 一方、私は以前より志向していた外国人の方々に日本語を教える「日本語教師」資格を取得、現在は毎週末、海外の若者達へ「日本語」を指導しています。  これまでの技術士試験への取り組みがなければ、決してこの分野を目指すことはなかったと考えています。常に研鑽すること、努力を継続することに慣れることができたことが、まさにその原動力だとも思います。日本語教師の方々は無論のこと、海外学習者個々の意識の高さに触発され、私自身にとってとても良い刺激となっています。「日本語を学びたい」という強い願望と熱いパッションを痛感しています。 人口減少による人手不足等、生産人口の急減による我が国の国力低下が懸念される情勢下、外国人の方々の活躍支援のため、自身の技術や経験を日本語で伝えることができる技術士になることへ、強い思いをはせている今日、この頃です。             (以上)

「Q&Aの作成」

2025年08月16日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 15

「Q&Aの作成」

 技術士口頭試験の準備では、まず、口頭試問用のQ&Aを作成、整理することが極めて重要です。今回は私の経験を踏まえ、この準備項目についてお知らせしたいと思います。 口頭試験は技術士の資質として技術的知識及びそれ以外の実務経験、倫理観、コミュニケーション能力、課題解決能力などが評価されます。このため以下に示すカテゴリに分けたQ&Aを作成しましょう。想定される設問及びそれに対する回答すべき内容について紹介します。

1. 業務経歴・実務経験

業務経歴、実務経験の確認される目的は、あなたが実際に技術者としてどのような業務を行ってきたか、その中での役割・成果・工夫点を確認するため、次のような設問が予想されます。

 ・Q1:業務経歴票に記載された○○業務について、もう少し詳しく、どのような業務であったか説明してください。

 ⇒A:業務の背景、目的、あなたの役割(技術的な責任がある立場)、実施内容、成果、工夫した点、困難だった点とその対応などを整理しておきましょう。この際、解決が容易ではなかった点も掘り下げておく必要があります。

 ・Q2:その業務で発生した課題と、それに対する対応策はどのように見出しましたか?

⇒A:ここで重要なのは課題に対し調査、分析した結果に基づき、どのようなプロセスや手法により、最適案と判断したかを、明確にする必要があります。その際、必ずしも全てを満足することは困難が伴うなどの制約等が存在し、その点を考慮した上で責任的立場において総合的評価に基づき判断したことを考慮下さい。

Q3:その経験を通じて得た評価、教訓あるいは反省点はありますか?また、今後の業務に活かせる点はどのようなところですか?

 ⇒A:結果として目標とした成果は達成されたが、それを自負するのではなく、現時点でそれをどのように自己評価しているかが重要です。さらに検討を加えるべき事項はなかったのか?解決策実施の際、もう一度PDCAサイクルをまわし、改善を図る事項はなかったか?反省点は?など、今一度、再考してみて下さい。

 2. 技術的知識・応用力

 技術的知識・応用力については、実務に関する技術的な理解・応用力・判断力を確認することが目的であり、以下の設問が想定されます。

 ・Q1:記述した○○技術及びこれに関連した類似技術について知っていることがあれば簡単に説明してください。

 ⇒A:特に、本業務の関連技術、周辺知識、実施例、今後の技術開発の必要性等、自身としての技術的見解、意見として整理して下さい。

 ・Q2:その業務で選定した技術の妥当性は、どのように説明できますか?

 ⇒A:この設問に対する回答は1つではなく、効果、コスト、作業性、品質、今後の維持管理の容易性等、多面的な側面から総合的に妥当であったことを説明することが、より説得力があるものと考えます。

Q3:最近の技術トレンドや課題に関するあなたの意見は?  

 ⇒A:この設問は技術者として有すべき見識、継続学習、周辺知識の習得状況等幅広い知識について確認される内容と思います。すぐ回答が思いつかない場合は、「○○技術については私としてさらに研鑽が必要と考えています。さらに○○の部分や、技術開発の分野については、社会的ニーズでもあり、前向きに取り組んで行きたいと考えています。」のような積極姿勢を強調して下さい。

 3. コンプライアンス・倫理観  この設問はいわゆる「技術士法」の理解とその倫理観を問うものであります。 従いまして、技術士法第45条に基づく職業倫理・社会的責任についての法的文書を丸ごと復唱するのではなく、「どのようなことが問われているのか」を、設問に対し、自分の言葉で言えるように、理解を深めて下さい。

Q1:技術士として求められる倫理とは何だと思いますか? 

⇒A:定義的な文面では「業務遂行にあたり,公衆の安全,健康及び福利を最優先に考慮した上 で,社会,文化及び環境に対する影響を予見し,地球環境の保全等, 次世代に渡る社会の持続性の確保に努め,技術士としての使命,社会的地位及び職責を自覚し,倫理的に行動すること。」となります。   

これに対しては思い切って簡単な表現に変え、次のような簡略化表現で回答することが良いと考えます。

⇒A:「業務の上で国民の安全、健康を最優先に社会や地球環境を守ることを使命と認識し、倫理的に行動すること」  

Q2:もし不適切な設計や仕様の強要があった場合、どう対応しますか?  

⇒A:相手方に事情を説明し、その理解を求めます。万一、理解が得られない場合は上司に相談、会社や組織としての対応を要請します。

 ・Q3:法令遵守が難しい状況に直面した経験があれば教えてください。

⇒A:実際には、ほとんどこのような状況はないものと思います。但し、仮に想定した場合の対応としての模範解答は、「これまでの経験ではありません。仮にそのような場合は、法令を遵守できる方策や手段を提案することが重要と考えます。

 4. 技術士としての意識・今後の抱負   

この設問はあなたが「技術士としてふさわしい人物か」を判断するための確認問題として、以下が予想されます。

Q1:なぜ技術士を目指したのですか?

⇒A:業務関係者へ正確に説得力ある説明する技術能力を身に着けた人材になりたいと思ったからです。

 ・Q2:技術士になった後、どのように社会に貢献したいですか?

 ⇒A:業務上は無論ですが、日ごろの行動や活動を通じて、広く社会へ貢献できればと考えております。

 ・Q3:どのように自己研鑽を続けていきますか?

⇒A:自身の専門分野のほか、これまでの経験できなかった分野についても講習会、学会への参加、専門技術の深化等継続学習に努めて行きたいと思います。

5. 応用・ケーススタディ  

この設問は想定外の状況場面を設定して、これへの対応力・判断力・説明力を確認する内容で、最近はこの手の傾向設問は多く、以下のような内容が聞かれています。

 ・Q1:ある設計案件でコストと安全性の両立が困難な状況ではどのように判断しますか?

⇒A:ポイントとして、どちらかのみを選択し偏重した回答は不適です。どちらも軽視できない重要問題であり、双方ともの両立に向け、最大限のポイントを見出すことが重要と考えます。

 6.準備のポイント  

Q&Aで準備すべきポイントを以下に整理します。

 ① 業務経歴票の深堀りの徹底:記載内容を第三者目線で見て、口頭試験で突っ込まれるポイントを洗い出し、これに対する回答を万全に準備する。

② 「なぜ?どうやって?何のために?」深掘り:単に「やりました」ではなく、「なぜそうしたか」「その結果どうなったか」、きちんと短時間に説明できるようにする。

 ③ 技術士倫理綱領の理解:自分の考えとして、どのように理解しているか、自分の言葉として伝えることができるようにする。

 ④ 模擬面接による口頭表現の練習:厳しい試験官役になってもらい、数回、模擬試験を行い、面接対応力を身に付ける。 次回からは私が、模擬面接を行い無事合格されたケース、残念ながら不合格であったケースなど数名の受験者例をとりあげ、口頭試験に対しどう準備すべきかをご紹介して行きたいと思います。(以上)

対策2)選択科目II(記述問題)への対応

2018年04月28日 作成 / 執筆:Lucky Ocean講師 / 閲覧数(月間): 15

選択科目II(記述問題)は時間との勝負
技術士試験が難しいと言われるのは、やはり記述式問題のせいだと思います。平成31年度からは択一問題もなくなり、二次試験の筆記試験は全て記述問題となります。その中でも、この選択科目IIは、600字の解答用紙4枚を2時間で書ききる必要があります。つまり、600字の解答用紙1枚を30分で書く必要があります。これって結構大変です。

 

技術ノートの活用
では、どうすれば30分で600字を書き切ることができるのか。そのためには、まず自分の専門分野で重要なキーワードを100個ほど抽出して、それぞれのキーワードの概要(特徴)と課題とその解決策などを技術ノートとして作成しましょう。自分はA4のパワーポイントに枠組みをつくってそこにネットで調べた内容をどんどん書いて行きました。だいたい、900文字相当の情報量があります。最初はこの技術ノートを見ながら、そのキーワードの概要や課題、解決策を600字の解答用紙に書くのです。最初は30分は目安でいいです。文字として、書いて行こうとすると、書きやすいものと書きにくいものがあります。書きにくいということは整理されていないということなので、どうすれば分かりやすいのか、大切な論点が抜けていないか、課題と解決がバラバラになっていないか。そんなことを気にしながら技術ノートを改定します。そして、その改定版を見ながら、また600字の解答用紙に30分で書くのです。今度は最初の時より数段書きやすくなっているでしょう。そんなことを100個のキーワードに対して繰り返していると、技術ノートのまとめ方のコツや、解答用紙への書き方のコツが見えてくるものです。3回目には、技術ノートを1分ほどよく読んだら、技術ノートは裏返しにして、本番のつもりで600字の解答用紙に手書きで書いて行きます。そして、30分経過したらストップ。そして、技術ノートを表にして、自分で自己採点します。記述のロジックは明確か、キーワードは抜けていないか。そんなことを繰り返していると30分で書ききる能力が身につきます。

 

2枚ものも1枚もの×2と捉える
選択科目IIでは、通常知識を問う1枚ものが2つと、応用能力を問う2枚ものが1つに解答する必要があります。でも、600字で書くテンポやコツを身につけたあなたにとっては、2枚ものの問題も課題や解決などをブレークダウンすれば良いのです。前半書くべきことと、後半書くべきことをまず整理して、前半書くべきものをさらにブレイクダウンします。設問が求めている内容に基づいて解答すべき内容の構成を考えて、それぞれに欠かせないキーワードを思い出します。そして、解答用紙には、割り当てたスペースに基づきながら、タイトルとサブタイトルを書いて行きます。そして、試験官に理解してもらえるように分かりやすい図表を書きます。

 

本文を書くのは最後
解答用紙にタイトルとサブタイトルと図表を書いたら、そのスケルトン(骨子)を元に、試験官に対して説明するつもりで、声を出さずに説明するのです。いわば、書く前のシミュレーションです。600字の内容を(無音)で読むのに必要な時間はわずか数分です。そして、一度無音で説明して、違和感を感じた部分があれば、その点を修正します。修正するとと言っても、まだタイトルとサブタイトルしか書いていないので、修正は簡単です。そして、これで大丈夫と思ったら、無音で説明した内容をもう一度文字として書いていくのです。実際に書く時間は、1文字1秒としても、10分ほどです。実際は、すでに、タイトルとサブタイトルと図表が書けているので、7-8分で十分でしょう。

 

ウォータフォール型からアジャイル型
解答用紙の最初から順番に書いて行くのが、ソフト開発のウォータフォール型だとしたら、私が提案しているのはアジャイル型です。つまり、設問の主旨に基づいて全体の構成を考える。そしてタイトルやサブタイトルとキーワードを考えて、タイトルとサブタイトルを解答用紙に書いていく。そして、理解を助けるための図表を書く。次に、無音で説明してみる。最後に、その内容を文字として書いて終わり。

 

アジャイル型のメリット
最大のメリットは論理を明確にしやすいこと。骨子を決めて、そこから肉付けするので、試験官も理解しやすい。また、受験者にとっても、大枠を書いて、図表を書いているうちに、忘れていたキーワードなども思い出しやすい。一度無音で説明するので、文字となる内容は他の受験生の解答よりも一段こなれたものになりやすい。つまり、合格しやすいということです。

 

是非頑張ってください。

 

「モチベ-ション・コントロ-ル」その1

2025年06月14日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 15

モチベ-ション・コントロ-ル」その1

  技術士試験に合格するには、たゆまぬ努力の継続が必須です。どんなに優秀で能力が高い人でもこの努力・継続無くしては、合格を手中にすることはできないと考えます。 この努力継続を支えるのは自分自身の「モチベ-ション・コントロ-ル」すなわち「自己管理」に他ならないと考えます。私が考える技術士受験に対するモチベ-ションの維持、管理方法について2回に分けて紹介してみたいと思います。今回はその1を紹介します。 

 1.資格勉強が続かない原因

 資格勉強をしようとしても続かない原因は次の3点にあると思います。

1)勉強する時間がない。

  仕事をしながらの資格勉強は、時間を確保するのが難しい場合が多いです。社会人は残業や仕事上の人付き合いの他、家に帰っても諸事雑用を日常しなければなりません。仕事で疲れているときはリフレッシュの時間も必要です。結果としてまとまった時間が取れず勉強できない場合が多くなってしまいがちです。でも、これは言い訳による「逃れ」かもしれません。

2)集中できる環境がない

 社会人あるいは家庭を持つと、家のなかに学習集中できる環境がない場合が多く、勉強しようという気持ちが起こりにくい状況が多いと思います。特にリビングなどの日常生活環境の一部で勉強に取り組もうとすると、気が散ってしまうと考えられます。 一方、集中することはどこでも可能であることもまた、事実です。要するに自分の工夫しだいでは、どこでも自分の書斎的スぺ-スは確保できるものと考えます。

3)モチベーションを保てない。

 仕事は報酬という成果がモチベーションにつながりますが、学習を始めてしばらくは明確な成果がありません。学習の結果が出る前にモチベーションを維持できなくなり、挫折してしまう場合も多いと思います。 どうしても仕事を優先的に取り組まなくてはならないので、勉強に意識が向かず継続するのが難しい状況になったり、仕事を優先するあまり「今日は勉強しなくていい」とあきらめてしまい、そのままやめてしまうパターンになりがちです。  確かに多忙を極める時は、勉強どころではない状況ではありますが、例えば単純計算で1日15分間の勉強時間の確保は、1週(6日間)で90分(1.5時間/1週)の時間を確保ができることになります。こちらも気持ちのコントロ-ルにより、時間確保につなげることができます。

 2.気持ち上昇のアイデア

  勉強が進まないと感じた時に、私の経験から是非、試していただきたい気持ち上昇のアイデアをご紹介します。いろいろと試してみて、自分に適したスタイル方法を見つけて頂ければ幸いです。

1)達成可能な小さな目標を立案

  無理な目標や達成しづらい目標は、できなかった時に落ち込む要因になります。達成可能な目前の小さな目標を立て、それを達成する成功体験を積み重ねていくことが、モチベーション維持していくことが最も重要と考えます。  例えば、たとえ短時間であっても決まった時間帯は必ず学習時間に充てたり、それを計画し、確実に実行し続けることは、日常生活のルーティ-ンとしての良いリズムとなり、前向きな姿勢につながると考えます。

2)適度な休憩による学習効果

 学習した内容を脳へ記憶定着するためには忘れかけている時点に、思い出そうとする行為が必要と言われています。ある一定時間学習した時に、数分間の休憩時間を確保し、あえて思い出す時間を設け、記憶へつなげることで学習効果の上昇につながります。

 3)就寝前の復習

 布団やベットに入ってから就寝前に、今日あるいは前日に学んだ内容を覚えているかを復習することは記憶の呼び起こし、定着、長期記憶のインプットに繋がります。

 4)アプリの活用

 昨今は、様々な学習アプリが開発されています。机に向かえない時、やる気が起こらない時に、アプリの活用や保存したメモから、予想問題の構想や準備課題の復習は、異なるツールを活用することで取り組みやすくなるでしょう。スキマ時間の活用にもなるので、いつもとは違う学習方法を適宜、取り入れることも学習継続に有効と考えます。

 5)できない日は休日

 真面目な人ほど勉強できない日があると落ち込み、モチベーションが低下してしまいます。どうしても所要等でできなかった日は「休み」として自分に都合よく考え、完璧を目指さないようにして、気持ちを明日へ切り替えましょう。

 6)仲間との相互研鑽

  是非、技術士を目指す仲間と連絡をとりましょう。お互いの進捗を確認し、研鑽、相互に刺激しあえる仲間は貴重です。メールやオンライン上で進捗を共有しながら互いに自身の意欲を掻き立てて下さい。

7)気分転換

 学習意欲が湧き出てこない時などや、集中力が切れてしまった時は、焦らず自分を責めないことが大切です。例えば、散歩やストレッチ、好きな音楽を聴くなどし、気分転換により、自信の気持ちの波をうまく調整、制御することをおすすめします。 明日の自分を夢見ていろいろなやり方にトライアルし、自分にあったモチベ-ションコントロ-ル方法を見出して下さい。 (以上)

 

「謙虚で、ひたむきであれ!」

2025年09月06日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 15

「謙虚で、ひたむきであれ!」  

   皆さん、徐々に口頭試験の準備は進んでいるでしょうか?口頭試験については事前に準備すべき事項がたくさんあります。おそらく、全ての受験者は試験当日まで、準備不足を実感しながら口頭試験に挑まなければならないと思います。早すぎる準備はむしろ、口頭試験に対する万全さにつながりますので、積極的に進めて下さい。

  今回は私が以前、模擬口頭試験の面接官役で対応した「回答が完璧すぎる受験者」を例として、あるべき受験者像について、ご紹介したいと思います。

 1.受験者

 この受験者の人物像は、以下のとおりです。

年齢(当時):40代後半

学歴:某国立大卒

立場:発注機関の管理職(当時課長) 受

験部門:建設部門   

2.完璧すぎる解答

  私と私の友人の2人で役割分担に決めて、質問内容を事前に準備し、模擬口頭試験を行いました。その印象と結果は、何を聞かれてもその回答があまりにも完璧すぎることでした。寸分のスキもなく、「鉄の防弾チョッキ」を身にまとい、聞かれた質問の銃弾を瞬時に跳ね返すような応答の連続でした。 私はこれまで模擬面接を数多く行ってきましたが、ほとんどの人は緊張のあまりに自分の思うどおりに、回答できない場合が多く、この受験者のように自信に満ち溢れた回答は逆に体験したことはありませんでした。  口頭模擬試験としての評価としては「素晴らしく、完璧である。」以外の言葉が見つからないほどでした。但し一方で、非常に気になった点がありました。それは回答の要所や末尾において、回答に関し自分としての見解や私見を述べるような場面があり、自身の見識を示す雰囲気も感じられ、違和感がありました。面接官役の友人とともに、逆に口頭試験の落とし穴になりかねない懸念があることを直接、本人に指摘しました。

 3. 試験官はスキをこじ開けたい

  試験官の立場で考えると、口頭試験の解答が完璧なことは無論、重要な要素です。一方で回答が完璧すぎるほど、そのスキ間を少しでもこじ開け、何とか回答が困難な質問をしたくなる感情が湧いてくることも否めない事実です。彼は正に、その典型的なタイプの人でした。

 言い方を変えれば、自分に対する自信がありすぎ、他の人の意見等は受容しないタイプのようにも感じられました。このような受験者はあまり多くはないと思いますが、口頭試験では十分な注意が必要です。口頭試験に向け、その受験者に対しこの点を指摘し、理解をしてもらった上で、聞かれた事のみ回答すること、私見は問われた時のみ回答し、付随した情報は、自ら多くを語らないことをアドバイスしました。元々自力はある人なので、心配したようなことはなく、結果的には無事合格、技術士になることができました。 「備えあれば憂いなし。」自分の強みと弱みを理解しておくためにも、模擬口頭試験の実施により、第三者からの指摘により、自分自身を直視することは是非、行っておくべきと考えます。 

4. 受容力とコミュニケ-ション能力の重要性

  このような受験者は特異な例だと思いますし、だからと言って、決して不合格になるものではありません。受験者は多種多様であり、それぞれの個性や特徴があることは当然です。口頭試験の目的は受験者個々の技術者としての考え方、物事の捉え方や取り組む姿勢が技術士としてふさわしいかどうかを評価するものです。 ある程度の年齢に達した立派な社会人が、技術者としての見識を改めて確認されるものであるからこそ、厳しいハードルがあるとも言えるでしょう。 ここで重要なのは、口頭試験では業務経験や専門知識に加え、1人の技術者として種々の考え方を柔軟に受けとめる受容力や、その場にふさわしいコミュニケ-ション能力を試されていることを忘れてはなりません。

 5. 謙虚でひたむきであれ!  

  では、技術士にふさわしいあるべき人物像とはどんな人か?ということになりますが、私的には謙虚でひたむきに努力を継続する人、柔軟で常にポジティブであり、秘めた熱い情熱を抱い続ける人。と私は勝手にイメ-ジしています。  受験者諸氏へのお伝えしたいメッセ-ジは、「謙虚かつひたむきなポジティブを胸に秘めた技術者であれ!」です。 次回は、私の部下であり、話すことが苦手なタイプの受験者の例についてご紹介したいと思います。(以上)

ビジュアル重視型で答案を採点者に読ませない!

2025年05月17日 作成 / 執筆:アニ-講師 / 閲覧数(月間): 14

「ビジュアル重視型で答案を採点者に読ませない!」

私は技術士を取得できるまでに10年の歳月を費やしました。言わば劣等生です。不合格だった試験の設問はすべて記述、解答したつもり。白紙答案などはありません。当時、試験結果は、「不合格」のはがきが届くのみで、自分の解答文のどこが悪くて、どのレベルで不合格であったのかが、全くわかりませんでした。

今回は、「目からうろこ」「ある記述方法」との出会い、これを体得できたお陰で私は合格できたと思っており、それを是非、受験者諸氏にお伝えしたいと思います。

1.  採点者は心理的に読みたくない

採点者は限られた日数で、膨大量の解答文を採点すると言われています。従って、極端な言い方をすれば1字1句、くまなく読んでもらうことは時間的にも不可能ではないかと私は思います。また、長文は心理的にも読みたくないのが本音と思います。

私は採点方法として1次選考と2次選考があり、1次選考を通過しない解答は、そもそも読んでもらっていないのではないかと推測します。

私が想定する1次選考の採点区分は以下ではないかと考えます。

・紙面が白紙であり、解答されていない。⇒ C:不合格

・設問に対して、パッと見て題意に沿って的確に解答されていない。⇒C:不合格

・文字が乱雑すぎて、読むことができない⇒C:不合格

・文章記述内容が理解できない、意味不明、支離滅裂⇒C:不合格

  上記だとすれば多くの受験者の解答文は採点に至っていないのではないかと考えます。では、どのような解答文なら2次選考に残り、採点してもらえるかについて考えてみましょう。

2.  ビジュアル第一主義

この件に関しては極端に表現しますので異論があると思いますが、ご容赦願います。解答文は設問題意に確実に答えていることを視覚的にパット見て、その構成が分かる記述が必要です。例えば、必須課題では次のような設問が多いと思います。

1)○○を解決する上での多面的視点による課題

2)最も重要な課題とその複数の解決策

3)新たなリスクとその対応

4)技術者倫理と社会の持続性の観点から必要な要件

  ここで重要なことは1)~4)の設問を見出しとして利用する。設問に確実に解答していることをあえて視覚的に示す。採点者が読まなくても良い状況をビジュアル的につくる。また、見出し文は太く濃く書く(ゴシック体のように)か、アンダ-ラインにより、採点者が斜め読みで、目にとまるような記述が重要です。

3.  解答内容は二の次

本文記述でも重要なポイントは小見出しを活用することです解答内容を採点者へ速く伝える記述方法、解答内容は二の次、ここでもビジュアル重視を志向した記述方法が有効です。設問例に対する小見出し活用例を以下に示します。

(例)担い手確保を解決する上での多面的視点による課題

課題事項として取りあげた社会的現実や背景、今後予測される事態やその理由となる論拠について、課題の内容を小見出し化する。その後に23行の文章でそれを補完する説明文を挿入する。ここで初めて解答内容となります。あらかじめ23行文を長さ条件としておけば、例え想定外の問題であっても、本番である程度対応可能であり、行を埋めることができます。

1少子高齢化による生産人口減少、国力の衰退

(改行して、以降に小見出しタイトルの内容を23行で説明文を挿入する。)

2) 人材確保のための環境整備 (上記同様)

3) ICT等先端技術の積極導入(上記同様)

 4)経験、技術伝承(上記同様)

4.   見せる箇条書き

例えば、課題抽出や解決策は複眼的(多面的な視点)が必要です。但し、複数の項目についての詳しい論述は紙面的にも制限があり、採点者に読ませる負担となります。ここでも重要なのは、箇条書きを利用して視覚的見せるテクニックです。例えば設問を我が国の防災強化対策案を例とした場合、その記述例として以下が挙げられます。

(例)防災対策強化案

○○を解決するためには、○○による〇〇が肝要であり、以下に対する施策を積極的に推進する。(23行で内容説明文を挿入後、箇条書きに落とし込む。)

  AI・デジタル技術を活用した災害予測精度の向上(余白)

  流域治水等防災への加速化・進化(余白)

  グリ-ンインフラによる潜在的防災力の発揮(余白)

  防災機能の多重性、代替性機能の確保(余白)

  ICT技術活用による監視、予測、判断等の防災体制強化(余白)

   長い文章での説明ではなく、箇条書きですっきりと、示すことでより洗練された印象付けが重要です。またこの際、白書や最近の技術トレンドキーワ-ドを挿入することを考慮下さい。採点者へ独自の見識の高さをアピ-ルして下さい。

5.  箇条書きのメリット

採点者(読み手側)から見た、箇条書き活用によるメリットは、以下と考えます。

  眼に止まり易く、伝達内容をわかり易く、分けることができる。

  複数な内容を詳しく説明することなく、読み手の理解が速い。

  多面的表現で記述項目の整理、表現できる。(人、物、金、技術、方法等)

  表現がシンプルなので、幅広い観点や意味を印象付けできる。

  紙面に空白部分がありすっきりと整理され、読み手に息苦し印象を与えない。

  記述項目を忘れても試験本番記述時での追加、修正、削除が容易である。

  異なる表現や語彙表現を活用するで、一行を埋めることができる。

是非、準備解答文作成段階で試してみることを一考下さい。  (以上)

技術ノートx100を作成できた受験生へのエール

2017年06月03日 作成 / 執筆:Lucky Ocean講師 / 閲覧数(月間): 14

技術ノートx100の作成
技術ノートにキーワード(100個目標)を作成するのは大変ですが、まずはこれを頑張りましょう。
5月中に100個作成することが目標でした。これを達成した人は素晴らしい。あと少しという人も
よく頑張りました。

 

筆記練習の開始
技術ノートの作成は目的ではなく手段です。また、試験には期日があります。すでに6月に入った
ので、技術ノートをベースにした筆記練習を開始しましょう。目標は作成した100個の技術ノート
をベースにして、600字原稿用紙にそのキーワードの特徴、課題、対策をまとめます。A4の技術
ノートには900字相当の情報が通常あるので、ここから600字にまとめます。

 

図表の活用
600字の原稿に、特徴と課題と対策をまとめるには、端的に効率的にまとめるテクニックが必要
です。ここで最も有効なのが図表を1つ挿入することです。個人的には、原稿用紙の右上の7x7の
升目がターゲットです。ここに600字の原稿で書きたいことのエッセンスを図表として示すことが
できれば、それだけでほぼ合格です!

 

黄金の3の法則
特徴は3つに拘らなくてもいいですが、課題と対策はそれぞれ特に重要なことを3つ選択して、その
記述に集中しましょう。限られた原稿用紙の中でアピールするには、2つでは不足するし、4つでは
多い。やはり3つが非常に有効です。常に課題を3つ考えて、それぞれの解決策を考える癖をつけましょう。

 

目標は30分
600字の原稿用紙を一枚書き上げるのにどれぐらいの時間がかかるでしょうか?完成した600字原稿を
朗読すると2分とかからない。でも、悩みながら書いていると時間はどんどん経過する。実際の試験の
時には、キーワードを書き出し、頭の中で整理しながら記載する必要がある。目標はズバリ1枚30分だ。
空き時間が30分あれば、キーワード1つを書き上げよう。また、できれば勉強時間として、朝でも、
夜でも良いけど2時間確保して、キーワード4つを書き上げるようにしよう。

 

6月中に100個のキーワードを原稿用紙に記述する
毎日4枚のキーワードを書けば、25日で100個のキーワードを原稿用紙に記述することは可能だ。
6月はこれを目標に頑張ってほしい。そして、原稿用紙に記述していると、作成した技術ノートの
過不足を感じることがあると思う。その内容は時間が許す範囲で結構なので改定していこう。
経験則で言えば、技術ノートを2回ぐらい改定するとかなり優れたレベルに昇華する。

 

7月に入ったら録音
600字の原稿用紙に記載することでかなり記憶に定着していると思うけど、これだけでは十分では
ない。実際の試験の時に適切なキーワードが思い出せるようにするには、この100枚の原稿用紙を
スマホに録音しよう。先ほども書いたように600字の原稿を朗読するのはわずか2分ほどなので、
200分(3時間20分)あれば可能だ。週末等の時間の取れる時に頑張って朗読しよう。条件が許せば
奥様や子供にお小遣いを渡す代わりに吹き込んでもらうのは方法かもしれない。

 

繰り返してヒアリングすることで記憶に定着
録音した原稿用紙の内容を繰り返しヒアリングすることは、電車の中でも、歩きながらでも、
いつでもできる。そして、何度もなんども繰り返し聞くことで、記述内容の過不足を感じることが
あると思う。ちょっと違うなあと思ったら、技術ノートを改定して、原稿用紙に書き直しして、
改定版として録音しよう。この改定版が多いほど、レベルアップしているということ。

 

今回は、記述問題に絞って合格の為のノウハウを披露しました。選択問題については別にアップ
します。

 

7月の試験に向けて、6月は佳境です。ここでしっかりと技術士としての自力を高めて、合格
レベルを一気に突き抜けてしまいましょう。

技術士二次試験口頭試験のポイント「緊張しない」「余計な説明はいらない」

2017年07月12日 作成 / 執筆:【ニュース担当】eastwest665講師 / 閲覧数(月間): 14

技術士二次試験の口頭試験は、事前に提出した業務経歴書などから、試験官との質問のやり取りで実施されます。

その中で、最もネックとなるものが、口頭による業務経歴書の説明です。

初めて会った試験官に、自分の経歴を分かりやすく説明し、理解してもらい、質問についてもその場で回答しなければなりません。

初めて会った顧客と打ち合わせの場などもこうした状況に該当しますが、あまり経験がないとつい緊張してしまい、何から説明したらよいかわからなくなってしまいます。

 

緊張しないように気を付ける

普段は知識も豊富で、専門的な内容については話すことも全く問題がない人でも、試験となると緊張します。

緊張してしまうと、次の言葉がなかなか出てこなかったり、話した内容が何を言っているのかはっきりしなかったりします。

これは、事前の準備で何とか緊張を押さえることができます。

例えば、口頭試験の想定内容をボイスレコーダーなどに録音して、自分の言っていることが後で聞いても問題がないかを確認する、職場の人や試験対策講座などで模擬の口頭試験を行ってもらったりすることでも、本番の雰囲気をある程度シミュレーションできます。

緊張は、自分の得体の知れないものに直面した時に起こるものですので、事前に様々な同様な状況を経験しておけば、自然と緊張は少なくなっていきます。

 

説明内容に気を付ける

説明内容が専門的すぎると、試験官もその分野に関しては専門家ではありませんので、理解できないこともあります。

大学を卒業して、入社したばかりの新入社員にもわかる程度の専門用語で話す必要があります。

ただし、専門用語が分からないといけないということで、専門用語の解説を続けていくと、論点がどんどんずれていってしまいます。

各業務に「自分が技術的に工夫をしたところ」を一つ押さえておき、そこからぶれないような説明の仕方がよいでしょう。

 

口頭試験のような面接タイプの試験は、人によっては採用面接以降経験したことがないという人も少なくありません。

どんな人が合格するのかを探るのも重要ですが、採用基準は人が見るものですので、試験官による個人差がどうしても出てきます。

それよりも、今持てる知識を十二分にアピールする方法を探る方が合格への近道と言えます。

「業務経歴票」作成についてのアドバイス

2018年02月22日 作成 / 執筆:技術屋NR講師 / 閲覧数(月間): 14

第二次試験の受験申込書の際に、「業務経歴票」というものを書く必要があります。
(平成29年度の「業務経歴票」はこちらからDL)

この「業務経歴書」の一番の目的は、受験資格があるかどうかの確認です。
受験資格のある方は、従事期間の誤記さえなければ、何も問題ありません。

この目的以外に、皆さんの技術者としての進歩を見るということもあるのではないかと思います。

「地位・職名」欄と「業務内容」欄の記載には、工夫をすることで皆さんの技術士としての適性を
アピールすることができると思います。

この書き方が絶対という訳ではなく、私はこういう風に考え、こういう風に書いたというご紹介です。

★地位・職名
もちろん、「会社での肩書」を書いても問題ありませんが、それでは、どんな業務をしているのかが分かりません。
「課長」であっても、会社によって業務は違うと思います。
会社によっては、「課長」が設計の実務をしている場合もあると思いますし、また、会社によっては、
設計の実務に直接関与せずに、承認だけということもあると思います。

ですから、この欄には、プロジェクトに対してどういう役割であったかを書く方が、試験官にはイメージしやすいと思います。

例えば、「設計主担当」とか、「設計責任者」みたいな感じです。

一方、会社での役職は、エンジニアとして成長し、応用能力・解決課題能力が認められ、役職が上がっていくという
成長の過程を説明する材料であるということも言えると思います。

そこで、私の場合は、プロジェクトでの役割と、会社の役職を以下のような感じで併記しました。
「設計担当/グループ員」
「設計主担当/技師」
「設計責任者/主任技師」
「プロジェクト責任者/グループ長」
「技術指導者/参事」


★業務内容
「業務内容」を書くのに気を付けたことは、この内容が技術士としてふさわしい業務であるということが判るようにすることです。
この「技術士としてふさわしい業務」というのは、技術士法第二条に書かれている「業務」を行っていることが判るように書きました。

「検査」や「製図」などの「業務」を書くと、試験官に「技術士としてふさわしい業務ではない」と思われるかもしれません。

「設計」して「製図」しているのであれば、「設計」と書いた方が良いと思います。
「検査」してそのデータを基に「分析」や「評価」をしているのであれば、「分析」や「評価」と書くべきだと思います。

また、業務の内容を具体的にイメージしやすいように、「○○装置の設計」ではなく、
「○○装置の設計のうち、特に△△に関わる部分の設計」などと書く方が良いかもしれません。

技術士法
第二条 この法律において「技術士」とは、第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、
科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする
事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務
(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいう。

 

2025年11月
2025年 発注者支援業務 求人 新建設コンサルタント株式会社 採用情報
広告 nc-c.jp
【急募】国土交通省の発注者支援業務を行う技術者を募集しております。
正社員(2025年20名)、550万円~、基本的に土日祝祭日は休日となります。